天狼院通信

死にやがって、バカやろう。《天狼院通信》


人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:三浦崇典(天狼院書店店主)

 

母親のいない世界をはじめて生きた5年間

すべてのきっかけは、母の死だった。
ガンになり、見つかったときにはすでに腹水が溜まっている状態で、がん細胞は全身に広がり、医師の見立ては当初から悪かった。
なんとか、母は奮戦したが、死んだらどうしようとオロオロする家族を残して、65歳で死んだ。

三浦家は基本的に長寿だったので、母の死は、とても意外だった。
なにせ、同居する母の父と母、僕から見れば祖父母は健在であり、婿養子で三浦家に入った父もどこも悪くなくピンピンしていた。
三浦家にとって、母は”要石”みたいな存在だった。三人姉妹の長女であり、祖父母も高齢で、次は完全に三浦家は母中心の時代になるはずだった。
母が死ぬまで気丈に振る舞ってお見舞いにもいかなかった祖父母は、母の遺体が三浦家に到着し、その顔を見ると二人揃って周りが心配するくらい号泣したという。
おそらく、娘が弱っていく姿を見たくなかったのだろう。そう、祖父と祖母は、かけがえのない娘を失った。そして、父は長年連れ添った妻を失った。叔母たちは姉を失い、いとこたちは伯母を失った。僕の甥や姪たちは祖母を失い、母が一緒に旅行に行っていた仲の良かった友人たちは大切な友人を失った。そして、僕と妹と弟は、母を失ったのだ。

僕らは、母の死んだその瞬間から、はじめて母のいない世界を生きることになった。誰もがそれぞれ、悲しみを背負い、誰もがそれぞれのタイミングと割合で、その悲しみの濃度を薄れさせていったのだろう。
49日を超える頃には、なんとか、母のいない世界にみんな馴染み始めたように見えた。
そして、母の死から5年以上経った今では、明確に母に対して怒りを覚えるようになった。

「死にやがって、バカやろう」

風呂や寝るときやトイレにいるときや、多分にひとりでいるときに、そう呟くことが多くなった。

今、冷静に思うと、母は今でも生きていたはずだった。

ただ、毎年、決まった時期に検診さえしっかりと行っていれば、少なくともあんな手遅れな状態になることはなく、ガンもほんの小さなうちに見つかって、今の医療技術なら、十分に対応できたに違いない。
祖父も祖父の弟も、ほんの初期にガンが見つかり、取り除き、祖父などは95歳を超えて今なお健在である。
祖父は非常に臆病な性格で、健康診断や人間ドックを欠かさずに行っていたのだ。
母は僕が高校生の頃に子宮筋腫を患い、手術でそれを取っている。その際に、卵巣や卵管までキレイに取ってしまえばよかったのものの、数十年の時を経て、そこにガンが現れた。いや、これは結果論で、当時の医師の判断は真っ当だったのだろう。そして、きっと当時の医師も想像するに、母にこういっていたに違いない。

「ちゃんと、定期的に診断を受けるように」

母はきっと素直に、はい、と言ったはずだ。
が、後年、父に付き添うかたちで人間ドックを受けたとき、年上の父ではなく、母にガンが見つかった。

母は60歳を超えるまで人間ドックを受けていなかったのだ。

つまり、母の死は、よく考えると母のミステイクなのだ。
大切な娘を失わせ、妻を失わせ、姉を失わせ、伯母を失わせ、友人を失わせ、そして母を失わせた元凶は、母自身だったのだ。

 

世界では自己責任で20%あまりの人が死んでいる

先日、気になってAIを駆使して世界中の情報を精査させてみた。
調べさせたのは、こういう内容だった。

「死のどれくらいの割合が自己責任なのか?」

生活習慣病やメタボリック・シンドロームについては誰もが聞いたことがあるだろう。アメリカなどでは、死因の第1位が”食事”だと言われることがある。正しい習慣と食事さえしていれば、どれくらいの割合の人が死ななくて済むのだろうと、あらゆるAIに調べさせ、考えさせた。
その結果を総合すると、恐ろしい結果が出た。

