なぜ人は大和田常務を演じた俳優の名前を思い出せないのか?《劇団天狼院の方向性について考える》
先日、天狼院のカウンターでスタッフと、ふとある役者さんの話になりました。
「ほら、半沢直樹で大和田常務をやったあの人! うーん、名前なんだっけ」
「ヘルシア緑茶のCMの人に出ている人でしょ? あの歌舞伎の・・・・・・」
「あれだよね、NHKの『坂の上の雲』で正岡子規をやった、あの東大出身の人」
「え? 東大出身なの?」
「そうだったはずだよ、あ、わかった! 中車でしょ!」
「それって歌舞伎の名前でしょ? じゃなくて、俳優の名前だよ」
ここまでわかっているということは、おそらく、みんなの頭の中には「あの顔」が鮮明に浮かんでいたことでしょう。
しかし、誰もが共通して頭にその役者さんの顔は思い出せても、なぜか名前が思い出せない。
実は、これは前にも何度か体験したことです。いろんな場所で同じようなことが繰り返されたような気がします。
僕はその役者さんがとても好きで、すごい演技をするなといつも感心するんですが、それでも名前を覚えられない。
その人が演じた役名ははっきりと覚えるのだけれども、その人の名前が覚えられない。
特別に覚えにくい名前だからでしょうか。
そうでもないでしょう。比較的覚えやすい名前だろうと思います。
だとしたら、どうして覚えられないのでしょうか。
考えているうちに、ある仮定が僕の頭のなかに浮かんできました。
もしかして、あまりに演技がうまいからではないでしょうか。
つまり、その俳優はあまりに演技がうまいから、役の印象の方が強くなる。
たとえば、『半沢直樹』を夢中になって観ている人にとって、大和田常務は、大和田常務以外の何者でもない。
『坂の上の雲』を観ている人にとっては、彼は正岡子規以外の誰でもないのです。
そこで、人は、役名に強烈な印象を受けすぎるあまりに、俳優名を覚えられなくなってしまっているのではないでしょうか。
映画『風と共に去りぬ』は不朽の名作です。
そこで主演スカーレット・オハラを演じたヴィヴィアン・リーは、自分の名前よりもはるかに有名になってしまった「スカーレット・オハラ」という役名に長年苦悩させられたと言います。
自分は「スカーレット・オハラ」ではなくて、ヴィヴィアン・リーなのだと叫びたくなるときもあったのではないでしょうか。
でも、どうでしょう。
大和田常務を演じた、あの役者さんは、自分の俳優名を覚えられないことを、むしろ、嬉しく思うのではないでしょうか。
なぜなら、プロとして演じきったために、自分の俳優名さえも人の頭の中から薄れさせることができたからです。
それこそ、役者冥利なのではないでしょうか。
これからは僕は劇団を本格的に創りあげていこうと考えております。
本屋がつくる「劇団天狼院」。
先日、始めてその打ち合わせをしましたが、もちろん、まだ少しもかたちになっておりません。
ある方面のプロの方も参加する予定ですが、素人集団です。
しかし、素人だからこそできることが多くあるのではないかと思うのです。
「素人」には経験がないというデメリットがありますが、それ以上の利点があると思うのです。
それは固定観念がないということです。
経験は確かに尊いものですが、それ以上にそれと付随しやすい固定観念が進化の妨げになる場合が多い。
これはどの業界においても、どの職種においても言えることではないかと思います。
劇団天狼院の武器は、この固定観念がないことになるかと思います。
また、劇団の方向性として、どうしても実現したいことがあります。
それは、演劇が終了した時に、観客の皆様に終わってほしくないと思ってもらうことです。
僕は演劇をそれほど観たことがあるわけではありません。
けれども、これは演劇でも映画でも一緒だと思うのですが、いい演劇や映画は、時間の経過を忘れさせます。
終わり近くになると、終わってほしくないと途端に寂しくなってきます。
映画で言えば、エンドロールが上がった瞬間に、観客がどう思うかにすべてが現れると思うのです。
何も難しいことではありません。
もし、終わってほしくないと思ってもらえる演劇が作り出すことができれば、それはプロの劇団として成立するのだろうと思います。
ということで、今月も劇団天狼院の企画会議、やります!!
今回は、「私が考える理想の劇団」というテーマでやりたいと思います!
前回参加の方も、お初の方も、ガッツリやりたい方も、とりあえず面白そうだから参加してみたいと軽い気持ちの方も、大歓迎でございます!
ぜひ、お越しいただければと思います!
ちなみに、大和田常務を演じた名優の名前は、もちろん、香川照之さんです。
【イベントへのお申込はこちらから】
TEL:03-6914-3618
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