fbpx
メディアグランプリ

本音を出したら真実がわかる


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:長谷川順子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
本音を出すのがこわかった。
というよりも、物心ついたころから本音と建て前があるのが当たり前だった。
京都に生まれ育ったからかもしれない。
本音を出したら、嫌われると思っていた。
円滑なコミュニケーションのためには、本音を隠して建て前で生きるのがよいのだと思っていた。
建て前というのは、表向きにはその場に合った言動をすること。
なので、いつもこの場では何を言うべきなのか、周りは何を私に求めているのかを考えていた。
 
自分が何を感じて、何を考え、何をしたいのかよりも。
 
思ったことをそのまま言う、ということがなかった。
言って後悔するよりも、言わなくて後悔するほうが断然ましだと思っていた。
言わない無難な生き方。
 
そうすると、自分は何が好きで、何を感じて、どうしたいのかがわからなくなっていた。
いや、わからないことさえ、気づいていなかった。
 
「自分が感じることを大切に」
指導していただいている先生によく言われた。
感じるということってどういうことだろう。
すぐ頭で考えてしまうのだ。
頭で考えずに、ただ感じて……
それが私には難しかった。
 
ラジオのテレフォン人生相談をされている心理学者の加藤諦三先生のお話を聞いた。
シュヴァルツという研究者によると、
「自分の感情に注意し、それを意識して、感情を表現する。そうすれば心と体のバランスは回復する」のだという。
 
でも、その自分の感情でさえわからない。
体や感情のメッセージを遮断すると、心と体のバランスは崩れて、心にも体にも影響する。正しいサインが出なくなって、次第に自分の本当の感情を意識する能力を失ってくるのだそうだ。
こころは嘘をつけるけれど、からだは嘘をつけない、と加藤先生は仰った。
 
当時、どんなに理不尽なことをされても、罵られても、私は幸せだと思っていた。
いや、思おうと努めていた。自分にそう言い聞かせていたというのが正しいかもしれない。あるときからだに湿疹が出始めた。ストレスが原因なのは明らかだが、何のストレスなのかがわからなかった。
 
変装した感情と本当の感情を見分ける。
それができていなかった。
 
変装した感情は、私は幸せだという思い込み。
本当の感情は、怒りや悲しみ、淋しさというネガティブな感情。
ネガティブな感情を感じてはいけないと思って、無意識に抑え込んでしまう。
 
それを見分けて、意識にあげて、感情を表現する。
マイナスの感情をうまく処理できる能力が、コミュニケーション能力だそうだ。
悲しみや憎しみを心の中に溜め込んでしまうと、肉体的にも健康を害する。
 
確かに、あのとき私は、人生で初めて原因不明の湿疹が出ていた。
 
どうすればよいのか。
 
「心の底を打ち明けると、人間が変わる。」
 
本当に親しい人をたった一人でも持っているかどうかが鍵であり、本当のことを打ち明けることができる友人がいることは、高額の宝くじに当たるよりもはるかに幸運なことなのだという。
本当のことを言ってもゆるし合える関係。
その人といれば、何かを隠さないで本当のことを言える、本当の自分をさらけ出せる。
そんな人を一人持つこと、その人に心の底を打ち明ける能力は、何ものにも代えがたい最高の宝だといえる。
 
それが難しい場合は、書くことで吐き出す。
それが、ライティングキュアになるらしい。
書くことが癒しになる。
それだけ、隠すというのは想像以上にストレスなのだ。
 
大切なのは、吐き出すこと。
心の底を告白すること。
感じてはいけないと無意識に抑えてきたマイナスの感情を意識する。
書き出して吐き出す。
そして、書いたものを燃やす。
過去の自分との別れの儀式。
 
それが、自分を癒してくれる。
 
湿疹がでてもそれほど生活に支障はなく、そのうちに治るかと思って放っておいた。
治らないどころか、生きていてなんだか苦しい。
苦しいというか虚しい。
絶望的な虚無感といったらいいだろうか。
頭の中では、充実した仕事もあって、家庭もあって、自然豊かな素晴らしい場所に家もあって、時間もあって、友人もいて、何の不足もないと繰り返していた。
でも、生きていないというか、前が見えないというか、後ろ向きな感じがした。
まったく心が晴れなかった。
このとてつもない虚しさは何だろう。
自分を生きていない気がしていた。
ただただ時間が流れていくだけ。
 
湿疹が出始めて、1年ほど経っただろうか。
ある日、すべてのことを人に話した。
自分の恥ずかしいと思って誰にも言えなかったことをさらけ出した。
私は自分の抑えてきた感情に気づいて、その感情を尊重しその状況から抜け出すことを決意した。
その瞬間、自分が強くなった気がした。
生きてるって感じがした。
 
理不尽なことが許せなかったのだ。
ずっとずっと、私の腹の底は憤りを感じていたのだ。
強い怒りのエネルギーを抑え込んできた。
閉じ込めて、蓋をして、ないものとしていた。
 
決心したら、いろんな人たちが私を助けてくれた。
つらいって本音を出したら、世界が変わった。
多くの人たちのおかげで、トントン拍子にすべてが私の望む方向に動いていった。
私の本音に沿って、ものごとがよい方向へと変化した。
湿疹は出なくなっていた。
すべてが、本当に有難かった。
 
たくさんの人のやさしさに触れた。
世界ってこんなに愛に満ちていて優しかったんだ。
世界が愛と優しさに包まれていることをしみじみ感じた。
優しさに溢れるこっちの世界に来ることができてよかったと思った。
 
今まで何を隠そうとしていたのだろうか。
自分の嫌な部分、ネガティブな感情。
よく思われようとして、自分を出さなかったら、本当の自分を生きられず、自分は死にながら形だけ生きていたようなものだった。
 
本当の自分の気持ちをさらけ出した文章を友だちが読んでくれて、泣いてくれた。
えっ!!自分をさらけ出した文章を読んで泣いてくれる人がいるの!?
驚くとともにとても嬉しかった。
私の本当の思いが、人の心に響くのだ。
別の友だちは、ますます私のファンになったと言ってくれた。
本音を出したら嫌われると思っていたのに、
本音を出したほうが好かれるの!?
目から鱗だった。
 
私は、本音を出して、真摯に自分と向き合っていきたい。
それが、自分自身と、自分と接する人を大切にすることだから。
そして、私は自分が思うままに、私の人生を自由に生きていく。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 


 
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2020-11-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事