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天狼院通信

なぜ桃太郎はきび団子ごときで動物たちを命がけにすることができたのか?《桃太郎に学ぶマネジメント》


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天狼院書店店主の三浦でございます。

 

昔、昔あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。

おじいさんは芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました。

すると、川上の方から、どんぶらこ、どんぶらこと大きな桃が流れてきました。

 

おそらく、日本昔ばなしの中でも、最もメジャーな話が、『桃太郎』なのではないでしょうか。

日本人のほとんどが、このストーリーを知っている。

勧善懲悪の英雄談で子どものころは、疑うことを知りませんから、そういう話もあるんだねくらいに思っておりました。

 

ところが、この前、このCMを見て、あれ?と思うところがございました。

 

鬼が、とてつもなく、怖いのです。

半端なく、鬼が怖いのです。

 

実は、『桃太郎』、物語の重要な部分を端折っているのではないでしょうか。

 

だって、あんな鬼がワンサカいる「鬼ヶ島」に誰が好き好んで行きますか。

 

おそらく、討伐軍を桃太郎は編成したんだと思います。鬼ヶ島征伐のための軍隊を組織しようとして、志願兵を募集したんだろうと思います。

ところが、誰も募集に応じなかった。

それはそうですよ、あんなに恐ろしい鬼たちがワンサカいるんですからね。

太平洋戦争で言えば、ガダルカナルですよ、硫黄島ですよ。

きっと、行けば、致死率が半端ない。

まともな人間の大人なら、これに乗るはずがない。だって、誰も死にたくはないはずなんで。

 

たとえば、歴史を見てみると、大阪冬の陣、夏の陣では豊臣方は蓄財していた膨大な黄金を使って浪人を雇い入れて、徳川方と戦いました。そう、お金があれば、何とかプロの傭兵部隊で軍隊を組織できるんですね。

けれども、桃太郎にはお金がありませんでした。

ま、鬼によって村中から金目の物は洗いざらい鬼ヶ島に持って行かれていますから、村にはお金がありませんよね。それに芝刈りをしているおじいさんの家にお金があるとは思いません。

名著『1坪の奇跡』ばりに桃太郎はこう考えたんですね。

 

「なければ、頭を使えばいい」

 

それで、人間がダメならと、仕方なく、桃太郎は動物に声をかけることになります。

だって、おかしいですよね。最初から人間に声をかければいいのに、動物にしか声をかけなかったというのは、きっと人間には相手にされなかったからだと思います。討伐のための軍隊を編成できなかった。その部分を『桃太郎』の話は端折っているのだろうと思います。

 

しかも、ついてくると言ったのは、虎や狼、クマやイノシシならまだしも、よりによって、犬とキジと猿。

 

これはひどい。どう考えても戦力にならない。そもそも、犬と猿なんて犬猿の仲じゃないですか。

チームワークも取れるとは思えない。

 

でも、すごいですよ。鬼ヶ島に行く仲間になってくれたんで、考えてみると彼らを仲間にできたのも奇跡です。

彼らを動かしたのが、おばあさんが作ってくれた「きび団子」です。

 

しかも、「お腰につけたきび団子、ひとつ私にくださいな♪」という歌もあるくらいなので、これはどうやら、犬とキジと猿の方から仲間に入れてくれと言ったらしい。

 

え、命がけになるくらいになるきび団子って何?

吉祥寺小ざさの「幻の羊羹」だって、それほどの訴求はないだろう。

相当の価値があったのだろうと思います、きび団子。

 

しかも、どうも、このきび団子があったおかげで、この桃太郎を中心とした雑兵部隊は、まるでアメリカの精鋭部隊ネイビーSEALSばりに強くなる。皆様、結末を知っているでしょうから言ってしまうと、あんな凄まじく恐ろしい「鬼たちを退治」してしまうんですね、1人と2匹と1羽で。

 

