週刊READING LIFE vol.205

私によく似たインスタ1000人のフォロワー《週刊READING LIFE Vol.205》


*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

2023/2/20/公開
記事:山田 隆志(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
インスタグラムを触ってほぼ5年で1000人のフォロワーがついてくださった。もちろん狙って集めたわけではない、ただひたすらインスタで遊んでいるうちに自然と集まっていた。インスタで遊ぶのに唯一こだわったといえるのは、アカウントを自分が見て楽しくなるものにすることだ。
 
5年前にはじめたインスタのイメージは楽しそうだなと思うと同時に、若い女性が自撮りで、おいしいスイーツをひたすら投稿して遊んでいるものだと思っていた。「インスタ映え」という言葉の通りとにかくキラキラしているイメージで私のような40近くの男には敷居が高かった。
 
最初は投稿0件、フォロワー0件でインスタを触っており、誰だかわからないけどなんかよくわからないポーズで笑っている女子高生の自撮り写真や、ファミレスに出てくるスイーツを眺めていた。こんなものを誰が見るのかというなかれ、これが「インスタ映え」というものだ。ただの女子高生なのにフォロワーは5000人もいる。
 
インスタが手放せなくなるのに時間はかからなかった。「水着・レースクイーン・グラビア」と検索しては、3時間ほどスマホを触り続けている。気が付いたら、綺麗なお姉さんのアカウントだけで100件フォローしていた。
 
もはや私のインスタがグラビアアイドルの写真集となっている。仕事サボってタイムラインを見てにやけている私は間違いなく変態としか言いようがない。

 

 

 

わたしの好きなものはなにも綺麗なお姉さんばかりではない。おもちゃもゲームも大好きだ。今年で御年44歳となるのだが、一人でおもちゃ屋に行くことで日々のストレスを解消している。
 
「ゲーム、オモチャ、ミニカー、フィギュア」とひたすら検索しては、気に入ったアカウントをフォローしている。きれいなお姉さまも素晴らしいけど、おもちゃのアカウントは最高すぎる。インスタのおもちゃ自慢たちはファミコンソフトを1000本並べる人や、マリオやドラクエの100体以上のフィギュアをショーケースの中に並べる奴もいる。
 
凄い! 凄すぎる!
 
「インスタ映え」というものを極めるとこんなことになるのか!
 
インスタグラムの面白いアカウントを眺めているのも楽しいのだが、やっぱり私も何かを投稿した方が面白いに違いない!
 
最初は料理の写真で、ファミレスだろうがラーメン屋だろうがお構いなしで女子高生と全く変わっていない。何も考えていないインスタにはフォロワーどころか「いいね」ももらえない。それでもなぜか発信が楽しくなってきた。

 

 

 

ある日インスタでスーパーマリオの1-1をBダッシュ使いながらクリアした動画だ。ついでなのでキャプションという名の文章もツイッター感覚で適当に書いてみた。
 
凄い!! 1-1をクリアしただけで「いいね」が30個もついたぞ。調子に乗ってクッパを倒してピーチ姫を助けたぞ。これもすごい、やっぱり「いいね」が30個ついて、コメントももらえるようになった。じゃあこれならどうだとおなじみの無限1UPを投稿してみるうちに、いつの間にかフォロワーも激増して50人になった。
 
レトロゲームで良ければネタならいくらでもある。マリオにドラクエといった誰もが知るゲームはもちろん、小学校時代に流行ったゲームなら無限にある。それなら、当時のゲームをたくさん紹介しよう。インスタを触り始めて3か月、投稿は100を超え、フォロワーも200人を超えた。

 

 

 

インスタは普通の投稿だけではなく「インスタライブ」という形で動画を投稿することもできるので、ゲーム実況というものをやってみた。
 
ゲーム実況といってもeスポーツの選手のような鮮やかなプレイではなく、どちらかというと下手くそな部類だ。スーパーマリオブラザーズ3で遊んでいる様を垂れ流し、ステージ2のおんなじところで何度も死んでいる。
 
こんなくだらないゲーム実況を誰が見るだろうか?
 
