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赤ちゃんは泣くのが仕事……ではなかった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:赤羽 叶(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
その本は、とある店の片隅にある本コーナーに置かれていた。
 
本、と言うよりは薄い小冊子と表現したほうが近い。平積みになっていなかったら、薄すぎて本棚の中で埋もれ、出会うことはなかっただろう。
 
でも、運命の本に出合った。タイトルに釘付けになったのだ。
 
『赤ちゃんは、おしっこうんちを教えてくれる』
 
にわかに信じられなかった。というのも、4歳になる息子のおむつ外しという経験は、私にとっては、誇張なく表現しても最悪だったからだ。幼児は、幼稚園に上がる前には、おむつが自然に外れるものだ、と思い込んでいた。母が、私は1歳半ですんなりおむつを外すことができたと言っていたから、そんなものなのだろうと安直に考え過ぎていた。
 
カオスだった。息子から片時も目を離せず、トイレに連れて行こうとするも、出ないで嫌がるようになる、でもトイレからおろした瞬間にでる……すれ違いにイライラは募る。息子のパンツから床に漏れたうんちに気づかず、思い切り踏んで滑る、なんてこともあったし、お気に入りのテーブルの足がおしっこで錆びていたのに呆然したこともあった。
 
生後1年までは子供といる喜びにただただ幸福な毎日を過ごしていたけれど、子供のことが思い通りにならない、という状況が増えるにつけ、小さな子供に怒りが芽生えるようになった。しかも彼は、立って歩きだすのも周りの子供達よりのんびりしていた。おむつ外しもままならず、いつまでも歩こうとしない息子を見て、ママ友たちは「歩いた~?」と無邪気に聞いた。もう、ママ友と一緒に遊ぶことすら苦痛になり始めていた。聞き分けの良い子、優等生、バリキャリ……と順調な人生を歩んできた私だったのに、母親劣等生という烙印を、おされた気分だった。
 
私が1歳半の子供であんなに苦労したのに、生まれたばかりの0歳児がおしっこやうんちを教えてくれるなんて……ありえない。そんなこと、あるはずがない。じゃあ、今度生まれる、この子も、赤ちゃんからおしっこやうんちを教えてくれるってこと? にわかに信じられない。
 
そう思いつつも、平積みの冊子を1冊手に取って買い求めた。お腹の中にいる子もおむつ外しで上の子の二の舞になるのはごめんだ。できる方法があるならば、藁をもつかみたい……そんな気持ちだった。
 
百聞は一見に如かず。実際に赤ちゃんでおしっこをしている姿が写真に冊子に掲載されているのを見てむさぼるようにその冊子を読んだ。
 
『この子だけが特別な天才ではないのです。あなたがそのやり方を知らないだけ、そして、あなたは、できるはずがないと思って最初から試さないだけ。赤ちゃんは、みんな天才なのです』
 
写真には、そう、添えられていた。
 
私にとっておむつ外しは、入試で出題されたの解けなかった数学の問題のようなものだ。今更、息子はおむつも外れているので蒸し返す必要もないが、正解がわからず挫折したままくすぶっている……そんなモヤモヤが残ったまま、次の子が生まれようとしていたのだ。
 
その本に書かれていた内容は衝撃的だった。けれども、やれないような無謀なことは何一つなかった。ただ、やったことがない、というだけだった。なぜならば、赤ちゃんにそんなことができるなんて、考えたこともなかったからだ。
 
でも、私の手の中につかんだ藁を絶対にモノにしてみる……私は固く決意した。
 
赤ちゃんが生まれてから、というもの、私はその冊子に書かれていることを実践するようになった。信じられないことに、冊子に書かれている通り、我が子でもその冊子に書かれていることは実践することが可能だった。
 
結果、この冊子のやり方を私なりにアレンジして考案した『ゆるおむつなし育児』を実践することによって、長女、次女は1歳過ぎでおむつ外しを完了することができ、長男のおむつ外しトラウマを見事に解消した。昨今紙おむつの性能が良くなりすぎていて、幼稚園に入る3歳間際でもおむつが外れない。夜に至っては小学生近くなるまでおむつが外れない子供が増えているにも関わらず、だ。
 
それ以上に強調したいことがある。『ゆるおむつなし育児』は、単なるおむつを外すためのハウツーにはとどまらないとんでもない副産物があるのだ。
 
『ゆるおむつなし育児』はコミュニケーションのツールである。排泄物を大便、小便と書くように、まさにお便りなのである。『ゆるおむつなし育児』を実践していく過程でする親子のやり取りによって、子供たちの気持ちが言葉を介さなくても手に取るようにわかるようになるのだ。
 
するとどうなるのか。
 
皆さんは、
「赤ちゃんは泣くのが仕事だから」
と言われたことはないだろうか。
 
赤ちゃんは、話すことができないから、お腹がすいた時、おむつが濡れて不快な時、眠い時……などに泣くのだよ。だからしょっちゅう泣くのは当たり前なんだよ、それしかできないんだから。
 
それが当たり前だと、思っていませんか?
 
でも、実は、泣くのは、赤ちゃんの仕事ではない、のだ。
 
動き出すくらいまでの原始的な欲求である、食欲、睡眠欲、そして排せつを満たしてあげると、動き出して外界のことに興味を示す前の赤ちゃんはほとんど泣かない。
 
赤ちゃんの泣き声は、母親への注意喚起サイレンであり、コミュニケーションツールなので、母親が一番不快に感じる周波数で泣くのだそうだ。つまり、しょっちゅう泣かれると、母親の気持ちはどんどん不快になっていくということ。
 
私が『ゆるおむつなし育児』で育てた2人の子供は、実際、1歳くらいになるまで、ほとんど泣いたことがなかった。実際、たまに泣いていると、いつも一緒にいるママ達が珍しい、と驚く。食欲をおっぱいで満たし、良く寝て、『ゆるおむつなし育児』で排せつを促してあげることで赤ちゃんが泣く必要がなくなってしまうのである。
 
『ゆるおむつなし育児』の方法は、特別なおむつも道具も必要としない。まずは、これを知って、少しでも実践してみてほしい。乳児期のほんの少ししかない愛おしい時間がさらに濃密になることをお約束する。自分の子供が天才だと心の底から思えるようになる。想像してみてほしい、1歳にもならない小さな子供がおトイレでおしっこをしている姿を。天才以外の何者でもないと思いませんか?
 
泣くのを赤ちゃんの仕事だと思わないでほしい。我が子を抱きしめて幸せを沢山感じたら、大きくなったときに出合う困難にも立ち向かえる、そんな気すらするのだ。
 
一人でも多くのママ達に『ゆるおむつなし育児』を知ってほしい。知るだけで、もしかしたら、あなたの世界が一変するかもしれない。あなたに渡したいのは、そんな奇跡の可能性を秘めた一本の藁なのだ。
 
 
 
 
***

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2020-10-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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