いやね、なんでこんな大まじめに、昔話を検証しているかといえば、僕は昔話や神話には元になった歴史上の事実があったと思っているんです。それは歴史になるほど大げさな話ではなく、村や一族や集落で語り継ぐくらいの内容のことがほとんどで、その場合、書物にして歴史書として残すという概念自体ないでしょうから、口伝になっていく。口伝にするには、やはり、キャラが立っていたほうがいい。おそらく、キャラクターのデフォルメがここに生じるのだろうと思います。

そう考えると、犬、キジ、猿というのは、おそらく、動物ではない。

だって、いませんでしたか、小学時代とかに、おかしなアダ名で呼ばれている友だちが、僕は「モンキーと大根と寿司」と仲が良かったです。もちろん、彼らは人間です。あだ名がそうなだけで。

つまり、犬、キジ、猿は、きっと今で言えば、ヤンキーだったんだと思います。

荒くれ者のはみ出し者だったこの3人がきび団子によって、桃太郎の仲間になった。

 

そう考えていくと、桃太郎の正体も見えてきますよね。

 

そう、桃太郎はヤンキーのリーダーだったんだと思います。

貧しいおじいさんとおばあさんの元で育てられた桃太郎は、村での地位はきっと高くはなかったんだろうと思います。何だか喧嘩は強かったんですけど、武士になれるわけでもなく、領主になれるわけでもない。

腕一本で何とかのし上がらなければならなかった。

つまり、桃太郎はどちらかと言えば、鬼ヶ島を拠点に悪さをしていた「鬼族」と属性としては同じ部類に入っていたんだと思います。

 

いい方を変えれば、「鬼族」という広域指定暴力団に「桃太郎と仲間たち」というヤンキーの集団があろうことか挑んでしまったというのが、日本昔ばなしの『桃太郎』の真相なのではないでしょうか。しかも、彼らは広域指定暴力団「鬼族」に圧勝してしまった。彼らの財宝をふんだくって村に凱旋した。

あり得ないくらいに強かった。四人で大きな暴力団を壊滅させるくらいですからね。

名作『シティーハンター』の冴羽獠くらいには強かったんだろうと思います。

 

それで、『シティーハンター』をご存じの方なら知っていると思いますが、冴羽獠は元々、とある国でゲリラ部隊の不死身の兵士として戦っていました。Wikipediaにその解説があったので引用します。

獠の過去の素性は謎に包まれていたが、物語中盤に明らかになる。獠は物心つかない幼少時代、とある中米の国で飛行機事故に遭い天涯孤独の身となる。そのトラウマもあり、飛行機恐怖症である。この恐怖症は相当のもので、飛行機に乗ると怯えることはもちろん、飛行機の姿、音、「飛行機」という単語自体も嫌いである。ただ、いざという時に、恐怖症は現れない。またアニメ版では第2話でセスナ機に乗るシーンがある。事故で中米のジャングルに放り出されたところを、反政府ゲリラの村に拾われ、それ以来戦闘の世界に生きることになる。そのゲリラ組織の中で一、二を争う戦士だった日系人、海原神が幼い獠に戦い方と生きる術を教え、獠も彼を父親として慕った。冴羽獠という名前は、リョウとしか覚えていなかった彼に海原が付けたものである[14]

海原や同じゲリラ部隊で海原と一、二を争う腕前を持つ、ある人物の元で育ち鍛えられた獠は、メキシコでの内戦で30分で一個師団を壊滅させる程の腕前を誇っていたと言われている(そのエピソードは獠が傭兵時代のことらしいが、それがいつの時期であるかは不明。少なくとも後述するように反政府ゲリラ組織が解散した後と推測できる)。しかし内戦が果てしなく続く中、狂気に侵され始めた海原に騙されて、エンジェルダスト幻覚剤の一種)を投与された。

