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妊娠中、股間に出現したピンポン球の正体〜女性のデリケートゾーンケアについて〜


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記事:牧野倫子(ライティング・ゼミ特講)
 
 
えっなにこれ怖い。
風呂場で股間を洗っていた時に、膣口と肛門の間、会陰の奥の方にピンポン球のような硬いしこりがあるのに気づいてギョッとした。
未知の触感に、恐る恐る何度も触って確認する。
全裸の女が、そんきょの姿勢で一心不乱に自らの股間をまさぐっている姿は、側から見たらたぶん結構シュールだったと思う。
当時、私は妊娠後期だった。
定期的に通っている妊婦検診では、医師が膣に指や器具を入れて内診することもあるが、毎回「順調ですね」としか言われてないぞ。
「このピンポン球は赤ちゃん………じゃないよね?」(アホまるだし)
「羊水の重さでどっかの内臓が圧迫されて下がってきてるのかな……」(実はいい線いってる)
「さすがになんかヤバイことだったら医者も気づいて何か言うでしょう……」(いや、そこは訊いとけよ)
「何も言われてないならきっと大丈夫だろう……」(正常性バイアス稼働)
痛みなどの症状もなかったため、私は医師にピンポン球のことを尋ねることもなく、そのまま無事出産した。
 
ピンポン球は、産後も私の股間に居座り続けた。
初めての子育てに半ば産後うつになりかけていた私にとって股間のピンポン球なんて些末なことになっていたため、気にはなるが放置していた。
しかし、そこへ新たな股間問題が勃発した。
 
尿もれである。
 
産後はくしゃみやせき、笑った時などに腹筋の動きと連動し、自分の意思に反して尿がちょっぴり噴出するようになっていた。
一番ヤバイと思ったのは、仕事の帰り道に一人で歩いていたら、ひっ迫した尿意を感じていなかったのにも関わらず結構盛大にもれてしまった時だ。
このままだといつか社会的に死ぬ……と焦ったが、考えた対策は頻繁にトイレに行き、絞り出すことくらいだった。
 
そんな股間に爆弾を抱えた状態で生きていたある朝、NHKの情報番組「あさイチ」に出てきたある単語にクギづけになった。
 
「骨盤臓器脱」
 
出産や老化で骨盤底と呼ばれる筋膜やじん帯がゆるみ、膀胱、子宮、直腸などの臓器が膣からとび出る(!)女性特有の症状だという。
尿もれも、これに大いに関係があるらしい。
自覚症状は、膣からピンポン球のようなものが出る感覚……。
ビンゴじゃん!
放置していると最悪手術……?
ひー、手術はイヤだ!
 
対策として骨盤底筋を鍛えるトレーニングが紹介されていた。
ざっくり言うと、ゆっくり膣を引き上げるようなイメージでお腹に力を入れるというものだ。
んん? このトレーニング見覚えあると思ったら、大学生の時たまに読んでた雑誌で定期的に組まれていた、裸のイケメン俳優が外国人モデルと絡むグラビアでおなじみのセックス特集で紹介されてた膣トレ的なやつだ!
めくるめくメイクラブのためのトレーニングが、まさか産後の尿もれと骨盤臓器脱対策に役立つとは……。
こんなことなら、あの喘ぎ声みたいな名前の女性ライフスタイル誌の言うことをもっと真剣に聞いておくべきだった。
 
その日から、私は骨盤底筋トレーニングを始めた。
お湯を沸かすのを待ちながら。
信号待ちや電車で立っている間。
公園で遊ぶ我が子をやさしく見守りながら。
ちょっとしたすきま時間でトレーニングに励んだ。
街中でいきなりスクワットを始めたらおかしな人だけど、見た目には筋肉(股間の)を鍛えているとはわかるまい、フフフ。
 
さらに股間に対して意識が高くなった私は、デリケートゾーン用のソープや保湿剤もそろえた。
股間は顔や体に比べて酸性寄りなので、専用の洗浄剤を使った方がいいと知ったからだ。
私が使っているソープはほんのりメントール系で、洗った後は股間がスースーして爽快感がハンパなくやみつきだ。
そして、風呂から上がったら、顔に化粧水をつけるよりも先に股間を保湿する。
女性の股間はなんとなく湿っているイメージがあるけど、顔よりも皮膚が薄く、実は乾燥しやすいんだそうだ。
乾燥肌の私は季節の変わり目に顔や体だけでなく、股間もかゆくなったりしていたけど、もしかすると乾燥のせいだったのかもしれない。
また、これもあさイチで知った知識だが、小用のあとトイレットペーパーで拭く時は、「こすらずやさしく押し当てて吸い取らせる」のが正解らしい。
当時あさイチのMCだった有働由美子アナが「前から後ろに拭くのが正しいと思っていた」と発言していたが、私もまったく同じだった。
スキンケアはこすらないのが基本なんだから、股間もゴシゴシ拭いてはいけないのである。
これらに気をつけるようになってからは、かゆみはもちろん、たまに感じていた匂いも気にならなくなっていった。
 
そして、骨盤底筋トレーニングの成果なのか、ピンポン球のとび出し具合はかなり改善され、尿もれすることもなくなった。
手術も社会的死もごめんなので、今でもトレーニングは続けている。
デリケートゾーンは性交渉や妊娠出産の有無に関わらず、すべての女性が一生付き合っていく大切な場所だ。
若い頃からもっと気にしてあげれていればよかったな、と今となっては思う。
これからはちゃんと大事にするからよろしく、私の股間よ。
 
最後に、ピンポン球を放置していた私が言うのもなんだが、デリケートゾーンに明らかな異常を感じたらすみやかに医療機関を受診することをお勧めする。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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