週刊READING LIFE vol.235

やはり私は、あざとい女性が大好きだ《週刊READING LIFE Vol.235》

thumbnail


*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

2023/10/9/公開
記事:Shota(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
「なんでそんなに単純なん? 男の人って阿保すぎよ!」
私が手痛い失恋をした数日後、慰めてほしくて一番気の知れた女友達(以下A子と呼ぶ)に相談した。
A子は男女問わず交友が少ない私が本音を話せる、数少ない相手だ。
私はそんなA子から今、何故か説教をされているのだ……。
男の人は単純。
目の前に座るA子から言わせれば、古今東西変わることのない事実のようだ。

 

 

 

あれは約10年前。私がまだ二十歳だった頃、一人の女性に恋をした。
恋のキッカケは今思えば非常に単純だ。
当時大学生の私は、イヤホンを両耳にはめ、一人食堂で昼食をとっていた。
「おつかれ」と、後ろから肩を叩かれ、振り向くと彼女が立っていた。
正直、彼女とはそこまで真剣に話したことはない。学校内で会うと、すれ違いざまに少し会話をするくらいだ。
「何聞きようと?」
彼女から問われ、私は当時ハマっていたアーティスト名を答えた。
「え、私もめっちゃ好き」
彼女は胸の前で手を叩き、笑顔で答えた。若干飛び跳ねていた気がするが、記憶が確かではない。
だが、そんな彼女を見て「可愛い」思ったことは鮮明に覚えている。
さらに、彼女が次にとった行動は、私の恋愛スイッチをONにした。
「半分こしよ!」
彼女はそう言いながら私の左耳からイヤホンを抜き取ると、私の横に座り、自分の右耳にイヤホンを差し込んだ。
今はワイヤレスイヤホンが主流で、一つのイヤホンを二人で共有することはしないだろう。だが、当時はまだワイヤレスイヤホンなんてなかった。
コード付きのイヤホンだったため、彼女との距離もかなり近い。少し肩が触れシャンプーか香水の甘い匂いがした。
「好きだ」
私は一瞬で恋に落ちた。
そのスピードは、目の前を新幹線が通りすぎるよりも早かった。
さらに驚くことに、彼女の方から連絡先を聞かれその場で交換した。
その時はそれで別れたが、食欲はもう無くなっていた。
 
 
連絡先を交換した日から、彼女とは学校外で何度かあった。
映画に行ったり、一緒にスポーツをしたりと、とても楽しかった。
当時はクリスマスも近く寒かったこともあり、彼女の服装も私は好きだった。
手が全て隠れるようなニットや、モコモコのマフラーで口元を隠す姿。これがまた非常に可愛かった
それに加えて、ボディータッチも何度かあった。
「好き」から「大好き」に変わるのに、時間はかからなかった。
そんな彼女に、私はクリスマスプレゼント告白大作戦を思いついた。
それとなく、彼女の好みを聞き、それをプレゼントして告白するという実に単純な作戦だ。
私はそれとなく聞いた。彼女は何がほしいのかを!
「柑橘系色のピアスが好き」
彼女は言った。
今思えば、かなり具体的に答えたものだと思う……。
だが、当時の私はそんな彼女を疑うなんて気持ちはなかった。
「柑橘系色のピアスをこっそり買ってクリスマスにプレゼントして告白しよう」
そう意気込んでいた。
「24日と25日は予定がある」
彼女からそう言われたため、クリスマスの一週間前に彼女と会う約束をした。
お洒落なお店を探し、そこを予約して彼女を連れて行った。
その帰り道、プレゼントを渡して告白した。
結果は……。
私は数ヶ月間、この失恋を引きずった。

 

 

 

