メディアグランプリ

「日本の歴史を知って、肌で実感しに行こう」


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記事:佐野 タケヒロ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「こんなに近いのか!」
 
私はその大きな石に腰掛けて、
身震いがした。
 
その距離は地図の直線距離で約2.6キロメートル。
しかし、感覚としてはそんな遠くには感じない。
 
その大きな石から敵陣の方向を見渡すと、
その方向から「ウォーッ」と兵がこちらへ押し寄せてきそうで、
すぐにでも逃げ出したくなる距離だ。
 
「『関ヶ原の戦い』の東軍・西軍はこんな距離でにらみ合っていたのか」
 
私が座った大きな石は、岐阜県の「徳川家康最初陣跡」と呼ばれるところにある。
実際、東軍の徳川家康がこの大きな石に座って、
西軍の石田三成の陣地を眺めたそうである。
 
また、その関ケ原という空間は、小高い山に囲まれている狭い空間である。
こんな狭いエリアに、東軍・西軍合わせて、
10万人とも20万人とも言われる兵がいたそうである。
その空間を肌で感じると、本当に生きて帰れる気がしない。
 
司馬遼太郎の歴史小説「関ケ原」を読んで、自分なりにイメージは持っていた。
しかし実際の現場に行くと、もっとイメージがふくらんだ。
 
いや違う。歴史小説を読んでイメージを持っていたからこそ、
実際の現場が自分の肌に突き刺さってきたのだ。
 
この感覚こそが、歴史を肌で実感するということだと思った。
そして、その歴史を肌で実感することが楽しくなっていった。
 
その後、こどもが3歳半になったとき、はじめての海外旅行に行った。
当時はグアム、ハワイあたりへ行くのが普通だった。
しかし私は妻にお願いした。
 
「中国の旅順にある、二百三高地へ一緒に行ってくれないか」
 
当時の妻は従順で承諾してくた。
なぜそこなのか。
 
『坂の上の雲』/司馬遼太郎
 
私はこの司馬遼太郎の小説を社会人になりたてのころに読んで震えた。
日本をそれこそ命がけで守ってくれた当時の人たちに感激した。
 
その小説では作戦上の失敗で陸軍大将、乃木希典が酷評されている。
しかし私は純粋に、当時そこで逝った人たちへお礼が言いたかった。
生きているうちに、できれば早くそこへ行きたいと思っていた。
 
そして、家族で旅順へ行った。
 
「日本のために命がけで戦ってくれてありがとうございます」
 
二百三高地なる小高い山の頂からお礼を言った。
自分もこれからそのくらいの命がけで人生を生きなければと思った。
まさに、歴史を肌で実感していた。
 
その後、家族が4人になった。
上のこどもはすでに高校生になっていたが、
また妻に依頼した。
 
「沖永良部島(おきのえらぶじま)へ家族で行きたい」
「そこにある牢屋を特に見たいんだ」
 
貯金があまりなかったので、若干の抵抗を受けたが
またいつもの歴史ねと言って、妻は承諾してくれた。
 
なぜ牢屋なのか。
 
その牢屋は明治時代の偉人、西郷隆盛が入った牢屋だからだ。
もっと詳しく言うと、西郷隆盛がこの牢屋で書籍を1000冊以上読み、
己を高めた場所だと言われていたからだ。
 
その後、隆盛が明治維新を成し遂げた流れから見ると
非常に興味深い場所だと思い、時が経つにつれて、どうしても行きたくなった。
 
そして、夏休みの期間を利用して、家族4人で行った。
 
その西郷隆盛が入っていたと言われる牢屋は、
沖永良部島の東側、「西郷南洲記念館」に併設されて建っていた。
観光用に見栄えがよい作りになっていた。
 
日常生活ではこんなセリフは言われないと思うが、
その記念館のスタッフの方から、私にとっては感動する提案を受けた。
 
「どうぞ牢屋に入ってください」
 
私は思いがけないご提案に、「ぜひその牢屋に入らせてください」と言った。
 
当時の本当の牢屋ではないとのことだが、
その牢屋で西郷隆盛は、本を読み、己について思索していたのか、
と考えながら、その場所の空気を吸いながら、自分も思索した。
 
人は少なく、静かな島。
藩政まで上り詰めたが2度目の流罪。
なんでこんな結果になったのだろう。
 
もう本土に帰ることはないかもしれない。
黒船以来、国内は大きく揺れ動いている。
このままだと日本も諸外国に侵略されてしまう。
一体自分は何をしているのか。
このように書籍ばかり読んでいてもいいのだろうか。
しかしここで終わったとしてもそれは天命だ。
 
だれかが日本を治めてくれるのだろう。
ただまた生きて本土に帰れるならば、
日本の民のために働きたい。
 
そのように、勝手に西郷隆盛の思考を想像して、
肌で歴史を感じていた。
 
あなたにもお勧めしたい。
その歴史の現場に行って、肌で感じて、肌で考えるということを。
その結果、歴史上の人物か感じた感覚と同じ感覚を得られるだろう。
そしてその経験の積み重ねが、あなたの歴史の感性を高めてくれる。
 
その感性こそが、今後の日本の未来を作っていくためのよい感性になる、
と思っている。
 
最近、京都の西にある亀岡に行った。
2020年のNHK大河ドラマ館「麒麟が来る」がやっていたからだ。
そう、今は明智光秀を肌で実感している最中だ。
 
やはり気になるのが、なぜ信長を討ったのか、である。
その大河ドラマ館には、7-8個の説が掲載されてあったが、
自分だったらどうしていただろう。
 
大河ドラマがどんな信長討伐説をとるかという楽しみはあるが、
自分がどれだけ光秀の立場で感じられるかということも楽しみである。
このように肌で歴史を実感しに行ってみませんか。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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