メディアグランプリ

強制的にワードローブを整理したことで気づいた、自分の「在り方」


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:堀口 恵(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
引っ越して10日ほどが過ぎた。リフォームも進み、新居に合わせて購入した家具も少しずつ揃ってきたので、段ボールやコンテナに入れっぱなしにしていた荷解きをやり始めた。
 
新居にはクローゼットをつけてもらった。オールシーズン服をかけっぱなしにして、衣替えをしなくていい仕様だ。夫婦分の服を、4mほどのクローゼットに全部収納していくのだが……。
 
1つコンテナを開けたところで、気づいた。
 
「服が全部入らない」
 
残すコンテナはあと2つ。どんなに服を詰めても、全部は入らない。しかも、洗濯して干している服もある。
 
入らないなら、捨てるしかない。元々、東京を出る時にどうしようか迷って一応持ってきた服がある。思い切って、迷いながら持参した服を捨てることにした。
 
「痩せたら着れる」
「似合わないけど、まだ痛んでいないしもったいない」
 
そういって捨てられず持ってきた服は、45リットルのごみ袋2個分に及んだ。段ボールにすると、優に1箱分を超える量だ。
 
今回の引っ越しは、週末を利用して、ほぼ自分たちの車で荷物を運んだ。毎週末、どうしたら効率良く荷物を載せられるか考え、トランクにも後部座席にも最大量を積んで、4時間掛けて荷物を運び続けていた。最終的に荷物の一部は宅急便にお願いしたのだが、そんな手間暇をかけたものを、結局捨てることになってしまった。運ぶのは一苦労。悩むのは数分。捨てるのは一瞬。それなら、東京で先に捨てておけばよかったのに。
 
「あの引っ越しの苦労はいったいなんだったんだ」
 
と、思わず苦笑してしまった。
 
「入らないから」という理由があったとはいえ、東京で捨てられず4時間掛けて長野まで持ってきた服たちを、捨ててしまった。悩んだ時間と荷物を詰めたり運んだ分の労力、購入した時の出費などを思うと心は一瞬痛んだが、その後はむしろすっきりした。
 
クローゼットのワードローブを見ると、どういう系統の色やデザインの服が多いか、一目瞭然になった。買い足すなら、どんな服が必要かが見えてきた。そして、「頭の中も、同じことなのだろうな」とふと思った。
 
〇〇が足りないからあれを学ぼう。××が役立つから、この講座を受けよう。
 
様々な講座を受け学びを深めているつもりが、いつしか自分が何をしたいのか分からなくなってしまっていた。足りないものに目を向け学びを増やしているいるうちに、学習や知識の取捨選択ができなくなってしまったのだ。
 
ヒトの頭脳は、詰込み過ぎると思考が回らなくなる。この状況は、スマホに不要なアプリ・データを入れ過ぎて容量過多になっている状況とも似ている。大概のスマホユーザーは、スマホのアプリや不要なデータを削除して、快適な状況に保とうとする。実際に、メモリやデータ容量の開放アプリがいくつか存在するし、雑誌やインターネットでも、スマホを快適にサクサク使う方法」のような特集記事が定期的に組まれている。
自分でも、メモリ開放アプリは定期的に使っているし、不要なアプリや写真も定期的に削除するように心掛けている。
 
「スマホになると、快適に動くことに対してこんなに敏感になれるのに、自分の服や内面のこととなると、こんなにできないものなのなのだな」
 
中身がわかりやすくなったクローゼットをぼんやり眺めながら、自分のこれからの在り方にもふと思いを馳せた。
 
「これが欲しい」「これが足りない」より先に、「今ここにある」ものに目を向けてみよう。今、自分は何を持っているのか。どんな知識があってどんな経験を積んできたのか。どんな考え方をして、どんなことに感情が動くのか。
自分の持っているものを把握したうえで、「いる・いらない」「十分持っている・足りない」を考えてみよう。足りないものがあるなら、気づいた時点でそこだけ足せばいい。そうすれば、取捨選択ができず身動きが取れない状況から脱却できそうな気がする。
 
単なる引っ越しの荷物整理から気づいたものは、なんだかとても大きかった。すっきりしたクローゼットに、ゴミ袋に大量に詰まった服。クローゼットの中の状態とゴミ袋の服に、「これからの自分」と「必要ではない(けれど大事に抱えていた)こと」が重なって見えた。
スマホのように不要なものをサクサクと削除することは難しいかもしれないが、これから少しずつ、不要なものは抱えず手放すことを心掛けていこうと思う。実際のクローゼットだけではなく、「頭のクローゼット」の中身も見やすいようにするために。実際は不必要なことを詰込み過ぎて、動きづらくなることがこれからは少なくなるように。
 
≪終わり≫
 
 
 
 
***
 
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2020-09-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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