意外と見ている人もいて、全く同じところでノコノコにやられているところを見てはヤジを飛ばしてくる奴もいれば、何度も死んでいるステージを見事にクリアすることができれば、拍手を持って祝福してくれる人もいる。こんな単純な遊びでフォロワー同志が楽しくコミュニケーションをとれると思わなかった。

 

 

 

インスタを1年触っているうちに私のアカウントもにぎやかになり、オモチャやゲームが好きなフォロワーがたくさん増えた。
 
強者となればフォロワーを5000人ぐらい抱えている人気のアカウントもいる。オモチャのコレクションが桁違いなのはもちろんであり、インスタ専用のアプリを使って写真を美しく見せている。
 
仲良くさせてもらったフォロワーがイベントでゲームのキャラの作品を出展するといっている。ゲームキャラのイラストやぬいぐるみを作り、さらには当時クソゲーと言われたゲームの攻略本を自分で作ってインスタにアップしていた。私もクソゲーの同人誌を求めてイベント会場に足を運び、フォロワー達と顔を合わせることができた。
 
ネットとリアルが融合した瞬間だ。この喜びは何事にも代えることはできない。

 

 

 

インスタを使い始めて3年が経過するころには、私はインスタ中毒者となっていた。
 
フォロワーも500人を超えるようになり、「いいね」も100人を超えるようになってから、自分なりにインスタの投稿もこだわりを見せるようになっていた。私の子供時代でもある80年代後半から90年代に流行ったアニメやドラマ、ゲームの投稿を毎日のように行っていた。投稿することに熱がこもり、インスタにしてはやや長文ともいえる1000文字の文章を毎回のように書いていた。
 
毎回の投稿が楽しくなり、「いいね」の数が100数えるとともに、コメントの数も増えてきた。「懐かしい」とか「面白い」といった好意的なコメントもいただけるようになり、中には私よりもずっとその分野に詳しい人から、愛情を持ったコメントをいただけるようになり、コメントを交換し合うことで投稿が盛り上がることもあった。
 
私はやっぱり承認欲求の塊だったのか、自分が投稿する作品に「いいね」の数が増えてくるとやっぱりうれしいし、さらに多くの人に見てもらいたいと思えた。
 
私のアカウントを見てもらえれば必ずや気に入ってもらえるに違いない
 
そんな風に勘違いして、本格的にフォロワーや「いいね」の数を増やすことにこだわり始めた。
 
インスタで最も大事だと言われていたことは、「ハッシュタグ」だった。例えば「スーパーマリオ」の投稿だったら、「ゲーム、ゲーム好き、ファミコン、マリオ、80年代」みたいな感じでマジカルバナナのように、思いつく限りのハッシュタグをできるだけ多く並べて投稿してみた。
 
他には「いいね」周りという方法があり、私と頻繁にコミュニケーションをとっている「アカウントのフォロワー」を確認して、自分が見て楽しそうなアカウントだと思ったら、積極的に「いいね」やフォローを繰り返していた。
 
これらの効果はすぐに現れた。インスタはじめて3年目では500フォロワーだったのが5年目を迎えるころには950フォロワーを超え、毎回100の「いいね」を目指していたのが、100を超えるのが当たり前となり、最大で250の「いいね」をもらえた。
 
さらには、インスタ内でのコミュニケーションも活発になってきた。いつものおもちゃの投稿の他にも、任天堂スイッチのゲームソフトを購入した時にインスタに投稿することもある。桃太郎電鉄を購入した時には、上手くもないのに(ゲーム時間で)10年プレイしているところをインスタライブで流していては、30人の人に視聴してもらったこともあるし、それがきっかけで、インスタのフォロワーたちと実際に桃鉄をプレイすることもある。
 
他にもモンスターハンターを買った時にはインスタで一緒にプレイする人を募集して、モンハンのチームを作っては、毎週のように狩りを楽しんでいた。子供のころに自宅に友人を招いてゲームをしていた時のように、オンラインを通じてゲームを楽しむことができた。大人になってから友人と一緒にゲームをやりたいというのは、ひそかな夢でもあったのでささやかながらもインスタの友人と一緒にゲームができてとても充実していた。

 

 

 

