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ラムセス2世の愛用品


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:吉澤香子(ライティングゼミ日曜コース)
 
「例えばこれはラムセス2世が愛用していたものと同じものなんですよね」
「え、同じもの!?」
「そう、口伝で伝えられている伝統的な製法を使ってます。レシピは同じなんです」
 
大阪のとあるホテルのラウンジで開かれたエジプト香油の体験会に私は来ていた。
ランチタイムを過ぎたゆったりとしたラウンジの中、6人の女性で囲むテーブルの前には小瓶に入った液体が20数種類も並べられていた。
 
「エジプト香油は様々な種類の花、果実、根などから作られています。香水やアロマと違うのは製法です。アロマは水蒸気蒸留ですが、香油は大理石の石臼でこして作られているんですよ」
 
エジプト香油を輸入販売している主催者の方の説明は続く。製法は正直説明されてもよくわからなかったが、濃度はジュースとスムージーくらい違うんですと言われてようやくイメージを掴むことができた。
実際に香りを嗅いでみるとアロマとの違いは明確だった。アロマの香りが鼻から脳に届くのが自転車の速度だとしたら、香油の香りが脳に届く速度は車が走る速度並だ。一瞬で脳までたどり着いて、他のことは何も考えられなくなる。
そもそも五感の中で嗅覚だけは一番脳の感情や本能をコントロールする部分に直接に伝わるという。
私たちは目で見ることや耳で聞くことは取捨選択するようにできている。妊娠したら妊婦を見かけることが急に増えたり、周りがうるさい中でも自分の名前を呼ぶ声は不思議と聞き取れることがある。これらは脳が外から入ってきた情報を必要なものと、不必要なものに分けて処理した結果なのだ。
しかし、嗅覚はそういう情報の処理を経ることがない。
屋台の焼きそばの匂いを嗅いで子供の頃の花火大会のことを思い出したり、線香の香りに反応して今は亡きおばあちゃんのことを思い出したり、香りをきっかけに記憶がよみがえる経験をした人は多いのではないだろうか。これも嗅覚が脳に直接働きかけているからである。
香りが非常に濃いエジプト香油では脳への刺激もその分濃いものになる。リラックス効果や自浄作用、美容や女性ホルモンの安定などにも効果があるものも多い。
 
「他の人がつけた香油と自分がつけた香油を両方香ってみると、全然香りが違っているんです」
 
さらに、と言われて試してみて、驚いた。
確かに同じ小瓶からつけたはずなのに、香りが人によって違う。全く違う香りというわけではないのだが、甘さが強調されていたり、さっぱりとした香りになっている。
主催の方曰く、その人のエネルギーと混ざり合って香りが変化するという。見せてもらった私物の香油も確かにテーブルにおいてある同じ種類の香油と比べて、だいぶ色が濃くなっていた。不思議な話だが、本当の話だ。
 
体験会の後に気に入った香油を3種類購入して、香油とともに生活してみた。
ラムセス2世が使ったというラムセスⅡ、リラックス効果があるラベンダー、大人の女性を思わせる濃厚な甘さを含むミーナ。
メイクが終わった後に2、3滴を手首の内側につける。香りが濃いので、香水に比べて量は少なくても十分だ。
その日使うものは直感で選ぶ。同じ香油でも天候や自分の気分によって香りが違って感じられて面白い。日によっては2種類をブレンドして使うこともあった。
人混みにもまれたり、仕事で疲れた後に手首をそっと鼻に近づけて香る。そうするとふっと意識がリセットされるような、守られているような感覚になる。
なるほど、古代エジプトでは神官たちによって作られ、神に関わる儀式や魔除け、オーラの浄化に使われていたのもうなずける。濃厚な香りを嗅いでいると、精神が現実世界から1瞬切り離されたような感覚になる。
 
ご存じかと思うが、ラムセス2世とはエジプト第19王朝の3代目のファラオ――王である。エジプト王朝で最も繁栄した時代を築いたという王様だ。
ラムセス2世が生きたのは紀元前1200年頃。つまり今から3000年以上前の王様が愛用していたものと同じものを現代の私たちが使っている。
エジプト香油は100年続く亀の子たわしやカルピスなど目ではない、究極のロングセラー製品だ。
 
 
 
 
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2019-12-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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