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真面目に遊ぶ! ボードゲームが起こす学習革命


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:飯野 曜充(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「あれ? 父ちゃん負けちゃった……」
今年で五歳になる幼稚園生と39歳の父親。
親子間での下克上は、意外にも早く訪れた。
 
それは、カタンというモノポリーに似たボードゲームをやっていた時のことだ。
このドイツのボードゲームは、1995年から世界中で遊ばれており、その業界では
知らない人がいないほどに有名である。
 
大航海時代に発見された無人島カタンを舞台に複数の入植者がしのぎを削り、
もっとも繁栄したプレイヤーが勝利するといった設定だ。
木材、羊毛、麦、鉄、粘土といった資源を集め、街道や街を作り、発展させることで
ポイントが増えていき、合計で10ポイントに達したプレイヤーが勝利となる。
 
このゲームは5~6年前に購入したまま、押し入れに封印されていた。
ルールがとっつきにくそうなことと、家で付き合ってくれる人がいなかったのが、
その理由で子供が大きくなった今しかないということで最近解禁された。
 
小学生と幼稚園児と私(39歳)という固定メンバーで2回ほどしかプレイ出来ていない。
全員ルールを探り探りだったことと、人生経験を理由に問題なく勝てていたが、
この時は、序盤から息子帝国の勢いがすさまじかった。
 
カタンの六角形の大地は、まるで万里の長城のように中央からバッサリと敵軍の街道に
分断された。そこから先に領土を伸ばすことは、もうできなかった。
拠点もバランス良く配置されており資源も豊富。
騎士団も相当数集められており盤石だ。
 
しかし、息子は追撃の手を緩めない。
彼の息がかかった盗賊が、私の拠点に送り込まれる。
資源の生産を邪魔するどころか盗みまで働き、反撃の芽を摘みにかかった。
 
「ここに置かれると父ちゃんは嫌なんじゃないかな~」
ニタニタと奴が笑う。
「まだいける! 勝ち筋はある!」
そうして巻き返しを狙うも、早々に10ポイント先取されゲームオーバーである。
 
幼稚園児にはルールが難しいかもしれないと油断していたところはある。
しかし、最短距離で勝利を目指す作戦は、かなりうまくいったように思う。
 
私は彼らの親であると同時に、ワークショップをして人の教育に携わる仕事をしているが
今回の彼の躍進は、とても意外なものだった。
 
息子はこのゲームをまだ3回ほどしかやったことがない。
それにも関わらず、彼はポイントを最大限に稼ぐ戦略を練って実行し、
一番厄介な敵である私も盗賊を使い完封した。普段から戦略を巡らすような
性格であればともかく、普段はお調子者の普通の子供だ。
 
彼の急成長の裏には、何があったのだろうか?
 
楽しい! 勝ちたい! そのように感情が高ぶったとき、子供はとてつもない
密度で考え、学んでいる。その集中力たるや、学校の勉強の比ではない。
今回たまたま、遊びの中でそれが起きていたのではないだろうか?
 
ゲームは、学びにとってカレー粉のようなものである。
使い方を間違えるとなんでも同じ風味に塗りつぶしてしまうが、
バランスと対象を考えて使えば素晴らしい料理を産み出すことができる。
それぞれ真逆のポジションにいるように見えるが、成長にとって欠かせないものなのだ。
 
カタンで遊ぶことを通して、
・目標に向けて作戦を立てる能力
・限られた資源を使い、最大のリターンを得るように考える力
・資源の交渉を通じてのコミュニケーション
・相手の弱点を見つけて、そこを突く実行力
こうした学びがあったのではないか。
 
大げさだと思われる方もいるかもしれない。
しかし、実際に世間では子供に教えるための手段として、ゲームが使われており、
英単語を覚えるゲームなどはよく見かける。
 
有効なら学習ゲームをとりあえず試してみればよいのでは?
そう思いたい気持ちは分かる。しかし、物事はそんなに単純ではなかったりする。
 
多くの場合において、教育を重視したゲームは楽しめず。
面白いゲームで学びたいことが学べるとは限らない。
遊びと学びのバランスが重要で、楽しいという気持ちを起こせないと成立することはないのだ。
 
その点で、ドイツの有名どころのボードゲームは、王様になったり経営者になったりと
生きる上での知恵のようなものを教えてくれる。昔から読み続けられている名著を読むようなものだ。
 
とはいえ名著(名作)は、子供に難しい場合もある。
最初からしっかりとルールを理解し、遊んでもらうことが難しい。
そうした場合は親がやり方をかみ砕いて説明しガイドできるようにしておくことが望ましい。一緒に遊びながら徐々に慣れてくれば、今回の息子のように自発的に勝つ方法を考え始める。
 
たかがゲーム、されどゲーム。
あまり子供と遊ぶのが得意でない私としては、お互いに本気で楽しめる
共通の趣味として、ボードゲームで遊ぶことが少なくない。親子でじっくり
コミュニケーションをとるきっかけにもなるし、社会を学ぶ上でとても有効だ。
 
遊びは勉強の邪魔にしかならないと今まではのけ者にされてきた。
しかし、自発的に考え、学び、育つ。
そんな未来を担う子供を育てていくのに、楽しい感情を呼び起こす遊びは重要だ。
ボードゲームは、遊びと学びを結びつけバランスを取るための架け橋になるかもしれない。
 
 
 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2019-10-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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