こうして5年間におよんでインスタ中毒者となってしまったわけだが、控えめに言って良いことばかりだったといえるだろう。
 
とにかく自分が好きなゲームやおもちゃ、80年後半から90年にかけて流行ったものをたくさん投稿して、私と同年代の友達がたくさん増えたこと、一緒に桃鉄やモンハンを楽しむことができたこともそうだし、実際に東京ゲームショウや同人誌即売会のようなリアルなイベントに一緒に楽しんでくれる友達ができたことが本当に嬉しかった。
 
そして何より多くの同年代のフォロワーや、おもちゃやゲームが好きな私と同じような趣味嗜好を持つ人ばかりで固めたインスタを中毒になるぐらい楽しむこともできたし、私の投稿に多くの人に楽しんでいただくことが何よりもうれしかった。
 
そんなことを積み重ねているうちにフォロワーが950人を数えた。せっかくなので1000フォロワーを目指してみよう。
 
ところが残り50フォロワーを集めるのに想定よりも時間がかかってしまった。

 

 

 

ある日を境にフォロワーの数が全く増えなくなってしまった。これまでは毎月50フォロワーは自然に増えているのだが、1か月で10人増えるかどうかにとどまり、中にはフォロワーがわずかに減ってしまった時もある。
 
毎回の投稿に対して、150ぐらいの「いいね」をもらうことができていたのだが、100「いいね」に満たないことも多くなってきた。その中には渾身の投稿もあったので、まったく「いいね」がつかなかったりするとさすがにへこむ。
 
かと思えば適当に作った栃木にある「ガッツ家の墓」の写真を投稿したら150「いいね」がついてしまった。「ガッツ石松、ガッツ家、珍スポット」というハッシュタグを並べた効果なのかもしれないが、自分で投稿しておいて納得がいかなかった。
 
インスタを触って5年目を迎えるころにようやく1000フォロワーを達成できたのだが、950フォロワーからの積み重ねにかなり時間がかかってしまったようだ。1000フォロワーを達成してからも半年ぐらい経過しているが、いまだに1000フォロワーを行ったり来たりである。これは明らかにおかしい。何かアルゴリズムが変わってしまったのだろうか?

 

 

 

インスタを続けて、私と同じような趣味嗜好をもつ人たちの力作を楽しみ、逆にフォロワーたちに向けて私の好きなことを発信することで生まれたコミュニケーションは人生を変えるぐらい、日常に変化をもたらしたといえる。
 
最初は多くの人に自分の投稿を読んでもらいたいということだけで始めていたのだが、続けていることで1000フォロワーに集まってもらうことができ、さらに多くの人に読んでもらいたいという欲が出てきてしまった。
 
これだけ読んでいただける人が増えればもういいのではないかと思うことがあるのだが、急激にフォロワーや「いいね」の数が止まってしまったのは、やっぱり謎が残っている。
 
なにより、私の何気ない投稿でも多くの人に読んでもらい、一度で良いから「バズ」を起こしてみたいと思う。
 
そのためには、文章や写真・イラストといった投稿の質を上げるべきか? それとも、5000フォロワーを数える強者たちのように実際に数千を超えるゲームソフトを所有してインパクトのある投稿をするべきなのか?
 
そもそも、インスタグラムのようなSNSで発信するためには、私が知らない攻略法があるのだろうか?
 
このまま、1000フォロワーでは納得がいかないのもそうだが、やっぱり自分の投稿が多くの人に読んでもらえるようになりたい。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
山田 隆志(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

2018年よりインスタグラムをはじめて5年、ゲームと平成レトロを中心とした投稿でフォロワー1000人の方に集まっていただき、最大で250件の「いいね」を頂いた。もっと読んでもらえる文章を求めて2021年夏天狼院ライティングゼミの門をたたく。
2022年1月よりライターズ倶楽部参戦するもあまりのレベルの高さに騒然とし、ライティングゼミNEOでライティングを鍛えなおす。同年10月よりライターズ倶楽部復帰
2023年よりライティングパスポートを購入し、メディアグランプリ優勝を狙う
さらに多くの方にインスタを見ていただくべく、4月より「発信力養成ラボ」に参画する

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2023-02-15 | Posted in 週刊READING LIFE vol.205

関連記事