メディアグランプリ

コミュニケーションに役立つ書き替え


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:福田幸寛(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
わたしの話を全然聞いてくれない。
そう言われたことがある人、逆にそう思ったことがある人には、書き替えが役に立つ。
 
ビジネス関連では、結論から話せ、と言われることがある。
しかし、ミステリー小説だったらどうだろうか。
いきなり結論を知らされたら、読む楽しみが減ってしまう。
世の中にはプロセスが大切なときがある。
 
ジェットコースターや観覧車、お化け屋敷など、好きなアトラクションを想像して欲しい。
 
某テーマパークだったら、乗るまでに行列がある。
いざ、自分の順番がきて、ワクワクしながらアトラクションが始まる。
さあ、始まると思った瞬間、いきなり目の前が切り替わって、アトラクションが終了したらどんな気分だろうか。
 
アトラクションは、プロセスを楽しむものだ。
観覧車は、ゆっくりと頂上に向かっていき、景色やその空間を味わうのが楽しい。
景色の見えない観覧車なんてイヤだ。
 
ジェットコースターは、急降下前のドキドキ、風を切るスピード感、日常ではありえない浮力や重力を感じることが楽しい。
ゆっくり進んで、浮き沈みもなかったら、もはやジェットコースターではない。
 
状況によって、結論が大切なことも、プロセスが大切なこともある。
コミュニケーションでのすれ違いは、ここで起こっていることが多い。
 
医者と患者の場合を考えてみよう。
 
ある患者さんが、咳が続くため外来を受診した。
医者は、いくつかの見逃してはいけない病気を頭に浮かべながら、問診をして、診察をして、感冒(風邪)と診断した。症状からは、特に治療薬も要らない。
「ただの風邪ですね。特に薬は必要ありません」
結論を知りたかっただけならば、安心して、それなりに満足して帰るだろう。
しかし、風邪である、という結論を知りたかったわけではないことは、医療現場ではよくあることだ。
 
咳をした時の周囲からの視線を、不安に感じている。
肉親を肺の病気で亡くしているため、自分もその病気に違いないと思っている。
不安と咳で寝不足になって、困っている。
とにかく良く効く咳止めが欲しい。
これらは、風邪という結論を出されても、解決しない。
 
医者は疾患(disease)を診断して治療することを目的としていることが多い。
しかし、患者さんは病い(illness)の体験をしている。
 
疾患は、具体的な事実を元に判断することができて、診断基準がある。
(診断基準がないものや、疾患に境界線のないスペクトラムという概念もある。)
しかし、同じ疾患でも、病いの体験は誰一人として同じものはない。
 
医者は、病いという、わかりにくいプロセスを置いておいて、診断と治療という結論へと急ぐことがある。患者さんが病いを診てもらいたい場合には、不満が残る。
 
このように、結論を大切にしたい人と、プロセスに注目して欲しい人がすれ違ったときに、「わたしの話を全然聞いてくれない」現象が起こる。
 
それは、風邪です。心配いりません。薬がなくても治るから、大丈夫です。
と、結論を押し付けようとする医者。
 
それは、よくあるミスだから、気にしなくていい。今度からこのスプレッドシートに落とし込んでやればいいよ。
と、対処法を教える人。
 
この人たちは、咳をなんとかしたい患者さんや、ミスをして悲しい人にとっては、わたしの話を全然聞いてくれない人なのだ。
 
だから共感的に話を聞こう。
あなたの聞き方マニュアルを書き替えましょう。
という話ではない。
 
書き替えとは、解釈モデルのことである。
 
解釈モデルとは、その人が病気をどのように理解しているかということだ。
総合診療医には必須のフレームワークで、かきかえ(解釈、期待、感情、影響)と覚えることができる。
 
外来での代表的な質問を挙げる。
か 解釈:(原因として)何か思い当たることはありますか?
き 期待:どんなことを期待して来られましたか?
か 感情:気がかりなことはありますか?
え 影響:どんなことに困っていますか?
このような質問をすることで、患者さんの解釈モデルが明らかになっていく。
 
日常では、こんな質問にすれば応用できる。
解釈:あなたはどう思っている?
期待:何かして欲しいことは?
感情:いまどんな気持ち?
影響:どんなことに困っている?
 
相手が話を聞いてくれない時は、自分自身で振り返ってみると、自分でも気がついていなかった解釈モデルに気がつくことができる。案外、自分のことは自分でもわかっていないことが多い。
 
コミュニケーションでは、結論とプロセスのすれ違いに注意が必要である。
もし、プロセスを大切にしたい時は、かきかえの解釈モデルを活用してみて欲しい。
 
 
 
 
***
 
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2020-09-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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