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天狼院の棚

『アップル 驚異のエクスペリエンス』カーマイン・ガロ著《天狼院の棚》


教えたくない情報というものがあります。

この情報を独占すれば、きっと自分が利益を上げられるに違いない。

そう、確信する情報に触れる場合があります。

実は、本にも同じように、あまりに良すぎるから、教えたくない本というものがあって、今回ご紹介するのはそんな本です。

 

先日書いて、思った以上に反応が大きかった記事がありました。それがこの記事です。

 

書店人失格 〜ある残念な書店員の話〜

 

この記事は、1日で20000PV以上のアクセスがあり、様々な記事に発展して、今もアクセスを伸ばしております。一時は1時間に3000人くらいが集中したので、サーバーにつながりにくくもなりました。僕の記事は、幸い、何度かバズを起こしているのですけれども、過去のバスから見ても、今回は最大でした。これも大きなバズとなった『書店人に告ぐ』の、2倍位上の拡散力をもっていました。

なぜ、そんなに反響があったのか。

おそらく、みんな、CRMやサービスということに関して、関心があるからなのだと思います。

受ける側として、そして、提供する側として、日々、誰もが様々なサービスに接しているので、考えてもみれば当然のことだったのかも知れません。

そもそも、なぜ、僕がその記事を書こうと思ったかといえば、この本を最近、読んでいたからです。

 

アップルの、凄まじいまでのサービスの極意が、この一冊に凝縮されています。Appleだけではなく、アメリカにおける、CRMの最前線も紹介されており、サービスに関連する人にはバイブルになるんじゃないかと思います。あたかも、『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』が、プレゼンのバイブルになったように。

 

我々が一番得意とするのは、優れたエクスペリエンスを提供することだ。

―Apple基本理念

 

この本に書かれていることは、この一文に集約されています。ものではなく、体験を売る。言葉にするのは至極簡単で、理解したつもりになることも、簡単です。が、実践するのが、いかに難しいか、サービスに携わったことがあるひとなら知っているでしょう。

基本的には、できるはずがない。だから、やっているところが、圧勝している。

 

スクロールを強制するようで、恐縮ですが、実はこの記事から、新しいカテゴリーを開設いたしました。いつもの「READING LIFE」の中に、「天狼院の棚」という項目を設けました。

これは、天狼院書店がオープンした時に店頭に並べるのはもちろんのこと、「天狼院のスタッフになるためにかならず読んでおかなくてはならない本」という意味です。つまり、天狼院の理論を形作っている本ということになります。その中には、たとえば、吉祥寺小ざさの『1坪の奇跡』やコトラーの『マーケティング・マネジメント第12版』、板橋悟さんの『ピクト図解』なども入るのですけれども、本当はこれは店の中枢を担う理論が込められた本なので、誰にも教えたくはないと思っておりました。

けれども、ここにこうしたかたちで解禁することを決めたのは、同じ業界で読んだ人の中で、自分がいちばん上手くこの本を使えなければならないと、自身にプレッシャーをかけるためです。

 

天狼院書店は、純粋に本を売った利益で創る書店にしたいと考えております。

また、同時に、本で学んだことで創られ、本で学んだことを最大限に活かす書店でありたいと思っています。

本の申し子として、生まれる書店でありたい。

 

おそらく、そんな純粋培養的なかたちでしか、未来に生きる「強靭な種」には成り得ないと考えるからです。

 

つまり、この「天狼院の棚」というカテゴリーは、ある種、業界に対する挑戦状です。

 

天狼院を作る材料とレシピは教える。けれども、僕がいちばん上手く作ってやる。

 

そんな宣言でもあるのです。

こうして宣言することによって、僕は自分にプレッシャーをかけることができるようになります。そして、そのプレッシャーこそが、成果を残す源になってくれるだろうと信じております。

東京天狼院オープンまであと197日(L-197)。待ったなしの段階に入って参りました。

このジリジリとした焦燥感を、力に変換することができれば、きっと面白いことになるだろうと思います。

 

*ぜひ、お近くの書店でお買い求めください。


2013-02-14 | Posted in 天狼院の棚

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