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私、推しに課金してますが何か?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:鈴木彩友 (ライティング・ゼミ7月開講通信限定コース)
 
 
「課金? そんな無駄遣いして何になるの?」
 
ソーシャルゲームやアイドルなどに「課金」をすると、「無駄遣い」とか「他に使い道があるだろう」と何故か非難されることがある。
 
「課金するお金があるなら旅行に行ったほうが人生絶対に楽しい」
「課金しても何も残らないし、何も得られないから無駄。もっと自分に投資して有意義な金の使い方をした方がいい」
 
などなど、親切心なのか見下されているのか分からないが、とにかくこのようなアドバイスをしてくれる方が、まだまだ多くいらっしゃる。
 
確かに「旅行」へ行くことで手に入れられるものはある。しかし、ゲームやアイドルからも手に入れられるものもある。それぞれ手に入るものにどのような価値をつけるのかは、個人の自由であり、人に強制されるものではない。
 
「自分に投資しろ」というのも実に曖昧だ。難しい本を読めば、それが投資になるのだろうか? 勉強会やセミナーなどに参加すれば自分自身が向上でき成功者にでもなれるのだろうか?
 
私の知人で「ビジネスで大切なことは全てドラクエから学んだ」という人がいる。大学を卒業後引き籠りになりドラゴンクエストをする日々を何年も過ごしたが、あることをきっかけに起業し、ドラクエをプレイするかごとくビジネスを続けたら成功したというのである。
 
結局、お金によって「何をしたか?」ではなく、「何を感じたか?」「何を手に入れたか?」が大切なのではないだろうか?
 
ここ数年、私は「お金の使い方」についてよく考えるようになった。
 
私は約15年間金融関係の仕事をしていた。当時は仕事柄「お金にシビア」な人間であった。決してケチなわけではない……と思う。ただ、「そのお金を使って何が手に入るのか?」という「利得」をすぐに考えてしまうようになっていた。
 
今は、お金の使い方に「善悪」もなければ「優劣」もないと私は考えている。「無駄遣い」などは存在しないというのが私の持論だ。なぜなら、お金を使うという行為は「必ず誰かの役に立っている」からであり、それが何よりも「利得」であるからである。
 
とは言え、「そのようなお金の使い方は出来ないな……」というものも正直あった。それが「課金」である。
 
なぜ、以前は課金がダメと考えていたのか……今思えばよく分からないのだが、恐らく当時は「無料」で手に入れる事が「勝」や「正」であり、「お金を払うこと」に対して「負」や「誤」と言ったイメージを抱いていたのだと思う。
 
実は、私の周りでも「コンテンツは無料」と考えている人は多かった。動画サイトで無料で見られるもだけを見る。それが例え違法にアップされてしまっているものであってもである。漫画なども無料で読めるものしか読まない。ゲームも課金したら「負け」という考えで、音楽や映画なども無料で視聴できるものしか興味がない。
 
当時は私も上記のような考え方に近かったと思う。しかし、ある日の出来事が私を変えたのである。
 
その人は好きなアーティストのアルバムや好きな作家の漫画などをいち早く購入するタイプで、ジャンルなどは問わず、「自分が好き」と思ったら積極的に彼らの作品を購入していくのである。多趣味といえばそれまでだが、なぜこのようなお金の使い方をするのだろうか当時は疑問に感じていた。
 
とはいえ、人の趣味にとやかく言う気はない。しかし気になる。なので失礼を承知で「なぜこのようなお金の使い方をするのか?」を聞いてみた。すると……
 
「感動を与えてもらえたから彼を本当に応援している。これからも良い作品を創り続けて欲しい」と語っていた。
 
当たり前のことを言っているだけなのであるが、当時の私はショックを受けた。そして「キレイなお金の使い方だな」と本気で思ったのである。そして、この一件以来私は課金推奨派になった。
 
「自分の身になるお金の使い方をしろ」
「将来のために自分に投資しろ」
 
そう熱く語る人たちがいる。それはそれで間違ってはいない。お金をどう使おうと個人それぞれの自由だからである。
 
しかし、「課金なんてお金を捨ててようなものだ」と否定をするのは問題である。なぜなら「課金」とは「推しを応援」するということであり、それは、経済活動の大きな原動力にもなっているからである。
 
また、「推し」とは人やキャラクターにとどまらない。サービス、モノ、環境や自然などにも「推し」は進出して関係を繋げている。つまり、社会にあふれているもの全てが「推し」と繋がろうとしているのである。そして、それらを応援する行動は経済活動の一端を担っているのだ。
 
更に「推し」の定義とは人によって様々だ。「応援したい」と思えるものが例えば「お店」であったり「サービス」であったとしても、それらを「推し」と考えても今はなんら問題はない。
 
つまり、自分が利益を得られればそれでよいと考えるのではなく、誰かを応援しながら経済を動かすという思考が「課金」にはあるのである。
 
只、昨今事情が少し変化してきたと思うこともある。それは、「コロナ渦におけるお金の使い方の意識の変化」である。
 
例えば、外出自粛により開店できなくなってしまったライブハウス等に対してクラウドファンディングで応援をしたり、多くの店がコロナの影響で苦しみ、そして閉店へと追い込まれている昨今、それを支えようと飲食店のテイクアウトを積極的に利用し、個人飲食店を支援するなどの「だれかの役に立つ」ようなお金の使い方が少しずつ増えてきているように感じる。
 
しかも、この支援の仕方は、災害時等の「寄付」とは違う。「寄付」とは「お金や物を困窮している人に与える」というものであるが、今回の支援は、「お金を使うことによって、経済をまわして困っている人の生活や社会全体の基盤を確保する」というものであるため、お金の使い方の意識が全く異なるのである。
 
寄付は「人を助ける」という気持ち的な満足感(これはこれでとても重要なのであるが)である一方、「お金を使って経済を回す」という行為は、「物や価値も手に入れることできるし、誰かの役にたったという気持ちも満足できる」という2つの欲求が同時に満たされるのだ。
 
個人の飲食店に訪れて美味しい料理をいただき満足する。そして、また食べたいからコロナに負けず頑張って欲しいという支援の思いも含めて対価を支払う。
 
これはとても重要な「思考」である。そして、これは「推し」に課金をするという行為と同じである。「製作者」や「表現者」などを応援する気持ちと、その創作物によって「感動」を与えてもらった感謝の気持ちを表現した行為なのだ。
 
だから、私は応援したい「推し」に対して今後も積極的にお金を使っていこうと思っている。私の行為が誰かを支えになるのであれば、これほど嬉しいことはないのである。そして、私は応援した「推し達」から「感動」を与えてもらえる。2つの欲求が同時に満たされるなんて、これほど充実した生活はない。
 
今日も私は推しに「課金」をするのである。
 
 
 
 
***
 
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2020-10-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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