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古典作者も生身の人間~例えば、清少納言はパンクロッカーだ~


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:鈴木優紀乃(ライティング・ゼミ平日コース)
 
・清少納言は平安時代の女流作家で、枕草子という日本最古の随筆を書いた人物である。
・枕草子の冒頭は「春はあけぼの」で始まる。
 
高校のテスト勉強で覚えることと言ったらそれぐらいだろうか。
 
私は清少納言が好きだ。彼女の書いた枕草子も好きだ。
私は清少納言が好きだから、紫式部は嫌いだ。
清少納言は明るく華やかな人で、紫式部はちょっと根暗っぽい……。
何だか友達の話をしているようだが、実際私は、友達に近い感覚で彼女たちを捉えている。
そんな風に捉えることで、古典文学はかなり手に取りやすくなるんじゃないだろうか。
もしも、
「遥か昔の人が書いたものなんて興味ないよ……」
と思っている方がいたら、ちょっと話を聴いてほしい。
 
昔からなのだが、私にとっては古典文学も現代の小説も地続きで、全て「文学」という大きな引き出しに放り込まれていた。古典文学の作者たちも同じで、遥か昔の「歴史上の人物」というよりは「作家」の引き出しの中にいた。清少納言も紫式部も、伊坂幸太郎や辻村深月と一緒くたである。
そんな私が声を大にして言いたいのは、
「清少納言って、実はすごくパンクな人だったんじゃないの?」
ということ。
 
彼女の主は藤原定子という。満月の歌で有名な平安時代の権力者・藤原道長の、長兄・道隆の娘である。道長は、実は四男か五男であったらしく、初めは権力から遠い存在だったようだ。先に台頭した道隆は娘を天皇の后にした。やがて自身も関白となり、息子たちも出世し、栄華を極めた。
しかし彼らの栄華は長くは続かなかった。豪胆に見えた道隆があっさりと亡くなってしまうと、関白の座は三男・道兼に移り、その後道長の時代が到来する。
清少納言の主・定子中宮は皇后に追いやられてしまう。形の上では皇后と中宮は同列だが、後からやって来た道長の娘・彰子中宮の優勢は明らかだった。
 
こうして彼女たちはメインストリームではなくなり、時代の隅っこに追いやられてしまったのだ。
 
しかし、である。
清少納言が書いた枕草子に、そんな話は一切登場しない。枕草子の中で描かれているのは、ひたすらに明るく華やかな、定子とその周囲の人々の様子なのだ。
華やかだった過去を振り返って書いている部分もあるが、他の歴史物語と照らし合わせてみると、
「あれ? この時代ってもう不遇だったはずじゃ……?」
という時期の出来事も書かれている。
それなのに、めちゃくちゃ明るく楽しいエピソードばかりなのである。
 
清少納言という人には、プライドが高く勝気な人、というイメージもある。そんなふうに言われる理由は、男性との言葉遊び的なやり取りで勝利したエピソードが豊富にあるからだ。
勝気な性格だから、主人の不遇なエピソードを書きたくなかった、という解釈もあるだろう。彼女のことだから、そうかもしれない。
けれども、その姿勢が、「かわいそうだな」とか、「強がってるな」という風には、私には感じられないのだ。
寧ろ、めちゃくちゃカッコイイ。
私の大好きな、パンクロッカーのように。
 
ほとんどのパンクロックは、メインストリームではない。言わばアンダーグラウンドの存在だ。彼らは時の主流ではない側から世界を見て、聞いて、表現している。
けれどメインストリームを、あからさまに、声高に批判したりしない。恨みを込めることで、言葉を、言葉に宿る魂を、濁らせたりしない。
作品の中に、明るさと楽しさと激しさだけをパッケージする。暗くて狭いライブハウスの中にいて、その世界に誇りをもって生きている。
寧ろ、暗闇の中にいるからこそ、見える世界は色鮮やかになる。
もし清少納言が仕えたのが道長と彰子中宮だったら、彼女はこんなに素晴らしい言葉を遺せなかったかもしれない。彼女が属したのがメインストリームだったら、彼女の筆はこんなに生き生きとした色を私に見せてはくれなかっただろう。
綴られたエピソードがフィクションか、ノンフィクションかなんてわからない。けれども彼女の筆が伝える手触りはリアルだ。
 
確かに古典作者は遥か昔の人たちだ。
でも、当然のことながら、書いている時は「今を生きている人」だったのだ。
だから、手始めに彼や彼女の人物像を想像して、友達になれそうか考えてみよう。なれなさそうだったら、その人の作品はパスでいい。
まずは1人の「友達」を作ることから始めてみてほしい。
 
 
 
 
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2019-09-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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