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映画の効用


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記事:海野そら(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
「映画に行くといつも、それは魔法のように心をひきつけ夢中にさせる。どんな映画であってもね」 byスティーヴン・スピルバーグ
 
私は小さいころから映画が好きだった。主に邦画やハリウッド映画を好んで観ていた。
ハッピーエンドの物語では、確かに魔法にかかったように、自分が同じような経験をしたかのように幸せな気分になった。悲しい物語では登場人物に感情移入して、時には涙を流すこともあった。
 
昨日は久しぶりに映画館で80年代の千葉のつっぱり学生たちのお話、『今日から俺は!劇場版』を観てきた。
こんな時だから何もかも忘れて笑える映画が観たかった。
コロナ対策で座席は一つとばしマスクを着用しての鑑賞となったが、主演の賀来賢人と脇を固める俳優陣のユーモアあふれる演技に笑いで癒されてきた。
映画は日常を忘れストレスを発散するための気分転換、リフレッシュにもなる。
 
皆さんは映画を観る時にどのような基準で選ぶだろうか?
どの映画を観ようかと考える時、おそらく好きなジャンルやお気に入りの俳優など自分の好みで決める人が多いと思う。しかし、ここで一つ提案したいことがある。
映画評論家の意見を参考にして、行ったことがない国の映画をあえて選んでみてはどうか? たとえそれが自分の嗜好から外れているジャンルの映画だとしても、冒険心をもってトライしてみてほしい。
 
わたしは大学二年生の時、第二外国語としてフランス語を選択していた。その時の先生は映画評論家としても活躍されていた。教科書は1895年撮影映写の複合機シネマトグラフを発明したフランスのリュミエール兄弟を扱ったものだったが、先生がだす宿題が面白かった。
フランス語とは全く関係がない先生おすすめの映画を映画館で観て、その映画についてのレポートを(日本語で)提出するというものだったのだ。
 
映画館に足を運ぶとその時の思い出がよみがえってくる。
例えば、
1973年のスペイン映画『ミツバチのささやき』
主人公である少女アナと逃亡者との一時の交流とその断絶を幻想的に描き出した作品、
1983年のスペイン映画『エルスール』
自殺した父の故郷、南部へのあこがれを抱くスペイン北部で暮らす少女エストレーリャの物語、
1986年のアメリカ映画『ヒッチャー』
謎のヒッチハイカーが実は殺人鬼。主人公の青年と死を賭けた恐怖の鬼ごっこを描くサスペンス、
などなど。レポート課題の映画は、決して自分では選択しないようなジャンルや国の映画ばかりだった。
 
その中で一番印象深かった映画が、1980年のイタリア映画、フェデリコフェリーニ監督の『女の都』だった。
列車の中で乗り合わせた巨乳美女を追って途中下車した主人公。次々と現れる女たちに翻弄されながら幻想世界の迷宮の中に迷い込んでいくというストーリー。
普通の女子大生には難解すぎる奇想天外な発想と非現実的な出来事のオンパレードにただただ圧倒されたことを覚えている。
イタリアに対して最初に受けたカルチャーショックであり、そのアーティスティックな映像はイタリアに対するイメージの原型にもなった。
 
この経験を通して、映画に対して今までにない視点をもつことができた。
それまで映画はエンターテイメントだと思っていた。「あー面白かった」とか「あーつまらなかった」とか、観た後に残った感覚だけで映画の良し悪しを判断していた。非現実の世界に非日常のスリルや幸せや笑いを求めていただけだった。
 
しかし、一歩踏み込んでみると映画の世界は奥深かった。
色々な国の監督が制作した映画を観ることで、それまでは気づきもしなかったその国が抱える独特の社会問題を知るきっかけにもなった。
よく知らない国の映画を観ることによって、その国の文化や歴史を知ることもでき知識を得ることができた。
また、レポートを書く意識をもって観ることにより、作者の意図をくみ取るという新しい視点で映画を観るきっかけにもなった。
自己を登場人物に投影して観るだけでなく、様々な登場人物の考え方や行動の意味を考えながら観ることにより人間の多様性を受け入れることもできるようになった。
息抜きにエンターテイメントとして映画を観るのも悪くないが、このように映画を観ることで人間力を高められるということに気づいた。
 
皆さんにも一度、映画評論家の意見を参考にして、興味はあるけれど行ったことがない国の映画を、レポートを書くつもりで観てほしいと思う。
人が人生を通して経験できることには限界がある。映画はそんな制限をとっぱらってくれる魔法のツールだ。映画を観ることで自分とは別の人生や自分が生きる世界とは異なる世界を疑似体験することができる。
コロナ禍で海外旅行もままならない今だからこそ、映画を通して行きたいと思っていた国への心の旅を試みてはどうだろうか。そこから何を感じるかは人それぞれだが、きっと新しい学びや価値観を得られるはずだ。
 
 
 
 
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2020-08-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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