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横浜市民は横浜大好きな自分が大好き


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記事:池田智(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「出身は横浜市です」
 
私に限らず、子供の頃から横浜に住んでいる者は出身地を聞かれると、横浜出身だと答える。
 
横浜愛と横浜プライドが高すぎるからだ。
 
出身地とは明確な定義はなく、中学卒業までに一番長く居住した地域がそれに相当するらしい。
 
また「出身は横浜市です」という側の言い分はこうだ。
「出身は神奈川県です」と答えると、神奈川のどこ?と聞かれて、最終的に横浜と言うことになる。それなら最初から「出身は横浜市です」と言った方が話が早い。
また横浜市民であるひいき目を割り引いても、「横浜」は全国区でわかる地名だからというのもある。
 
更に、横浜市民には妙な選民思想のようなものがあり、横浜とその他神奈川県下は別だという意識があるようだ。
神奈川県の一括りにされるのもプライドが許さないらしい。他県から見たら、正に”目くそ鼻くそ”程度の話である。
 
横浜市民は関東の中で、恐らく唯一”東京に劣等感”を持っていない。横浜愛と横浜プライドが高すぎるゆえか、負け惜しみでも何でもなく、素で「別に東京なんて羨ましくなんてないし」と言えちゃうのである。
もっというと、十把一絡げに「東京」とか「東京方面」みたいにまとめられるのを嫌う。
友人と京都に行ったとき、「どこから来たの?」の問いに23区在住の友人は「東京からです」と答える。もちろん自分は「私は横浜です」と答える。間違っても東京からの友人に便乗して同じです、とか、東京の方からですなんて言わない。
この言葉の中に、横浜は横浜。東京と一緒にしないで感が出てしまうのが横浜市民なのである。めんどくさいな(笑)
 
横浜市民は、とにかく横浜大好き、横浜最高! と思っている。他の地域と比べて上か下か、ではなくとにかく横浜が好きなのである。東京には東京の良さがあることを知っている。そして、その上で横浜が最高と思っている。
だから横浜には、東京〇〇〇などという「東京」の名を冠する施設類はない。なぜなら「東京」の神通力を必要としていないから。まかり間違っても横浜に、東京なんちゃらを作ろうなんて考えてはならない。瞬殺で却下されるだろう。
 
仕事やイベント、用があって東京に行くことは必要なので別段何とも思わない。そう、東京は”必要があれば行く”場所なのだ。目的もなく遊びに行く、買い物をするなら横浜で充分である。横浜には何でもある、と普通に思っているので困らないのだ。
 
以前、横浜出身の女子3人と東京のイベントに行ったことがある。イベント終了後に、まだ時間も早いのでどこかに行こうか、お茶か食事でもするか、となったとき、私も含めて全員が黙り込んでしまった。
何のことはない、東京でこれから何をする?どこに行く?がイメージできなかったのだ。沈黙に耐えかねて「とりあえず、横浜に戻ろうか」と提案すると、全員が救われたような顔をして同意したのである。
そして横浜駅に到着すると、これからあそこに行こうか、ここでご飯を食べよう! などの意見交換が活発になるのである。
 
横浜市民は羽田空港の道案内が出来ない疑惑がある。以前、他県出身で神奈川県に住んでいる人に、車で羽田に行くにはどうすればいいかを聞かれたことがある。
「適当に道を走って、高速のランプに乗ってヒューっと走っていると羽田に着くよ」と答えて、不親切だと怒られたことがある。だが、他の横浜市民に同じ質問をしても、金太郎飴のように同じ答えだったそうで、横浜の人は訳が分からないと泣いていた。これはいい加減なのでも、質問者を馬鹿にしているのでもない。他に答えようがないのである。
とにかく車でどこかの入口から高速に乗って、「羽田」方面の矢印に従って走りさえすれば、羽田に着くのである。
 
港が出来て、海外の文化が流入した横浜は、異文化を受け入れて自らのものとすることに抵抗はない。そのためか、横浜に住めば、自称ハマっ子と言ってはばからない。もちろん、”本物のハマっ子”は三代横浜に住まないと認められない、とか、いやいや五代だ。と言う人がいるのも知っている。横浜市18区の中でも、横浜と言えるのは中区と西区だけだ、いや、ハマっ子の発祥は戸塚だ。など諸説ある。
小学校2年の夏休みからの横浜市民の私は、厳密にはハマっ子ではないのかもしれないが、出身地を聞かれれば、横浜と答えるし、自称でも何でも”ハマっ子”だと思っている。
 
横浜市営地下鉄では10時台と16時台に、横浜市歌のメロディーが流れる駅がある。つい、メロディーに合わせて口ずさんだり、鼻歌を歌ってしまうが、横浜出身ではない母や夫は、何の曲かわからずにキョトンとしている。
横浜の小中学校に通った人は、ほぼ例外なく歌えるのが横浜市歌。私自身は中学からは鎌倉の学校に通っていたので、小学校2年から4年間、横浜市歌を歌っていたことになるが、やはり歌えるのである。
 
自分の出身地などを、自虐ネタで語ることが少なくないが、横浜市民は自虐ネタがない。ただひたすら横浜大好き、横浜サイコー、横浜マンセー、を繰り返す。横浜市民は横浜大好きな自分が、大好きなのだ。
横浜市民の唯一の自虐ネタ(?)は万年工事中の横浜駅ネタくらいである。いつも工事中であることを嬉々として話すのだ。横浜駅は日本のサグラダファミリアだと思っているし、正直、自分の瞳が黒いうちには完成しないと本気で思っている。
 
うざいと言われようが、私は横浜と横浜駅が大好きだ。
 
 
 
 
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2019-12-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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