実に20%以上の人が、自己責任で死んでいるという結論が出たのだ。

無論、母のように人間ドックに行くことを怠ったことも、ここでは自己責任に入れる。
数値から見えることを誤解を恐れずに言うとすれば、なんと、世界では5人に1人が、自己責任で死んでいるのだ。
僕がなぜ、”自己責任”という非常に強い言葉を使っているかと言えば、その習慣的な小さなミステイクの積み重ねが、母のように、大切な多くの人に想定以上に甚大なる被害を与えるからだ。

誰も死んだ人を責めない。

けれども、僕はあえて言う。
なんということをしてくれたのだ、と。

 

喉元過ぎれば、大切なことを忘れる。

ところが、母が死んだ際には、自分は絶対に人間ドックに行こうと心に誓ったはずなのに、母の死から5年以上を経た現在も、僕はまだ人間ドックに行っていない。

理由は、仕事が忙しいから。

これでは、母のことを悪しざまに言えない。自分も同じ怠惰の中にいる。具合悪くなって初めて受診したとしても、手遅れかも知れない。
そうなれば、僕は重大なミステイクを犯すことになる。

「仕事が忙しいから、人間ドックに行けない。」

一見、合理的な帰結に見える。
けれども、これを、ちょっと変換すれば、全方位的合理性を獲得できるのではないだろうか。

「人間ドックに行くことを、仕事にするーー」

そう呟いた瞬間に、たちどころに脳内にインスピレーションが走った。

「そうだ、人間ドックに行くことを仕事にすればいいじゃないか」

そう、儲けながら、健康になればいい。
そうして、電光石火の勢いで構築したのが、「本気で140歳を目指すAIウェルネス倶楽部」だった。

いつでも入会可能/上の画像を押すとHPに飛びます。

 

本気で140歳を目指すAIウェルネス倶楽部

まずはこの倶楽部で、僕は自分で140歳まで生きるための人体実験をしようと考えた。そして、すべてありのままの数値を公表しようと思った。
心理学的には、公開宣言効果と言う。
簡単に言えば、公表することに酔って、自縄自縛で健康にならざるを得ない状況を作ろうと考えた。
さらに、お客様からお金をもらっておきながら、人体実験のメインである僕が、健康にならないだなんて、許されるべきではない。
僕がメタボリックのままでは、返金騒動が起きる。
この倶楽部が上手くいく唯一の条件は、僕が健康を維持し続けることだ。

折しも、生成AI革命の直中である。
生成AIがAGI(汎用型人工知能)を目指す中、病気の治療法や薬の開発の中心には、人間よりも優秀なAIが据えられることになる。
そして、同時に水面下で進行しつつあるもう一つの革命がある。
そう、量子コンピュータ革命である。
これが実用化されると、これまでのコンピュータで、宇宙の開闢から今までかかる計算を、ほんの数分で終えられるという。もはや、同じコンピュータの括りですらない概念だ。

それでは、この2つの革命をクロスオーバーさせるとどうなるだろうか?
つまり、AGIが量子コンピュータを使えば、どうなるか?

ほとんどの病の治療法は解明され、人間はついに「超」長寿時代に突入するのだ。
それは、ほとんど、確定的な未来だ。
問題はできるかどうかではなく、いつ、できるかだ。AGIの誕生はここ2、3年の話だろう。もう、気づけばAGIがいた、という流れになるに違いない。
そして、そのAGIがAIエージェント的にまずは量子コンピュータを開発すれば、量子コンピュータの実用化は間違いなく早まる。

