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正義はどこにある?


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記事:根本 理沙(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「ここ数年でハマったものは何ですか」と聞かれたら、迷わず「『機動戦士ガンダム』です」と答える。そのくらい、ガンダムとの出会いは私にとって人生を揺るがすものだった。
ガンダムを鑑賞したことで、「正義とは何なのか」という問いを深めることができた。
 
あまりにも有名な作品なので、改めて紹介する必要もなさそうだが、簡単にストーリーを紹介しよう。シリーズ第1作である『機動戦士ガンダム』は、近未来を舞台に、2つの勢力が繰り広げる戦争に巻き込まれる、少年少女たちの奮闘を描いた物語だ。
SFアニメと一括りでまとめてしまうには惜しいくらい、戦争ドラマ・人間ドラマが豊かに描かれた名作アニメである。
(実は初稿の段階ではもっと詳しく書いてたのだが、愛が溢れてこの部分だけで3,000文字を超えてしまったため、今回は断腸の思いで割愛させていただく。)
 
さて、私がガンダムを最も面白いと感じるポイントは、対立する2つの勢力図が、決して善vs悪に描かれない点にある。
主人公たちの視点で物語が進むため、ストーリー上、味方勢力が善で、敵勢力が悪と表現されることはある。だが、味方勢力の中には、私利私欲のために主人公たちや戦争を利用することが多く、完全なる善とはいえない。敵勢力も、善の心を持って戦いに挑むサムライのようなキャラクターがいたりする。
 
ガンダムでは、善vs悪ではなく、正義vs正義の戦いが描かれるのだ。味方勢力、敵勢力、どちらの正義にも筋が通っており、矛盾がない。ガンダムを見た人に、「2つの勢力は、どちらが正義を貫いていると思いますか」と聞くと、答えは十人十色になるはずだ。そこが実にリアルで、多くのファンが作品を支持する理由の一つだと思う。
 
正義とは実に難しい言葉だ。大辞林によると、正義とは「正しい道義。人が従うべき正しい道理」を指す。
この「正しい道義」というのが、ネックだ。なぜかというと、「正しい道義」とは、人によって全く異なるからだ。
 
ガンダムに例えれば、主人公たちが敵を倒すことは、「正しい道義」で、敵勢力にとっては「正しい道義ではない」。一方、敵勢力が主人公たちを倒すことは「正しい道義」で、主人公たちにとってた「正しい道義ではない」。
一方にとって正しい道義なのに、もう一方にとっては正しい道義ではないものは、果たして「正義」と言えるのだろうか。
 
つまり、正義とは、立場によって常に変化するもので、はっきりと言えばその程度のものなのだ。
元々、正義という言葉に信憑性を感じていなかったが、ガンダムを鑑賞して、その考えはますます強くなった。神様でも何でもない我々が、正義だ何だと言う資格はないのかもしれない。
 
不確実で不変的な現代において、正義の効力は、ほぼゼロといっても過言ではない。誰かが正義だと掲げ、多くの人が賛同する。しかし、その反対側にあったもう一つの正義を知ると、人々の心は急に揺れ動く。人の心は移ろいやすい。昨今のSNSでのトラブルが良い例だ。昨日はバッシングを受けていた人のアカウントが、今日は応援のコメントでいっぱいになる。
世の中の技術は発展したのに、人々の心は退化している。そう感じずにはいられない。
 
正義などというものは、この世のどこにもないのだと思いつつも、私は、そこまで正義という言葉に対して絶望はしていない。
 
この世に正義はなくても、自分の中に正義はあるべきだ。
シェイクスピアの『ハムレット』に「人生は選択の連続である」という有名な一文がある。まさにその通りで、私たちは意識していないだけで、一瞬一瞬を選択しながら生きている。
では、それらの選択は、何を基準に選んでいるのか。それは自分の正義なのではないだろうか。
 
歴史に偉大なる功績を残してきた偉人たちの軌跡を辿ると、大抵の人が自分の正義を掲げ、それを信じ続け、貫き通している。ものすごい精神力の持ち主ばかりだ。
自分の正義を信じ、貫き通すことは、実に難しいものだ。そもそも、自分の正義に賛同してくれる人がいるかもわからない。仮に多くの人が賛同してくれたとしても、先ほども述べたように、人の心は移ろいやすいもので、ある日突然、受け入れられなくなってしまう可能性だって大いにある。
 
ブレずに、信念を持って正義を掲げ続けるには、相当な精神力が必要なはずだ。それを成し遂げることができたから、彼らは偉人となったのかもしれない。
ちなみに、iPhoneの生みの親、スティーブ・ジョブズは、この手のエピソードがあちこちに転がっているので、ぜひ興味がある方は調べてみてほしい。
 
例え、私たちが偉人ではないただの人間だとしても、人生の選択をしなくてはならない。人生の選択に正解、不正解はない。だが、自ら納得し、責任を持つ選択をするには、やはり自分の正義を持つ必要があるだろう。
では、自分の正義はどこにあるのか。当たり前だが、自分自身で見つけるしかない。あらゆる情報を過不足なく集め、吟味し、熟考する。そして、自分にとっての正義が何なのかを導き出すのだ。
 
もしも、自分の正義と誰かの正義が食い違ったときは、全力でぶつかるしかない。ぶつかり合う中で新たな正義が生まれたり、思いもしなかったイノベーションが生まれたりするものだ。
ガンダムも、まさに正義と正義がぶつかり合い、新しい未来を切り開いた物語だった。
 
40年以上も前に作られたアニメから、こんなに深い学びを得られるとは思いもしなかった。
すっかりガンダムの真の魅力に取り憑かれた私は、その後崖から転がり落ちるようにハマり、数ヶ月で全シリーズを制覇したのだが、結局1作目の『機動戦士ガンダム』が一番面白かったし、ここで述べたこと以外にも、たくさんの学びがあった。
大人になってからのアニメ鑑賞もいいものだ。
 
 
 
 
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2020-09-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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