心臓外科医、経営者、作家、編集者、デザイナー、様々な業界で圧倒的な実績を上げているトップランナーには共通した「秘密」がある。《天狼院通信》
天狼院書店店主の三浦でございます。
今日もお足元の悪い中、孤高の翻訳者弓場隆さんを迎えての「天狼院LIVE」にお越しいただき、また、時間を大幅にオーバーした中、集中して参加いただき、本当にありがとうございました。
このLIVEのためにはるばる京都からお越しいただいた弓場隆さんに様々お話いただいたのですが、今日の話の中で、やはりそうなのか、と思うところがございました。
弓場さんは365日仕事をしているという。
その理由を聞くと、こうお答えくださいました。
「それは仕事が好きだからですよ。面白くて仕方がないからですよ」
以前の職場ではそうではなかったといいます。
自分の思い通りにできなくて、また職場が求めていることが納得行かなくて、日々、ストレスと不満を抱えて仕事をしていたんだそうです。
けれども、世界中の、特にアメリカで出版されている、年間13000冊にも及ぶターゲットの本の鉱脈から、光り輝く本を見出す仕事が面白くてたまらないのだと仰る。
もしかして、と思い、一緒にご登壇いただいた、ディスカヴァー・トゥエンティワンの藤田出版部長にもお聞きしました。藤田さんは100万部を超えた『ニーチェの言葉』だけではなく、数々のヒット作を世に送り出す、業界でも屈指のヒットメーカーです。
「藤田さんも、長時間働かれますよね。それはやっぱり、編集という仕事が好きだからですか?」
「そうですね。本当に好きだからやれているんだと思います」
若い編集者が仕事が好きだと言う割に、休んでいるのを見ると本当にそうなのかなとちょっと疑問に思うと。
もしかして、天狼院LIVEに何度も参加されている方は、僕と同様にオーバラップして様々な場面を思い出したのではないでしょうか。
天狼院LIVEは、天狼院のイベントの中でも、料金、質ともにトップランクのイベントです。様々な業界のトップの方に、これまでご登壇頂きました。
不思議なことにその方々は、まるで同じ台本があるかのように、同じ言葉を口にするのです。
たとえば、日本でも屈指のトップ心臓外科医新浪博士さんにお越しいただいた時のことです。
「心臓外科医といえば、患者さんの命を預かることになりますよね。そして、年間300件の手術をするとなると精神的にも体力的にも余程のストレスだと思うのですが、先生はどうやってそのストレスと向き合っているのですか? 独自のストレス解消法や時間術などあるのですか?」
と、僕はメモとペンを手に新浪先生に聞いたのですが、新浪先生の答えはあっけないものでした。
それね、答えにならないかもしれませんがね、と申し訳なさそうに前置きしてから新浪先生は言いました。
「僕は手術が好きなんですよ」
だから、ストレスにならない。病院に泊まりこみでも年間300件でも平気だと。
また、幻の羊羹で行列が途切れない、吉祥寺「小ざさ」社長の稲垣篤子さんもこう言いました。
「私は、本当はカメラマンを続けたかったのだけれども、小ざさをやっているうちに、その仕事が好きになっていったの。やっているうちに、何でも好きになる性分でね」
ジュエリーブランドHASUNAの代表取締役社長であり、デザイナーでもある白木夏子さんもこう言いました。
「会社に務めているときには、それはもう、居酒屋でばかやろーだなんだって愚痴を言っていましたよ笑。けれども、HASUNAを始めてからはもちろん、それがなくなりました。自分がやりたいことをやっているんで」
ワーク・ライフ・バランス。
オンとオフをはっきり分ける。
遊べないやつは仕事ができない。
憂鬱じゃなければ仕事じゃない。
全てが、なんだか、正しいように見えます。
耳障りのいい言葉だし、そうならいいのにと誰もが思うでしょう。
けれども、少なくとも、天狼院LIVEにお越しいただいた、各業界のトップランナーたちは予定調和なし、予測不能のスーパーLIVE形式の場所ではまったくそれとは逆のことを言うのです。しかも、異口同音に、まるで用意されていた台本があるかの如くに。
今の仕事が好きでたまらない。
好きな仕事をやっているので、休みがなくとも苦にならない。
もちろん、この人たちは部下にはそれをすすめません。
休みがなくとも苦にならないなどと言うと、今のご時世、言葉尻を取られてどう勝手に解釈されるかわかったものではないからです。
ただ、トップランナーたちは知っているのです。
成功するための唯一の方法は「好きなことを仕事にする」ことなのだと。
そう、誰もがどこかで聞いたことがある言葉です。
しかし、これ以上の真実はない。
ただ、好きなことをすれば、ストレスフリーになるかと言えば、そうではありません。
翻訳者の弓場隆さんはこう言います。
「ある文章があって、自分がそれを訳せないと思うとこれほど怖いことはありません。誰も助けてくれませんからね」
心臓外科医の新浪博士さんはこう言います。
「たとえば、誰もが無理だと言った患者さんが来た時は、プレッシャーに思います」
吉祥寺小ざさの稲垣篤子さんはこう言います。
「朝の儀式でその日できた羊羹を父に食べても売らう時と言ったら、針のむしろに座っているようなものでしたよ」
もちろん、ストレスに晒されているのです。真剣に仕事に向き合うときに、ともすれば、他の人よりもはるかに大きなストレスに晒されているのです。
けれども、それは自分の好きなことに打ち込んだ末にぶち当たった壁であって、この衝突から生まれるストレスは実に良質なものです。
上司に理不尽なことを言われた時に感じる、またはここが自分の居場所ではないと思ったときに感じる悪性のストレスとはわけが違います。
その良質なストレスを日々感じることによって、人は成長し、プロフェッショナルとなって、実績を積み上げていくことになるのではないでしょうか。
あるいは、こうも言えるかも知れません。
好きなことを見つける才能こそが、人が幸せに生きる上で最も重要な才能であると。
最初から、それに出会える人はまずいないでしょう。
悪戦苦闘しつつ、違和感を覚えつつ、様々やってみて、自分が好きだと思えることにたどり着くのだろうと思います。
おそらく、富や名声は、好きなことをしていると自然と後からついてくるものなのだろうと思います。
もちろん、好きな仕事にたどりつくまでには、本当に大冒険が必要になるのだろうと思います。ただし、ポジティブに信じていれば、やがてたどりつくのだろうと思います。
そう、ポジティブというのも、トップランナーに共通したキーワードです。
ポジティブに未来を信じ、好きな仕事に出会う。
つきなみかも知れませんが、これ以上の真理はないのだろうと思います。
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