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ソロ登山のススメ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ダンノハラケイイチ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「うわあ〜!! 気持ちいいなあ〜!!!」
 
私の叫び声が、木が鬱蒼と茂った山の中に響き渡った。周りには誰もいないから、この叫び声に対するレスポンスは何もない。
 
聞こえるのは風で木の葉っぱが擦られる葉音と鳥の鳴き声だけである。私は今、秩父にある武甲山という山の頂上にいる。そこは開けた場所で秩父の街並みが見下ろせるナイスなロケーションだ。
 
私は、バッグから携帯ガスコンロを取り出し、お湯を沸かし始めた。麓のコンビニで買ったカップ麺と家から持ってきた少し高めのインスタントコーヒーを飲むためだ。お湯が沸いたので、まずはカップ麺にお湯を注ぐ。そして、カップ麺が出来上がる間にコーヒーにもお湯を注ぎ、コーヒーを啜る。
 
「うん、美味い! ロケーションも良くて家で飲むコーヒーの100倍くらい美味いな……」
 
もちろん、話し相手などいないから独り言である。それもだいぶボリュームがデカい。
 
コーヒーを啜っている間にカップ麺も出来上がったようだ。
 
カップ麺の麺をズズズッと啜った。
 
「うーん、これもまた職場でたまに食べるカップ麺の100倍くらい美味いなあ〜」
 
思わず、こう呟いてしまった。
 
傍から見ると、1人で大声で喋っている変な人である。周りに誰もいなくてよかったと思う。
 
自分の思った感情をそのまま口に出せる事ってなんて気持ちいいんだろう。自分の発言にとやかく言う人なんて誰もいないし、開放的で最高だ。
 
半年ぐらい前に初めて、1人で武甲山に登った時にこう感じたのだ。元々登山は大学時代の友人とよく行っていたが、それ以来、ソロ登山にハマってしまっている。このコロナ禍の影響もあって、一層拍車がかかり、7〜8月はほぼ毎週のペースで関東近郊の山へソロ登山してしまった。
 
ソロ焼肉やソロ映画、ソロ寿司など1人で行動したり、食事を楽しんだりする人がここ最近増えているようだ。確かに、他人のペースを考えずに自分のペースで行動出来るのは楽で良いものだ。自分もやろうと思えば全然出来るし、映画なんかは鑑賞した後にいろいろその映画について考えたい性格だから、1人で見にいく方が好きだ。
 
だが、自分のソロ活の守備範囲はそんなに広くなく、焼肉や寿司など食事系やライブやフェスなどのエンタメ系はもちろん、登山だって複数人で行った方が楽しいと思っていた。他愛のない話をしながら登山すればあっという間だし、きつくても仲間の応援で乗り越えられる事もある。
 
では、なぜソロ登山にハマってしまったのだろうか。私は2点あると考えている。
 
まず1つ目は、「周りの目を気にする必要がない」と言う点だ。高尾山や筑波山などの観光地化された山を除いて、山を選べば登山客がほとんどいない山に登る事は可能だ。人目を気にせず、派手な色や柄のシェルジャケットやパンツを履いて仮装気分で登山したり、大声で歌を唄いながら登山をする事が可能だ。(ちなみに、となりのトトロの「さんぽ」は山を登りながらでも唄えるので非常におすすめ)開放的な気分になり、ストレス発散に効果的だ。
 
2つ目は「自分の感情に素直になれる」と言う点だ。例えば、複数人で急勾配の道を登っていたとしよう。
息が切れて、めちゃくちゃキツい。膝に乳酸が溜まってきているのがわかる。ああ、早く下山したい。こんな山登るんじゃなかった。
 
複数人で登山をしていて、他の仲間も同じ状況なのにこんな事を口に出せるだろうか。きっと、喉まで出た言葉をぐっと飲み込み、代わりに励ましの言葉を吐くだろう。
自分の感情に嘘をついてまで、他人を励ますと言うのは疲れるものなのだ。
 
きっと、「励まし合いながら登った方が良いだろ!」と思う人もいるかもしれないが、私は天邪鬼の捻くれ者なのでそうは思わない。
 
むしろ私の場合は、その負の感情を素直に口に出した方が逆に頑張れるのだ。
「このクソ山! さっさとこの急勾配を終わらせやがれ!」と言うように。
 
山にキレると言うバカみたいな事だが、逆にスッキリとするのだ。そして、頂上に着いたら思ったままの感情を口に出す。
 
「うわあ〜!! 気持ちいいなあ!!」
 
普段の仕事や人との会話では、言葉を選んで喋ったり、自分が思っている事とは違っていてもやらなくてはいけない事があるはずだ。自分の感情に素直にならないでいるとどこか精神的に疲れないだろうか。
そんな時、ソロ登山は自分の感情に正直になれる数少ない機会だ。自分の感情を素直に吐き出す事でその感情は自分に返ってくるような気がするのだ。山にキレてる時はイライラした気分になるし、頂上でポジティブな感情を口に出している時はどこか幸せな気分になる。
そんな事を繰り返しているうちに疲れは吹っ飛んでいるのだ。
 
私は、ソロ登山でこの2つのポイントを強く実感してしまったから、ハマってしまったんだと思う。ソロ登山をするたびに、ストレス発散になって、自分の感情に素直になる事で精神的な疲れが吹っ飛んでしまうからだ。
 
ふと、同じような体験ができるものを考えた時に、自炊は非常にソロ登山と似ているのではと思った。歌を唄いながら出来るし、おしゃれなエプロンをつけて普段とは違う気分で料理を楽しめる点もそうだ。ストレス発散になる。うまく野菜を切れなくても、自分以外に出すわけじゃないから、気にせず自分の感情に素直になれる。「このクソ野菜! 大人しく切られやがれ!」と言うように。
 
そして、上手く料理できた時なんかは、「うわあ〜!! めっちゃ美味しいな〜!!」と自分の感情を口に出すだけでもっと美味しく感じるんじゃないだろうか。
 
登山になかなかいけない時には自炊で十分かもしれないが、肉体的な負荷も加わる分、ソロ登山の方が効果は高い。
 
ストレス発散がなかなか出来ていない方、精神的に疲れた方、「ソロ登山」にぜひチャレンジしてみてはいかがだろうか。
 
 
 
 
***
 
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2020-10-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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