これを投与された者は人間離れした怪力と運動神経を発揮し、多少銃弾を浴びても死なない「不死身」の体になるが、精神が麻痺し、外部からの洗脳を受けやすい状態になる。これにより戦闘マシンと化した獠は、単独で一部隊を壊滅させる戦果をあげる。この時獠に壊滅させられた部隊は、海坊主が指揮していた政府側の傭兵部隊で、唯一の生き残りの海坊主は獠によって両眼に致命的な傷を負わされる。また戦果にもかかわらず、ゲリラ組織は敵を陰惨なまでの殺戮で全滅させた獠の働きぶりに恐れおののき、独断でこの作戦を行った海原を追放した。獠も禁断症状で長い間生死の境をさまよった。

結局、中米での獠達の反政府闘争は政府軍に敗れ、ゲリラ組織は離散、その後獠は、海原と共に獠を鍛えたゲリラの仲間(ブラッディ・マリィの父)と渡米してスイーパーの仕事を始め、その初代相棒と何らかの事情で離れた後も、ミック・エンジェルやブラッディ・マリィ等とパートナーを組み活躍した。しかし身に危険が迫り、巨大な犯罪組織から逃れるように元々の故郷であるはずの日本に、密入国という形で帰国。やがて新宿で槇村や冴子と出会い、スイーパー「シティーハンター」としての活動を開始する。そして相棒槇村の妹、香と出会ったあたりから作品『シティーハンター』は始まる。

いや、面白いですね。またシティーハンター、読みたくなりましたね。

ここでのポイントが「エンジェル・ダスト」という幻覚剤です。これで、冴羽獠は不死身となるわけですが、僕は「きび団子」はこれに近かったんじゃないかなと思うんですよ。

つまり、山にめっぽう強かった、桃太郎のおじいさんとおばあさんは、きっと山野草のたぐいにも精通していたはずです。そこで、きび団子に調合していたのが、今でいうところの合成麻薬のような効果がある成分だったのではないでしょうか。すなわち「きび団子」は『シティーハンター』における「エンジェル・ダスト」のような存在だった。

それが、村のヤンキーの中では噂になっていたのではないでしょうか。

 

「桃太郎があり得ないくらいにつよいのは、きび団子のせいで、あれがあると強くなるし、気持ちよくなる」

 

つまり、桃太郎をはじめ、村のヤンキーたちはジャンキーだったんですね。

 

そう考えると、「お腰につけたきび団子、ひとつ私にくださいな♪」の歌の謎も、なぜ、たったの四人で広域指定暴力団を壊滅できたのかという謎も解けますよね。

『シティーハンター』の冴羽獠なんかは、一個師団を壊滅するくらいだったんですからね、きび団子でも広域指定暴力団くらいは壊滅できたんだと思います。

 

鬼ヶ島攻略戦は、イメージで言えば、『七人の侍』的だったのではないでしょうか。

泥くさい死闘の末に、『エンジェル・ダスト』ばりに不死身となっていた桃太郎たちは結局は敵を壊滅させて、財宝を抱えて村に帰ってきた。

もちろん、こんな話、正式な歴史に残すことなんでできないしょう。しかも、小さな村の話ですから、その中にそれほど学がある人もいなかったのだろうと推察できます。

けれども、そんな話があったのだということは、口伝えに伝承されていった。そして、『桃太郎』の話ができたのではないでしょうか。

 

ちなみに、戦国の覇王、織田信長も似たような境遇でした。

司馬先生の戦国系の小説『国盗り物語』などによれば、当時の尾張兵は弱兵だった。隣国の三河兵や武田や上杉の軍隊に比べると、個々の兵士の質が劣弱だったと言います。それを天才織田信長は桶狭間の戦いではゲリラ戦で、桶狭間の戦いでは新兵器による新戦術によって打ち破るわけですが、信長も弱兵をマネジメントして強敵に勝つ、軍事的天才だったんですね。

それで、桃太郎が昔話に終わったのに、信長が歴史に燦然と名を残しているのは、単に規模が違ったからだろうと思います。

 

僕は、桃太郎と名を変えた、実在の人物とヤンキーたちの物語が、実際にあったのだろうと思います。

 

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2014-06-08 | Posted in 天狼院通信, 記事

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