メディアグランプリ

娘が学校に行きたくない理由は、親の中にあった


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記事:寺澤(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
家族でオーストラリアに引っ越して、早くも5年目になる。
 
我が家は、11歳の長女と、6歳の二卵性双生児の二女・三女の3人の子供たちを育てている。
彼女たちは平日は現地の小学校、土曜日は日本語学校に通い、二つの文化を行き来しながら、友人にも恵まれ、毎日楽しそうだ。長女は最初の数年英語に苦労したけれど、双子は渡豪したときはまだ2歳児、今では英語の方がどちらかと言えば第一言語だ。
 
「やっと落ち着いたねえ」と夫婦で話していた。
あとはみんなが受けたい教育を受けられるよう、夫婦でがんばって働くぞ、と。
5人で楽しく仲良く暮らせれば他にいうことないよね、と。
けんかもするけれど、我が家は平和と思っていた。
2週間前までは。
 
それは意外なところから突然やってきた。
いつもにこにこ、おだやかで気持ちの優しい二女が、いつもの調子でさりげなく私に言った。
「ママはずっとお家にいるの? わたしもお家にいたい」
私はフルタイム会社員だが、コロナウイルスの影響で、在学勤務をしている。
 
「ママも昼間はお仕事しているから、二女ちゃんが家にいても遊んだりしてあげられないよ。学校の方がお友達もいるし、楽しいんじゃない?」
そう伝えると、それなりに納得した様子でその日は学校に行った。
 
私が在宅勤務になってから、学校への送迎は、職場が学校に近い夫が主に担当している。
(娘たちが通う学校では、保護者が毎日送り迎えするのが一般的)
私の方が自宅にいる時間が長いため、結果的に家事担当は増えたが、通勤時間がない分自由になる時間は増えた。帰宅した子どもたちに「今日どうだった?」と聞くもの楽しみになった。
 
最近は、長女が夫に注意されることが多いらしい。思春期の入り口になり、素直に「はい」という代わりにちょっと反抗したりするから、態度をたしなめられることも多くなってきた。それでも長女はけろりとして学校に行く。友達に会うのが楽しみらしい。
 
双子のうち三女は超マイペースで、やりたくないことはやらない、とはっきり親に向かっても言ってくる。頭が良いのでちょっとずるをしたり、時には嘘をついたりする。叱られても「でも悪くないもん」と頑として聞かない時もある。そんな三女も毎日元気よく学校に行く。その日あったことを色々と話してくれる。
 
この二人に比べると、二女にかみなりが落ちることなんて本当にまれである。気配りの次女ちゃん、どこかの広告よろしく「半分は優しさでできている」彼女。最終的になんでも譲ってしまうので、「本当に大切なことや、自分の意見についてはっきり相手に伝える」ことの大切さを話し合うくらいだ。
 
それがである。
半分優しさバファリンな二女が今週から「学校行きたくない、学校きらい」というようになった。
彼女はそれからとっても難しい顔をしていて、がまんの限界、といった様子。
 
これはやばい。
学校でトラブル? いじめ? 勉強についていけない? うちで何かしたいことがある? 私と一緒にいる時間が足りない?
様々な理由を考えてみるも、二女の状況と照らし合わせるとどれもしっくりこない。
担任の先生に連絡するメールを書いてみたが、なぜか送信する気になれず、本人にもう一度じっくり聞いてみることにする。
帰宅後、私は次女を抱っこしながら優しく聞いてみた。
 
「今日学校10点満点中何点だった?」「10点」(えっ)
「じゃあ楽しかったのね?」「ノー、全然楽しくなかった」(お、おう)
「うーん、何か学校で困ってることあるの?」「ノー、でも楽しくない」
「誰かとけんかしたとか?」「ノー」
「勉強が面白くない?」「難しすぎて面白くない時と、簡単すぎて面白くない時がある」(まあ正論)
 
解決策が思いつかない。やっぱり先生に相談してみようかな。
夫婦会議を召集する。
私「どう思う? 学校の先生にメールして聞いてみようかと思うんだけど」
夫「いや、連絡しなくていいんじゃない?俺心当たりちょっとある」(なぬっ)
 
夫の説明をベースに、二女と再度一対一で話をしてみると、こういう訳であった。
 
夫は朝車で娘たちを送る時に、よく長女を叱る羽目になる。
理由は様々だが、最近のトップは、妹たちに偉そうな態度を見せたり、片付けがだらしなかったりといった生活面。
体育会系の夫は、挨拶と食事関連のマナーに厳しい。
登下校時は、仲裁役(私)不在のため、長めになってしまうらしい。
 
「ああなるほど」私は納得した。
二女はいわゆる「HSP – Highly Sensitive Person」の傾向があり、「説教(怒り)」が自分に向けられたものでなくても、10倍くらいのダメージを受けてしまうところがある。
 
説教が効いてほしい子にはあまり届かず、全く関係ない二女にダメージが蓄積された形である。#ああ不毛
 
二女に確認すると案の定、私が一緒に登校しなくなってから、夫と長女のちょっとした言い合いの時間が長いらしく、学校に着いてからもそのことを考えてしまうので楽しくないとのこと。そうか、でもこれは6歳児が説明するのは難しいよね。
対策は親が自分の怒りをコントロールして、伝え方を考えること、なんだろう。
 
意外なところからの変化球に、私たち夫婦はいつも試行錯誤しながら対応してきた。
ここで「叱らない子育て」の本でも紹介するべきなのだろうが、我々も人間修行中の身のため、そんなに完璧にできる訳が無い。というより、この経験こそが私たちを成長させてくれているんだろう。子供に感謝。
 
1)変化に敏感に気づくこと
2)コミュニケーションをまめにとること
3)お互いフォローしあうこと。
この3つだけでなんとかやってきた。
今回も一緒に乗り越えられるよう、手を繋いで努力の一歩を踏み出すのみである。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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