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パソコン基本操作の呪い


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:いしだあい(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「パソコンの基本操作(ワード・エクセル)」
ハローワークの求人票で見かけるこの言葉。多くの就職希望者にとって、この言葉は呪いの言葉になりうるのだ。
 
地元の短大を卒業して就職した1997年は、規模の大きな会社が相次いで経営破綻した年だった。就職氷河期のど真ん中である。たまたま正社員として職に就いたけれども、同級生の多くがフリーターとして社会に出た。一度正社員から離れるともう二度と戻れない、そんな暗い影を背負った時代だったように思う。
 
当時の求人票に「パソコンの基本操作(ワード・エクセル)」を求めるものはほとんど無かったように思う。とはいっても全くデジタル機器が使われていなかったわけではなく、文書作成にはワープロが使われていた。私が就職した会社でもワープロは電子的なタイプライターという位置づけで、数ある仕事道具の中の一つだった。
 
職場にパソコンが導入されたのは2000年のことで、ワープロとは違ってパソコンはとても未来的に見えた。今までの仕事道具とは明らかに様子が違っていたけれど「今後の業務は基本的にパソコンを使うこと」という本社からのお達しにより私たちはなんとかしてパソコンを使いこなさなければならなかった。
 
ワープロからパソコンへの置き換えは困難を極めた。営業所50名の中でパソコンが使えたのは情報系の専門学校を卒業した2名だけで、職員のほとんどはパソコンの使い方など全く知らないのだから、それぞれが分厚い説明書を見ながらなんとかするしかない。たった1台のパソコンを使うために時間制が設けられ、限られた時間の中でなんとかして仕事をこなさなければならない苦しい状況に置かれた。当然、日常の業務は滞りがちになった。似たようなことは日本全国の会社で起きていたのではないだろうか。
 
当時勤務していた会社を辞めた後いくつか職場を変えたのだけれども、職場によって必要とされているパソコンスキルは異なっていた。そのたびに市販のテキストを買ってはトライアンドエラーを繰り返し「自己責任」でなんとかしてきた。今のように検索すればなんとかなる時代ではなかったけれど、とにかく「仕事をできるだけ手早く終わらせる」目的のためだけにパソコンの技能習得をしてきた。必要だから技能を覚える、その繰り返しだった。
 
あれから約20年。今の私はパソコンインストラクターの仕事をしている。2000年当時はろくにパソコンを使うことができなかった「私が」だ。昔の苦労が今の仕事に活かされていると言えば聞こえはいいのかもしれないけれど、もうすぐ2020年になろうとしている今でもパソコンの技能を習得したい人はたくさんいる。私が出会う生徒さんたちの多くがパソコンの使い方を知らずに社会に出た「就職氷河期世代」の人たちだ。そして、パソコンが使えないことを「自己責任」だと言われてきた世代の人たちなのある。
 
パソコンのインストラクターをしていると、「いまさらパソコンの技能なんか身に付けたところでなんの役にも立たないのに」と言われることもある。反対に「パソコンの技能を身に付けなければ、仕事ができない」と考えている人も多い。両者の言い分は永遠に平行線をたどるのだろうけれど、この議論に不足しているのは「目的」ではないかと考えている。
 
自分の代わりにパソコンの電源をONにして、ワードを開き文字を打ち込んで印刷してくれる「自分以外の人」が身近にいるならそれでよいわけで、このような人たちが今からワードの使い方を学ぶ意義はほとんど無いだろう。仕事の目的を果たすためにパソコンが必須ではないのだから。
 
反対に、パソコンの技能を身に付けなければ、と思っている人はどうだろう。これは冒頭に書いた「パソコンの基本操作」を求人票で見かけている人に多い。就職や転職のタイミングでパソコンの技能を身に付けたいと考えている人たちだ。
では、パソコンの使い方を覚えたら就職できるかというと。残念ながら、答えはNOなのだ。
 
そもそもパソコンは道具である。
チラシを作りたいからワードの使い方を覚える。
遠くに住んでいる友人に写真を送りたいからメールやメッセージの送り方を覚える。
目的を達成するために道具の使い方を覚えるのが自然な流れだが、これがいつの間にか逆になって「パソコンの使い方を覚えたら就職できるだろう」に化けてしまうことがある。
 
仕事の目的を達成するために、ワードを使ったりエクセルを使ったりする。仕事の場面によっては使い分けが必要になるかもしれないが、それを選ぶのも仕事のうちだ。つまり、ただパソコンが使えるだけで就職できるわけではない。何の目的で道具を使うのか、はっきりしなければ動かしようがないのだから。
 
とはいっても、生徒さんにパソコンが使えるようになっていただくのがパソコンインストラクターの務めであるから、私たちは「就職してパソコンが活用できる未来」の可能性を大事に仕事していると言ってもよい。「目的」を見失わないようにサポートしながら。
 
もしもあなたが、自分でパソコンを使えるようになりたいのであれば、あきらめないでほしい。パソコンの技能を身に付けることに遅いということはない。「目的」を持って学ぶ限り、パソコン基本操作の呪いは必ず解ける。
 
 
 
 
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2019-11-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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