メディアグランプリ

Facebookは本当にクールなのか


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:かもめ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
人は何かを話したい生き物である
話したいことをため込んでしまうとストレスになるのだろう。誰かに話すとすっきりする。
特に、女性のおしゃべりは尽きることがない。
内容などどうでもいい。とにかく聞いてくれさえすればそれでいいのだ。
 
私は、弁護士として、日々、一般市民から法律相談を受けているのだが、相談に来られた方が延々としゃべり続けて、なかなか私に話させてくれないときがある。相談者が一呼吸置いたので、ようやく私の番だと思って助言し始めると、いえいえ先生そうじゃないんです、と言って、またおしゃべりが始まる。そのような場合でも相談料はかかってしまうのだが、案外、気持ちよく支払ってくれる。先生ありがとうございました、スッキリしました。などと言って帰って行くのである。
 
ネットの普及によって、SNSが井戸端会議の代替手段となっているようにも思う。
日常の出来事を絵日記のようにアップして、いいねボタンを押してもらう。
シンプルだけど、自己肯定感がほんのちょっと満たされるコミュニケーション。
もちろん、SNSだけですべてが満たされるわけではないが、井戸端会議が多少減る効果があるのではないだろうか。
2ちゃんねるなどは、読むに堪えない罵詈雑言が満載だが、ドロドロとした匿名の本音が吐き出されることで、逆に、その人の中で何かが健全化しているのかもしれない。
 
ネット投稿は楽だ。
発信する側は、好きなだけ発信すれば良い。受信する側も適当に読んだり、一生懸命読んだり、好きなように読めば良い。
いいねボタンはご愛嬌。適当に押しているだけかもしれないが、そんなことはわからない。クリックするだけなのだから。
発信する側は、押してくれた人の気持ちがわかるわけではないが、いいねの数が励みになる。全部読んでもらえているとは限らない。多分読んでもらえてないだろう。でも発信しただけで満足できるからそれで良い。
受け手も、好きな記事だけ読めばよいから、お互いwin winの関係になれる。
つまらない話をずっと最後まで聞かなくてもいい。興味のある話だけをかいつまんで読めば良い。反応はワンクリック、いいねを押すだけだ。
足跡も残らない。
 
かつては年賀状だけと言う友達もいた。年1回のやりとりだけど、なんとなくつながっている感じがするトモダチ。Facebookのトモダチがそれに変わったのかもしれない。
年賀状よりは、情報量が多いし、コメントですぐに反応できる。
 
今ではあまりにもメジャーになりすぎてしまったが、初期の頃のFacebookはクールだ、と言われていた。
実名だけど情報は限られている。使い方次第で、なんとなく仲良くなった気になるし、久しぶりに会っても親近感を感じられる。ときには女の子を口説くツールにもなるだろう。
そんな、ドライな距離感が、クールと評されたのかもしれない。
 
しかし、多くのFacebookユーザーは、こんなおいしいものを食べたよとか、夕日がきれいだったよとか、ちょっとした幸せを伝えたい場合に投稿しているように思う。他の人に伝えたいニュースを貼り付けてくる人も多い。
私もFacebookのユーザーだが、あまり意味ないのかなと思いつつも、インスタ映えするような食事をしたときは、ついつい写メを撮り、投稿してしまう。まるで昆虫をたも網で捕獲するようだ。
すると、優しいトモダチが(たいていの場合、いつもの常連なのだが)、いいねボタンを押してくれる。
別に、食レポをしているわけでもなく、私がおいしい想いをしただけなのに、それに対して、評価してくれるのである。ありふれたメニューの場合は、いいねが少ないが、小洒落たお店で見栄えのするメニューを撮影すると、いいねが多くなる。一応、内容をみて品評してくれているのだ。
おそらくは、うまく撮れているよとか、珍しいねとか、うらやましいーとか、そんな感情になったときに、押してくれているのだろう。自分もそうだからわかる。
いったいこのコミュニケーションは何なんだろうか。
SNS以前にはなかったタイプのコミュニケーションだ。
果たして、これもクールなのだろうか。
 
幸せ自慢だとか、馴れ合いのお遊びなどと言われてしまうのかもしれないが、それでも私は、そのお遊びが好きだ。単なる自己満足に過ぎないのかもしれないが、それもまた、ストレス解消や精神の健全化に役立っているように思うのだ。
決してクールではない。
しかし、ベタベタした生のコミュニケーションの代わりにもなるし、仲良しさんやお久しぶりの人とのおしゃべりの材料にもなる。
面倒な人格が透けて見えてしまうときもあるが、ウェブ上のことなので、さほど気にならない。
今日も、私の取るに足りない記事に、トモダチが“いいね”してくれた。
ありがとう。そうやって、私は、支えられているのだ。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 
http://tenro-in.com/zemi/102023
 

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


2019-11-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事