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母親のハグは最強だ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:キムラアヤ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
今から7、8年前のことである。当時、アメリカに住んでいた私は、日本に一時帰国をしていた。なかなか時間の自由が利かない、子育て中の友人二人が、私のために時間をつくってくれ、久しぶりにランチをすることになった。
私たちは、銀座のとあるデパートのレストランで会うことにした。
 
「ママ、ママ、僕ね、オムライスがいい」
 
「私は、ナポリタン」
 
「ハンバーグとオレンジジュースがいい!」
 
友人の一人、M子は、育児休暇中ということもあって、女の子2人と男の子2人、4人いる子供のうち、3人を一緒に連れてきていた。
子供たちにとって、デパートの上にあるレストランは、今でもテーマパークのような場所らしい。
メニューを見ながら、何を食べようかと瞳をキラキラとさせている。
 
「本当に賑やかで楽しそうだね。みんな元気で最高だね!」
 
「それはいいんだけれど、元気すぎて手に負えないよー」
 
彼女がそう答えるそばから、一番末っ子の男の子が、席からピョコっと飛び降り、テーブルから脱出した。
 
「コラ! 静かにする約束だったでしょ。戻ってきなさい!」
 
M子は急いで立ち上がり、末っ子くんを追いかけにいった。
 
「本当に大変そうだねー。下2人が男の子だから、元気が余ってるもんね」
 
私ともう一人の友人K子で、賑やかな様子をみながらそんな会話をしていた。
 
「何度言ったらわかるの! いい加減にしなさい。どうしてお母さんの言うことが聞けないのかしら」
 
そう言いながら、M子が末っ子くんを連れて戻ってきた。そしてその後もお説教は続いた。
 
学生の時、M子はその顔立ちから、学校内でも可愛いと評判だった。大人しくて、ほんわかした雰囲気で、芯は強いが、のんびりした子だった。
彼女は、私たち3人の中で最初に結婚し、二十代で幸せな家庭を築いていた。
その彼女から、大きな声で飛び出してくる言葉の数々が、今までの彼女とは、どうも釣り合わないような感じがした。
 
「M子、そんな言葉使わないで、もう少し優しく言ってもいいんじゃないかな」
 
同じく子育て中のK子が優しく言ったその言葉と、叱られた末っ子くんがママを見る不安そうな目が、強い記憶として私に残った。
 
今、私は心理学を学んでいる。
建築業界で二十年程働いているが、空間とその空間で過ごす人の心理は密接に関係しているのではないかと考えるようになり、空間と心理学の関係性について興味を持った。
 
人々に一番身近な空間と言えば、住まいではないだろうか。家族の住まいを考えるときに、いろんな悩みについて相談される。その中でも「子供」に関係していることは結構多い。
子供部屋の位置や大きさ、ドアにカギを付けるかどうか、将来的にそのスペースをどうするか、そして、子供に部屋を与える時期についてなどなど、テーマは一つでも要素はとても多いし、家庭毎に内容が違う。
 
さてここで、空間と心理学の観点から、子供にとって何がベストであるかという点だ。
住まいとは、外部から身を守る安全な場である。一方では、家族との関係を密接なものにもするし、隔てたりする場にもなる。
言い換えると、密接と隔たりのさじ加減によって、家族の幸せな住まいができるかどうか、ということになる。
 
では、特に子供について、大切にする点はなんだろうか。
心理学の研究から、子供にとって、親(特に母親)との接触度合(距離感)がその後の成長に大きく影響してくるということが分かっている。
 
それを学んだ時、M子と末っ子くんのやり取りを思い出した。
末っ子の彼を見ていると、叱られた後でも、お母さんにいろいろちょっかいを出していた。
しかし、M子はそのちょっかいについても叱り、お姉ちゃんとお兄ちゃんにも気を配り、なんとか隙をみて食事をするという感じだった。
 
傍から見ていても、末っ子くんは、お母さんに構ってほしいんだなと分かった。きっとM子にもそれは十分にわかっていたことだろうと思う。
でも、お母さんは一人。いつも精一杯頑張っている。
 
この光景は、決して特別なことではない。
私も下に弟が二人いたので、同じようなワサワサっとした環境で育ったからわかる。
そして、私のすぐ下の弟は、お気に入りのタオルをいつも肌身離さず持ち歩いていた。
心理学によると、このタオルの感触が、不安を和らげるものなのだという。これも母親との接触を望んでいるという無意識の現われで、男の子に多く見られる。
 
今もし、あの時のレストランにいたら、きっと一つの解決策を話せただろうなと思う。お母さんと子供の距離を縮め、温かさを伝えれば、お互いに安心できるということを。
 
「お母さんが、ぎゅっとしてあげるだけでいいんだよ」
 
コロナ禍で、リモートワークが多くなった。そのことにより、今まで以上に家族が密接になっている。
その反面、家族でさえも長い時間一緒にいることで、ストレスを感じている人たちも多い。たとえそれが子供であっても。
 
もし、そんな悩みを持っている人がいたら、そんな時こそ、お子さんをぎゅっと抱きしめてみるのはどうだろうか。
きっとお互いに安心するのではないだろうか。
そしてもっと仲良しになれることだろう。
 
空間と心理学の関係も大切だが、母親の愛情に勝るものはないなぁ、とつくづく思う。
 
 
 
 
***
 
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2020-10-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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