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就活劣等生だった私が、採用する側になって気づいたこと


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:藤井佑香(ライティング・ゼミ 通信限定コース)
 
 
「就活」。この言葉を聞くと、心の古傷が痛む感じがする。自分が大学生の時に経験した就職活動のことを思い出すからだ。私の就職活動は、頑張ったつもりだったのに結果が出なかった。行きたかった広告代理店は全滅。大学の同級生が次々と有名企業に内定を得て就活を終えてゆく中、私の進路はなかなか決まらなかった。ゴール地点が見えないマラソンをずっと走っているようで、精神的にもボロボロになった。そんな中、何とか私を拾ってくれる会社が1社だけあった。やっと掴んだ内定。断る理由はなく、すぐに内定を承諾した。
 
私が社会人生活をスタートしたその会社は、企業の新卒採用の支援をしている会社だった。数年経験を積んだ後転職し、今も人事として新卒採用に携わる仕事をしている。学生時代、あれだけ私が苦しんだ就活に、卒業後は採用する側として長年関わることになるなんて。皮肉な巡り合わせであるが、暫くこの仕事に携わっていると、何故自分が学生の時あれだけ就活で苦しんだのか分かるようになってきた。
 
それは、就活において学生と人事の間に、ある認識のズレがあることだ。
 
私自身が学生時代就職活動を始めた時、とにかく企業から「凄い」と思われたいと思っていた。そして、武器になるカードを集め始めた。アルバイト、インターンシップ、英語の資格、留学など。集めたカードをどうアピールすれば、凄い、この子は優秀だと思ってもらえるだろうか。そんなことばかり考えていたし、他人と比較して「自分のカードの方が凄い」と優越感に浸ることもあった。そうして集めたカードを、企業に出すエントリーシートに散りばめ、面接で披露していた。
 
学生を採用する側に立った今、かつての自分を見ているような学生に出会うことがある。自分はこんなに凄い、こんなに優秀だ、とカードを披露してくれる。確かに彼らは優秀だし、若いのに凄いなと思う。しかし、残念なことに、人事が見たいのはそこではない。そのことに、こちら側に来て気づいた。いかにキラキラなカードを見せられたところで、凄いから採用、とはならない。これは、恐らく日本の企業がスキルや経験ではなく、ポテンシャル採用をしているからだと思う。諸外国では、新卒に対してもスキルや経験を求めることが多い、と聞く。だからこそ、大学での専攻は就職にそのまま影響するし、在学中からインターンシップなどで実務経験を積む学生が多いのだそうだ。彼らに求められるのは、新人なりにも「何が出来るか」だ。しかし、日本は一部の技術職を除いて、入社時の知識や経験は問わず、会社に入ってから学ぶという前提がある。ある程度の時間をかけて育てる前提で人を採用するため、候補者のポテンシャルを見ようとする。この学生は、うちの会社で育ってくれるだろうか。性格と会社のカルチャーは合うのだろうか。やりたいことをやらせてあげられる環境があるのだろうか。他にも色々あると思うが、人事の視点はこっちだと思う。
 
まだまだ採用のプロと自分のことを言えるほど経験は積んでいない。しかし、毎年何千枚ものエントリーシートに目を通し、何百人もの学生と話しをしてきた。その中でも一緒に働きたいと思った学生は、準備してきたカードで自分の凄さをアピールする学生よりは、集めたカードを材料に、自分らしさを表現する学生だった。人事が求めているのは、いかに凄いかではなく、自分のことを自分の言葉で語れる人だったのだ。
 
もし、私が就職活動時にタイムスリップ出来たなら、自分にこう言ってあげたい。「凄くなくて良いんだよ」。当時の私は真面目に就職活動をしていたし、自分なりに一生懸命に取り組んでいたと思う。それでも上手く行かなかったのは、本当はそこまで凄くない自分を大きく見せることが大事だと思ってしまっていかたらだ。こう思ってしまう学生がいるのは、彼らのせいだけでもない。私たち企業側の人間がそれを上手く伝えられていないことや、大企業や有名企業に決まった学生達を「勝ち組」と呼んでしまう風潮など、様々な要素が組み合わさって、「凄い」自分をアピールしないといけないという迷信が生まれているのだ。私の場合は、それを自分の高いプライドが後押ししてしまったのだと思う。だから苦しかったのだと、今だったら分かる。
 
企業によって採用基準や求める人材像は異なる。ここに書いたのは、ある企業の人事担当者の個人的意見でしかないし、全ての人事が同じように思っているとは限らない。だけど、これから就活を始める学生、あるいは今丁度就活で苦しんでいる学生が居たら、知っておいて欲しい。凄くなくて良い。優秀だと思われようとしなくて良い。企業が見たいのは、無理して集めたカードで他と差別化しようとするあなたではない。あなたが今まで時間をかけて築いてきた大事にしたい価値観は何なのか、それを形成する出来事は何だったのか。今のあなたがあなたである理由はなんだと思うのか。それを言語化すれば、十分他と差別化出来る。何故なら、それはあなたにしか語れない、世界に1つだけのカードの組み合わせだからだ。企業側はそれを見て初めて、あなたのことをよく知ることが出来る。それで採用されなかったとしても、それはあなたが優秀でないからではない。あなたを知った上で、他の環境の方が輝けると思ったからだと思う。あなただけのオリジナルカードを武器に、あなたにとって本当に合う企業を見つけて欲しい。
 
 
 
 
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2020-10-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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