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僕たちはそれぞれの旅路の中にいる


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:福田幸寛(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
電車やバスに乗ってどこかに向かっているとき、急に目的地が近いことに気がついて、慌てて降りる準備をすることがある。
考え事をしていて、読書や会話に夢中で、あるいはただ寝てしまって、現在地と目的地の位置関係を見失ってしまうからだ。
現在地と目的地がわからないと、カーナビだって行き先を教えてくれない。
 
人生の目的地がどこか、考えたことはあるだろうか。
 
生きる目的なんて、人それぞれだ。人はみな、それぞれの目的地を目指して歩んでいる。
そもそも、「なんで生きているのかわからない」とか、「目的なんか考えるよりも、毎日の生活で精一杯だ」とか、そんな声も聞こえてくる。
 
人生には目的が必要なのだろうか。
それとも、目的よりも毎日の生活が大切なのだろうか。
 
目的があってもなくても、生きている人が、到着するところは決まっている。
2020年現在では、いつか身体の機能が停止したところで、必ず「死」が訪れる。
身体と意識が切り離されて存在できるようになり、身体という入れ物を更新したり、精神のみで生き続けられたりする世界が来る可能性は否定できない。そうなったら話は別だ。
しかし、今のところ、終わりは回避できない。
この前提で生きている以上、人生の終着点は「死」である。
最後の目的地は決まっているのだ。
 
いつ、終着点にたどり着くのだろうか。
 
医師として、多くの「生」と「死」に接してきた。
余命という言葉も存在するが、真の余命は、誰にもわからない。
病名や状態によって、ある程度の範囲がわかることはある。いよいよその時が近づいてくれば、その範囲は具体的に予想がつくようになる。
でもそれは経験とか確率の話だ。見込みが外れることだってある。だから、いつ終着点にたどりつくかは誰にもわからない。
誰だって、急に「そろそろ終点です」と言われたら、焦る。準備なんかできていない。
けれども、乗り過ごすわけにもいかない。到着を待ってくれることもない。
しかも、予告もなく、気がついたら終点に着いているということだって有りうるのだ。
 
いつそこに着くのかは重要なことだが、考えても仕方がない。
「時間」とは相対的なものであって、1日の大切さも、1時間の長さもその時によって異なる。
あと1日早く課題に取り組んでおけばよかったと、泣いた日が何度あるだろう。
どうでもいいことに浪費した1時間だって山のようにある。
 
無駄な時間を過ごしてはいけないと言いたいわけではない。
無駄とか余白のない人生なんてありえない。それに、今の時点で無駄だと思えることが、将来に役に立つことだってある。振り返ってみると、無駄だと思っていたことが無駄ではないことがある。
 
僕は、医師になるまえに、別の大学を卒業し、社会人を経験している。現役生とは8年の差があった。
当時は、8年も遠回りしたことを、ただの回り道だと思っていた。きっと無駄ではないと自分に言い聞かせていた。
心の奥では、クラスメイトの若さに嫉妬していた。同年代で医師になっている人たちが羨ましかった。しかし、あの8年間は決して無駄ではなかったと、今ならわかる。
 
僕たちはそれぞれの旅路の中にいる。
この旅が、いつ終わるのかはわからない。そろそろ中盤なのか、もう終盤なのかわからない。
いつか終着点にたどり着くことだけは確かだ。
 
それまでに、どこに寄っておきたいだろうか。
誰と一緒に過ごしたいだろうか。
どんな速さで進んでいきたいだろうか。
ゆったり過ごしたいか。最後まで駆け抜けたいか。
 
誰かと比べることに、意味はない。僕には僕の旅がある。
 
木漏れ日の中を一人で走るのが好きだ。家族と一緒に歩くことも好きだ。
新しいことを学ぶのが好きだ。物事の仕組みや成り立ちを知ることが好きだ。
夜な夜な小説や漫画を読み、世が更けてしまったことを後悔するのが好きだ。
夜更かしした理由が、読書であることは妻には秘密である。
 
人に嫌われることは嫌いだ。
つまらないやつと思われるのは嫌いだ。
一人の時間が欲しいけど、忘れられるのは嫌いだ。
僕は、愛されたくてわがままな寂しがり屋である。
 
一度しかないこの旅で、大切にしたいことはひとそれぞれだ。
なにが大切なのかよくわからなければ、一つ一つの好きと嫌いを大切にしたらいい。
お互いの旅を批評しあうことに意味はない。
 
どうせ最後の目的地は決まっているのだ。
だからこそ、日々の旅路の中に、大切なものがあるのではないだろうか。
 
あなたにとっての、良い旅を。Bon voyage!
 
 
 
 
***
 
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2020-08-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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