「努力することが最大の悪」という空気《天狼院通信》
おはようございます。東京天狼院、最短のオープン予定日まで48日(L-48)でございます。
とある大きな企業の会長と仕事をする機会があって、その息子である社長さんにもお父様についてお話を聞く機会があったんですけれども、息子さんは子どもの頃のこんなエピソードを話してくださいました。
「まだ私が小学校低学年の時でしょうか、父は家に帰ってくると、あぐらの中に私を座らせるのですが、こちらがいくら話しかけてもいつも『うん、うん』と生返事しか返さないんですね。それで私は頭に来て、もう『うんうんおじさん』なんていらない!と泣いたことがあったんですが、今思えば、父は会社にいるときだけじゃなく家に帰っても、四六時中仕事のことを考えていたんでしょうね。それだから絶え間なくアイデアを出すことができた」
その企業を会長がそのまた父の初代から受け継いだときの年商は3000万円ほどの材木屋だったそうです。それが今やグループ企業も含めて年商130億円の堂々たる企業になっている。
また、会長は全くの異業種からその業界に飛び込んだのですが、部下のほうが遥かに業界について精通している状態で、若造に何ができると相手にされない状況だったそうです。それを打破するために、絶え間なく努力をしたそうです。
「朝、5時に起きて必死になって勉強しましたよ。業界内の付き合いなどで飲み会や会食などもあって帰りが0時を過ぎる日も多かったんですが、その翌日もきっかり5時に起きて、勉強しました」
それでその業界の難関といわれる国家資格に半年でパスして、それ以降、誰も文句を言わなくなった。
もしかして、こういった物語は「ワークライフバランス」や「足るを知る」がもてはやされる今では、とても旧時代的な古臭いことに聞こえるかも知れません。家庭を大事にしないダメな父親だと。あるいはブラックや何と大合唱で叩かれるのかも知れませんね。(*ちなみに「ワークライフバランス」と「足るを知る」の論点は僕は正しいと思っています。ただし、それは一度でも「上がりポスト」に至ればという条件がつきますが)
しかし、今、僕の知る優れた人たちは、皆人一倍努力している。働いている。才能がある人ほど、その傾向が強いように思えます。そして、人生を楽しんでいる。
今とても危険だなと思うのですが、まるで「努力することが最大の悪」みたいな「空気」ができつつあるように思えます。もしかして、この「空気」は有史以来最悪の空気なのではないでしょうか。
外国人と仲良くすることは天誅に値するという「空気」が以前、日本にありました。
戦争を反対すれば非国民と罵られる「空気」が以前、日本にはありました。
その空気よりも、努力することが罪のような「空気」は恐ろしいのではないでしょうか。
そして、何よりも恐ろしいのは、「努力するのは悪」という空気を鵜呑みにして、努力しない人が増えて、世の中の格差が更に拡大することです。そうなると本屋に来る人の数が減っていき、かわりにパチンコ屋とハローワークに並ぶ列が伸びてくる。
なぜ格差が開くかといえば、理由は明白です。本当に有能な人は、空気がどうであれ「不況」であろうと「努力するのは悪」だと言われようと努力し続けるので、そうでない人との差はますます開くばかりだからです。
逆説的にいえば、絶え間なく努力し続ける人の勝つ可能性が高くなって、かつ、今までよりも多くを得られる可能性が大きくなるということなのではないでしょうか。
なぞと取り留めもなく思いつつ、今日も全開バリバリのフルスロットルで参りましょう。