そんな中、慰めてほしくて会っている、目の前のA子に何故か説教されているのだ。
A子いわく、私を振った女性の行動は、「あざとい」と呼ばれる行動のオンパレードだったらしい。
「女性やったら絶対騙されんのに、情けない」
A子からそう言われた。
私は騙されたのか? そう思ったが口には出さなかった。
A子は続けて言った。
「ボディータッチをされれば、自分に好意があるのでは? と勘違いする」
「アヒル口や上目遣いの女性を見ると、すぐ可愛いと思う」
これらは単純な男の特徴だと。
「もっと疑ったほうがいいよ! 男に媚びる女性は同姓から嫌われるけんね!」
何故私は説教をされているのか。その答えが分かった。
どうやらA子自身、「ぶりっ子」や「あざとい」と呼ばれる女性が嫌いらしい。
かくいう私は、そんな女性が好きだ。
「萌え袖が一番好き」
と言ったところ、A子に目の前で溜息を吐かれた。
「それってその女の思うつぼよ!」
A子いわく、敢えてワンサイズ上の服を買い、男性の目線を集める女性もいるそうだ。
「いや、そんな悪い女性じゃないと思うよ。めっちゃ優しくて、性格もよかったし」
私がそう言うと、再び溜息をつかれた。
「それって、クリスマスプレゼントが目的で、キープされただけやろ?」
いや、違う……。と、即答できなかった自分が情けない。
私が薄々感じていており、考えないようにしていたことをストレートに言われた。
「俺は焼酎か!」
と突っ込んだが、全くうけなかった。
女性の一部は、男性を居酒屋の焼酎のようにキープしているとのことだった。
第一候補の男性と結ばれなかった場合、繋ぎとめていた第二、第三候補と連絡をとる。
第二、第三候補の男性は、自分が第一候補と本気で信じているから情けないそうだ。
いったい自分は彼女の何番目の候補だったのだろう……。
「クリスマスに会ってくれん時点で本命じゃない!」
A子の言葉は、10年近く経ついまでも、私の記憶から消えないのだ。
 
 
「女性を見る目を鍛えな!」
A子に言われた。
どう鍛えるのか? そう聞いたところ、私が可愛いと思った行動を一度疑えとのことだった。
不覚にも笑ってしまった。
確かにそうだ。こんな情けない思いをしたのだ。今度はしっかり見極めてやる!
今度こそ恋を実らせてやる!
そう意気込んだ!

 

 

 

A子の説教から約二年後、私は一人の女性に恋をした。
好きになったキッカケは……、ボディータッチと萌え袖だった。
A子が呆れ果てて溜息を吐く。
そんな姿が脳内に浮かんだ。
男性の皆様にお分かりいただきたい。
「これって、あざといと呼ばれる行動なのだろうか?」
と、疑う気持ちが脳内に浮かんできても、「可愛い」と思う気持ちが、その疑う気持ちを上書きしてしまうのだ。
その恋した女性とはどうなったか?
私は彼女を食事に誘い、彼女はその誘いを快く快諾してくれた。
その食事の後に送ったラインに、既読がつくことは無かった……。
 
それから私は考えた。
あざとい女性との恋は実らないのだろうか、と。
いや、女性は悪くない。私の実力が足りないのだ。
今後も私は、あざとい女性を好きになるだろう。
例え焼酎のようにキープされても構わない。
居酒屋と違ってキープに期限はない。
アイドルの握手会に並んでいるオタクたちのように、並び続ければ自分の番がやってくるのだ。
そう思うと、彼女の一番手でなくても問題はない。
例え騙されても本望だ。
 
色々考えた結果、
『やはり私は、あざとい女性が大好きだ!』
という答えに辿り着いた。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
Shota(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

福岡県生まれ。福岡県在住。
自慢できる肩書き・出版実績・メディア掲載は一切なし。
2023年4月開講のライティングゼミ、2023年7月開講のライターズ倶楽部に初参加。
東野圭吾さんの「ガリレオシリーズ」をキッカケに、推理小説を好きになって約六年。自分でも推理小説書きたいと思い、「このミステリーがすごい!」の大賞受賞を目標としているアニメ好きのサラリーマン。

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2023-10-04 | Posted in 週刊READING LIFE vol.235

関連記事