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共鳴とはこのことだ


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記事:山田THX将治(ライティング・ゼミ特講)
 
 
「これなぁに?」
「あれどうなったの?」
この一週間、一生分のこんな質問を受けた。
 
ラグビー界唯一の国際大会のワールドカップが現在、日本で開催されている。しかも、“4年に1度じゃない。一生に一度だ!”のキャッチコピーの元、連日超満員の観客で、会場が埋め尽くされている。そうなると当然のことだが、初めてラグビーという競技に触れる方もいるので、競技経験がある私の様な者に初歩的な質問が集中してしまうのだ。
しかも、テレビCM(ワールドカップの)に“にわかだっていいじゃないか”と有るので、私もそれに少しは協力したいとも思ったりする。初歩的な質問は、時に新鮮で思わぬ気付きをさせられたりもするからだ。
子供を育てたことのない私には、新鮮で有る反面少々面倒でもあった。多分、子供の成長中、親はこうした質問に毎日さらされるのであろう。
 
そんな訳で、日本中を挙げてラグビー・ブームが襲来している。
これが、野球の様に国内でコンセンサスが確立した競技であったり、相撲の様に伝統があったりすれば良い。または、陸上競技の様にデジタルに結果が出る、記録競技ならなおさらだ。
ところが、ラグビーという競技は国内でまだ、マイナー競技の域を出ておらず、その上ルールが複雑というから始末に困る。しかも、毎年の様に新たなルールが決まったり、詳細が変わったりするのだからたまったものではない。
これでは、昨日今日観始めたファンには、理解出来ないのは当然だ。
ただ、観戦券が全く取れなかった私からすると、これほどまでにラグビーを観たがっている多くの方が居ることは、嬉しく感じたりもする。これを機に、ラグビーもマイナー競技から脱するかもしれないからだ。
 
もう半世紀以上もラグビーを観続けている私は、今日に至って改めて“ラグビー校式フットボール”という競技の面白さ・素晴らしさ・崇高さを認識した。
それは、今回のワールドカップを機にラグビーという競技に初めて触れた方々の喜び様を見ると、初めて秩父宮ラグビー場の正面階段を駆け上がった、私の幼い日を昨日のことの様に思い出すからだ。そして、今行われているワールドカップには、世界中の観客が大挙して日本に来ている。その、世界標準ともいうべき応援スタイルは、日本の‘にわか’ファンにも、好影響をもたらしているようにも見える。
これで、来年の東京オリンピックの歓迎体制も整ったといっていいだろう。
 
今回のワールドカップ、日本代表の躍進もさることながら、各国代表チームが事前の練習で訪れた日本全国の街が、ホストタウンとしてその代表チームを応援する姿が賞賛されている。これも、日本独特の“おもてなし”として、世界中に報じられている。日本中のラグビーファンが、誇ってもいい所だ。
日本の観客に感動した選手が、試合後に観客に‘お辞儀’する日本のスタンダードが、世界の選手に認められている証拠だ。
まさに、日本のファンと世界を代表する選手とのパスがつながったのだ。
 
そんな日本中の熱狂の中で、古くからのラグビーファンである私は、チケットが取れなかった。仕方なくパブリックビューイングや、スポーツバー等での観戦を余儀なくされている。ラグビーファンが増えて嬉しい半面、独りテレビで観戦するのはみじめになるだけだからだ。
パブリックビューイングやスポーツバーでは、私と同じくチケットが入手できなかったと思われるラグビーファンが集っている。その盛り上がりは、競技場と遜色無い筈だ。
 
そう、この盛り上がりこそ、スポーツ観戦の醍醐味だ。生観戦に越したことはない。選手と同じ風を感じ、雨に打たれたりもするからだ。その上、グラウンド近くなら、生身の選手がぶつかり合う音を聞くことが出するからだ。
その音は、普段決して耳に出来るものでは無い。
しかし、生では無くとも、大人数で観戦することは、独り観戦では味わうことが出来ない“一体感”が存在する。だから、長年観戦していても、飽きることは無いのだ。
 
ワールドカップでラグビーを観始めた方には、是非この機会の一体感という共鳴を、記憶に留めておいて欲しい。
そしていつの日にか、一緒に生観戦してみたいものだ。
 
一つ我儘を聞いて頂けるならば、ちょっとだけでもルールを覚えて欲しいことだけだ。
 
 
 
 
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2019-10-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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