それを10年以内だと、僕は見ている。

つまり、10年以内に人類はほとんどの病を克服できることになる。
こうなると今現在を生きる我々がやるべきことが明瞭になってくる。

そう、この10年をできるだけ健康に生きること、である。

そうすれば、かなりの高確率で”少なくとも”140歳まで生きることが可能だ。
ほんの350年前まで、世界人類の平均寿命は28歳ほどだった。この350年の間に、なんとそれが3倍になった。
ここから、生成AI革命と量子コンピュータ革命を経た人類の寿命が、2倍になったところで何の不思議もない。むしろ、それ以上と考えるのが妥当だろう。

 

そして、2025年5月、僕ははじめての人間ドックに挑む

2025年1月16日、ついに僕は140歳を本気で目指すプロジェクトを始動させる。2025年4月から、お客様向けのサービスを始める前に、先行して人体実験してAIと医師の力を借りて、本気で健康になろうと考えたのだ。
まずはAIの指導に従い、無理のないダイエットを開始する。(※その顛末は次の記事で書く予定だ。)
そして、健康診断を受けて、その結果をAIと医師に診断してもらう。
健康診断をどう活かすかを現役の医師先生、荏原さんと一緒に真剣に考えた。

健康診断がどういうものか、初めて理解することができた。1回目で今まで意味不明だった数値の、ある程度が理解できるようになった。非常に有益な情報なので、皆様もぜひ、このYouTubeを御覧いただきたい。

徹底的に健康になるために、健康のための本をAIと読むための読書会、インフィニティ∞リーディング〈タイプ・ウェルネス/TYPE W〉も始めた。毎月、様々な課題本に真剣に向き合っている。これも、AIウェルネス倶楽部の方は無料なので、ぜひ、参加してほしい。

究極に臆病な僕は、荏原さんにお願いして、初めて人間ドックに行く人向けに人間ドックを徹底して解説してもらう講座を開催した。

そして、いよいよ、様々な検討を経て、僕はついに人生初の人間ドックに挑む。

1泊して、本格的な人間ドックに挑むことにした。結構な項目をやってもらおうと思っている。
この結果についても、全部、AIウェルネス倶楽部で公開して、再び荏原さんに人間ドックの結果の活かし方について、お話を聞こうと思っている。
もし、ここで大きな病気が見つかったとすれば、ポジティブな闘病記の始まりとなる。
間に合ってくれ、と祈っている。
もし、ここで大きな病気が見つからなければ、問題なく140歳まで生きるだろう。
なぜなら、AIウェルネス倶楽部で、半永久的に140歳まで生きるためのウェルネスについて、真剣に向き合っていくことになるからだ。

 

気づけば、母の思惑通りに生きている

母が亡くなったのは、2019年の秋のことだった。その当時僕は、きっと、飛ぶ鳥を落とすような勢いで快進撃を続け、翌年の2020年に4店舗のオープンが決まっており、それにとどまらず、さらに出店の計画が目白押しだった。
喜ぶだろうと思い、僕は忙しい合間を縫って、母が闘病する故郷の宮城に帰り、新しい店の図面などを見せた。
ところが、母は常に、

「そんなに広げて、大丈夫なの?」

と僕にしては鼻白むことを言った。

「それより、早く結婚しないの?」

母にとって、天狼院書店の店舗数が増えるよりも、息子が結婚しないことのほうが心配だったのだ。

「僕は、何一つ諦めてないよ」

それは本心だった。物心ついたときから、結婚願望がなかった時期がない。

「それより、今はやらないとならないことがあるんだよ」

そう思っていた。そして、当時はどこかでこんな冷めた想いを抱いていたのだろうとも思う。
孫が見たいという親のエゴを叶えるために生きているんじゃない、と。

今なら、わかる。

あれは、母のエゴなどではなかった。
僕の幸せを誰よりも願う母親としては、家庭を持つことが最大の幸せだとわかっていたのだ。
成功者になるのではなく、家庭をもち、幸せになることが母が僕に遺した想いだったのだろう。

