『金持ち倒産、貧乏倒産』に緊急警告《天狼院通信》
まずは、この記事を読んでもらいたい。
僕は昔から司馬遼太郎先生が好きだから、正直言って、「不動産投資」で儲けてラットレースから抜けだそうというロバート・キヨサキの主張は大嫌いだった。司馬先生が言う通り、「不動産投資」というものは何も産まないと考えるからだ。
けれども、資本主義の本質をえぐり出したともいえる、「ラットレースから抜けだそう」という明快なロバート・キヨサキのメッセージはとても鮮烈で、この主張自体はまったくもって間違っていないと思う。そして何より、この本自体はとても好きだ。これからも堂々と薦めようと思う。
要は、「ラットレースからどうやって抜け出せばいいか」ということを、自分自身で考えればいいということだ。もちろん、ラットレースをしていると認識しつつ、そこで得られる幸せを最大限に享受してもいい。
まちがっても、書店人としてやってはならないのは、「『金持ち父さん貧乏父さん』の著者、倒産したんだってよ、これじゃあ、「金持ち倒産、貧乏倒産」じゃん」と、うまいことを言ったつもりになって、この本の本質も考えずにバッシングし、返品してしまうことだ。
僕はこれからも堂々と棚に残すべき本だと思っている。
ちなみに、本当に会社が倒産したとしても、僕はロバート・キヨサキなら、また新しい方法で復活するのではないかと思う。
失敗に対する耐性が強いひとというのは、途方もなく強いものだ。
さらに言わせてもらえば、もし、本にその後、何年も心に刻まれるワンフレーズがあるとすれば、それだけで、本を買い、そして時間を費やして読んだ価値があると僕は思う。
なにも、全部を全部、鵜呑みにする必要はない。
「この部分はそう思うけど、ここはどう考えても違うな、でもこの本はいい本だ」
という読み方があっていいと思う。
常に、自分の頭で考えながら読む癖をつけた方がいい。そうすれば、きっと、つまらないことに流されなくて済む。