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ラグビーは何を伝えたのか


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:晒谷 昌克(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
昨年の今頃、日本中がRWC(ラグビーワールドカップ)2019の余韻に浸っていた。
日本代表もオールブラックス(ニュージーランド代表)も出ない決勝戦は満席だった。
そして白熱した試合が終わった後に、RWCに熱狂した人たちは、南アフリカ代表を祝福しながらも、翌週の試合がないことに気づき、寂しさを感じていた。
 
なぜラグビーはこれほどまで日本国民に受け入れられたのか?
 
私は高校生の時にラグビーに出会い、その後も社会人の草ラグビーを続け、また、富山県のラグビー協会理事として40年以上ラグビーに関わっている。
RWC2019開催期間はそんな私にとって至福の時だった。
しかし、ラグビー関係者からすると今回のRWC2019は楽しみではあったが、大きな不安でもあった。
なぜなら、観客が入るのか? という心配があったからだ。
 
ラグビーにはトップリーグというプロのリーグ戦があるが、2018年度の総観客数は46万人で、1試合平均で5000人程度である。チケット価格は平均2000円と映画並みなのに、だ。
それに対してRWC2019のチケット販売目標は180万枚、1試合平均3万8千人の観客数を目指す。しかもチケット価格は平均2万円だ。
 
ところが、チケット販売目標は達成し、開催期間途中からはプラチナチケットとなっていった。
なぜだろう?
 
そこには当然日本代表の躍進は欠かせない。
試合を重ねるごとに強くなっていく日本代表は、日ごとに日本中の注目を集めていった。
日本を代表するものが勝ち上がれば当然、関心も高まる。野球に興味のない私でも、WBC(ワールドベースボールクラシック)で日本が強ければニュースが気になる。
余談だが、私たちラグビー関係者からすると、今回の結果「プール戦を1位通過する」は全く想像できない、喜びをどう表現していいのかわからないぐらい衝撃的な出来事だった。
さらにRWC2015の結果「南アフリカ代表戦での勝利」は、想像どころか信じることが出来なかった。
 
しかし、日本代表が決勝トーナメント初戦で負けた後もラグビー熱は続いていた。
横浜国際総合競技場で行われた決勝のイングランド対南アフリカ戦の観客数は70,103人。これは同会場の歴代最多動員数を記録した。2002年サッカーW杯決勝の69,029人を超え、スタジアムレコードになった。
TV視聴率は、他国同士の決勝戦にもかかわらず20.5%を記録した。あの「半沢直樹」が20%を越えたとニュースになる時代のことである。
 
それはラグビーの何かが多くの人に共感されたからではないか。
 
私は、その答えはラグビー憲章にあると考えている。
 
ラグビー憲章とは1995年までアマチュアスポーツだったラグビーがプロ化を容認するにあたって、その方向性を示したもので、その中に、ラグビーのコアバリュー(中心的価値)として以下の言葉が並んでいる。
 
品位 (INTEGRITY)
– 品位とはゲームの核をなすものであり、誠実さとフェアプレーによって生み出される。
情熱( PASSION)
– ラグビーに関わる人々は、ゲームに対する情熱的な熱意を持っている。ラグビーは、興奮を呼び、愛着心を沸かせ、世界中のラグビーファミリーとの一体感を生む。
結束 (SOLIDARITY)
– ラグビーは、生涯続く友情、絆、チームワーク、そして、文化的、地理的、政治的、宗教的な相違を超えた忠誠心につながる、一つにまとまった精神をもたらす。
規律 (DISCIPLINE)
– 規律は、ゲームに不可欠なものであり、フィールドの内と外の両方において、競技規則、競技に関する規定、そして、ラグビーのコアバリューの順守を通じて示される。
尊重 (RESPECT)
– チームメイト、相手、マッチオフィシャル、そして、ゲームに参加する人を尊重することは、最も重要である。
 
情熱、結束という熱いものはラグビーを象徴するような言葉である。しかし、品位、規律、尊重という単語は少々競技に似つかない。
これらの反発しあってしまいそうな価値を体現しようとしているところにラグビーの魅力があるのではないかと思う。
 
これらの価値(バリュー)はラグビーのルールの中にも練りこまれている。
最近のラグビーでは規律が特に重要になっている。ラグビーは肉体的接触の多い競技なので興奮し、反則を犯すことが多い。反則は失点に結びつきやすくなっている。
情熱を大切にしながらも、冷静に規律を守ることが大切なのである。
それは日ごろの練習から規律を意識ことで、試合中、これだけ激しくぶつかり合うスポーツなのに無用なケンカが起きないのである。
 
正直に言うと、20世紀のラグビーはもっとダーティだった、国同士の試合でも、ラフなプレーや、ケンカが良くあった。
20世紀終盤にスポーツのエンターテイメント化はすすんだ。他のスポーツと競合しながら、ラグビーを普及させるためにはプロ化は避けられなかった。しかし、プロ化されてしまうと荒っぽさのようなエンターテインメント性だけが特化され、ラグビーの本質を失ってしまう危険性があった。そこでラグビーの魅力である本質を探り出して、ラグビー憲章が制定された。
 
あのいかつい大男たちが生身でぶつかり合いながら、激しくとも荒っぽくならず、レフリーに文句も言わないで従う。そして、試合が終われば握手をし、肩を抱き合い、お互いの健闘を讃えあう。
それは、お互いが命をかけながらも相手を尊重し、戦うときほど冷静にふるまう武士道にもつながる。それが多くの日本人に共感された理由なのではないかと考える。
 
ラグビーはラグビー憲章によって試合の楽しさだけではない新たな価値を提供するようになった。
それはプレーヤーがラグビー憲章を理解することによって、試合の中で、試合が終わった後で表現される。そしてそれを見守るラグビーファンの共感によって周りに拡散されていく。
ラグビーに関わるものとしては、そんな共感の広がりでラグビーを好きになる人が増えることを願っている。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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