母が死んでまもなく、中国から嫌なニュースが流れてくる。
それが、2020年には日本に飛び火して、他人事ではなくなる。

コロナ禍の始まりである。

イベントや講座、旅行などをメイン・コンテンツとして、さらに新型店舗を一気に4店舗出した天狼院書店は、コロナ禍の大波に呑まれた。身の丈に合わない非常に大きな赤字を計上し、それが非常に長く続いた。
トンネルから抜けるのが想定以上に長く、経営者としての僕は満身創痍となった。潰れていないのが不思議な状況になった。
実にコロナ禍は実質的に3年以上にも及んだ。

あの悲惨な状況を、母が見なくて本当によかったと思う。

ただ、母にどうしても見せたい姿があった。

母が亡くなってちょうど1年後に、僕は結婚を決めた。
そして、その翌年に子どもが生まれた。

間違いなく言えることは、母が死ななければ、真剣に結婚と向き合おうとは思わなかったはずだ、ということだ。
そう考えると、あのタイミングで子どもが生まれることもなかったかもしれない。

僕はおそらく、周囲のみんなが想像するより、しっかりとパパをやっている。クレーンゲームを始めたのも、子どもを喜ばせるためだ。

子どもや妻とあと100年一緒にいるために、140歳まで生きることに決めた。
そして、健康とウェルネスに真剣に向き合うようになった。

すべては、死んだ母の思惑通りになっている。

子どもと大笑いして遊んでいるときに、ふと、母のことを想う。
もし、生きていれば、この子の誕生を誰より喜んだのは、母だったろう。
おそらく、遠く宮城から何度も上京して、おせっかいに子育てを手伝っただろう。おそらく、妻がちょっと迷惑に思うくらいに。
そして、僕の子どもは、妹と弟の子どもたちと同様に、母に思いっきり懐いたに違いない。

その姿を、僕は鮮明に想い描くことができる。

ただ、そればかりは実現しない未来である。
たとえ、どんな優れたAGIが生まれたとしても、どんな優れた量子コンピュータが現れたとしても、母が僕の子どもを抱くことは、ない。

「死にやがって、バカやろう」

その無念を断ち切るように、いつもそう、呟くように唱える。
誰よりも母に、僕の子どもを抱かせてあげたかった。

 

BOOKLove結婚相談所で実現したいこと

2025年4月、僕は新たな挑戦を始めた。
本屋で出会い、本屋で結婚する、BOOKLove結婚相談所である。
日本最大級の登録者数を誇るIBJの加盟店としての、本当に本格的な結婚相談所だ。

ここでは、非常におせっかいなプランを始めた。
2年間で結婚できなければ全額か半額を返金する「絶対結婚プラン」である。
当然、返金となれば大赤字であるために、僕らスタッフ一同は全力で契約者を結婚させようとするだろう。絶対結婚プランは、自分たちを追い込むためのプランだ。業界でもほとんど有りえないプランらしい。

人間には、家庭を持つ以外にもやるべきことがある。
人間の価値は、家庭では決まらない。

そう母が死ぬまで信じていた僕だったが、今では結婚しなかった人生を微塵も想像できない。
妻や子どもがいなければあのコロナ禍の苦境は乗り越えなられなかっただろうし、最悪の場合、野垂れ死んでいたかもしれない。

僕は母が死ぬまで、結婚に向き合わなかった。
そして、母に今の幸せな姿を見せることができなかった。

それは僕のミステイクだ。

そういう人を増やさないためにも、僕はBOOKLove結婚相談所で、徹底して余計なお世話をして、壮大なるおせっかいをしてやろうと思っている。

そして、BOOKLove結婚相談所で結婚した二人は、さらにおせっかいなことに、AIウェルネス倶楽部に加入してもらって、140歳まで生きてもらおうと思っている。

たしかに、結婚も140歳まで生きてもらうのも、余計なお世話であり、おせっかいだろう。

けれども、2人が140歳まで生きる途上で、今は想定できない、数多くの大小様々な幸せを、2人で噛みしめるように感じることになるだろう。

***

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2025-05-03 | Posted in 天狼院通信, 天狼院通信, 記事

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