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なぜプリミティブに惹かれるのか


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:住田薫(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
友人に、「プリミティブなことが好きなんだね」と言われてハッとした。
プリミティブ。英語でprimitiveと書く。原始の、とか初期の、太古の、根源の、という意味だ。つまりは、ものごとの起源をさかのぼり、ものごとのはじまりのカタチがどのようなものであったのか、そこにどのような意味や仕組みがあったのか、そんなことに、確かに私はつよく惹かれている、ようだ。
 
私の行っているデザインの仕事は、はじめにクライアントの売り出したい商品があって、その商品を売るためのポスターや、カタログなんかをつくる。
仕事の工程のなかで、まず最初にすることは、その商品のウリは何か、他社の製品とどう違うのかなど、その特徴を押さえることだ。このときに私は、その商品のもつ、歴史やそのはじまりのカタチについても、徹底的に調べる。
たとえば化粧品なら、そもそも、化粧品ってなんなのか、はじまりの材料はどのようなものを使っていたのか、たとえばローズの香りは歴史的にどのように意味をもっていたか、そもそもバラとは人々にとってどんな存在だったのかとか、日本ではどうか、海外ではどうか、発祥の地は、などということを、周辺のものごとにまで、深く広くさぐる。
その中で、意外な事実や、今の時代の人々におもしろく受け取ってもらえそうなポイントなどをとりあげて、デザインの発想やコンセプトの起点にしたりする。
すべてのデザイナーがこのようなやり方をしているわけではないと思うが、私のやり方はこんな感じだ。
そして、私はこの最初の、根源をさぐる作業がとても好きだ。
 
プリミティブとは、”会いに行けるアイドル”のようなものなのではないだろうか。
 
本来、アイドルというのは高嶺の花。手の届かない、遠い存在だ。一緒に話をするなんて夢のまた夢だし、そもそも会うことだって難しい。
それを、会って、目を合わせて話をし、手をにぎり、一緒に写真を撮る。会いに行けることで、共に時間を過ごすことで、“身近な存在”だと感じることができる。このことがファンの支持を集めてきたのだと思う。
 
身近に感じること。それはつまりは自分ごとにするということだと思う。
身近に感じるから、家族や友達のように、応援したり、調子が悪そうなら心配したり、気持ちがわかるから、失敗したって怒ったりしない。
 
起源を探ることは、当時の人々が何を願ってそのカタチを生みだしたのか、どういう過程でその仕組みは育ってきたのか。人々は何に苦労し、どのように工夫して技術を磨いてきたのか。何を良しと考え、なぜそれを是とし、なぜそこに美を感じていたのか。そんなことが見えてくる。
 
はたまた、技術の発明・開発が進み、便利な世の中になった反面、ものごとは複雑化し、知らないことも沢山増えたと思う。いや、実際には、知らないことばっかりだと思う。
私たちはエアコンがどのように動いているか知らない。服は買うもので、作るものではない。パソコンが壊れても自分で直せない。そして、天井から雨漏りしたら、大家さんにとりあえず文句をいう。そのくらいしか出来ることはない。
 
歴史をさかのぼり、最初のカタチやそのつくられ方がどのようであったかを知ると、実はとても単純な技術や機構であったりすることが、よくある。
仕事で知ったものでたとえばこんなものがある。
お茶は、家の生け垣から、家族で葉っぱをつんで、蒸して、揉んで、乾燥させるだけでできる。緑茶も烏龍茶も紅茶も、酸化の度合いが違うだけだから、同じ方法でできる。
本は、紙と針と糸で作れるし、紙だって繊維の多い草からつくることができる。色紙だって、道端でとれる植物で色をつけられるし、墨は木を燃やしたあとのススなんかでできる。
茅葺きの屋根は、集落の人たちだけで葺いていたわけで、雨が漏れば自分で草を刈って、挿して、補修していた。
自分で作っているから、その仕組を知っているから、壊れてもどこをどのように直したらいいかが分かるし、不具合があっても、何がいけなかったか分かる。だからそれが怒りにはならない。
 
もちろん、原始的な生活に戻れば良い、と言いたいわけではない。私だって、電気のない生活はたぶん出来ないし、パソコンやケータイがない生活だってあまり想像したくない。
 
でもその起源や原理や仕組みを知ることで、自分でできることもきっと増えるし、何か不具合がおきても、誰かに文句をいうだけの人にはならなくてすむ、と思う。
 
自分の身のまわりにある、ブラックボックス化したモノやコトは、その起源をさかのぼることで、その成り立ちを知り、仕組みを把握することで、自分に身近な、”触れる”ことのできるものごとになる。
 
小学校や中学校では、とりわけて歴史の授業などが好きだったわけでもないけれど、今”プリミティブ”なものごとが気になるのは、たぶんこんな理由からだ。
 
 
 
 
***
 
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2020-10-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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