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最も避けてきたことをしてみると人生が変わる


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:長谷川順子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
自分が避けてきたことが、自分の道を切り開いてくれる。
絶対にしようと思わないことが、よい方向へと展開させてくれる。
そんなことに気がついた。
したくないこと、したい希望が微塵もない希望0パーセントのことが、いまの自分を変えてくれることになったりするのだ。
 
ロングヘアが好きで、ずっとロングヘアだった。
小学生のときは母の指示でショートヘアだったが、嫌だった。
もっと女の子らしくしたかった。
母が鬱陶しいのが嫌いだから、すぐに髪を切りに行かされた。
 
ロングヘアが気に入っていたし、ロングヘアのほうが自分がかわいく見えると思っていた。
ある日、メイクレッスンを受けていたときに隣の席の女性が、ベリーショートでやってきた。
かなり短いベリーショートだったが、すっきりと美しかった。
床屋さんにお任せしてカットしてもらったという。
いや、むしろお任せするしかないのだと。
「エネルギー調整カット」といって、その人のエネルギーを感じながら、その人に合うように調整してカットされるのだと。
 
なんだそれは。
おもしろそう。
 
私はおもしろそうなものをすぐにやってみたくなる。
その床屋さんを教えてもらって、問い合わせフォームから予約希望をメールした。
 
2か月待ちだのこと。
2か月先の予約をした。
 
カットの日までまだまだあるので、待ちきれなくて、その理髪師さんをインターネットで調べてみた。
カットの様子が動画でインターネットであがっていた。
見てみたら、みんなショートカットになっていた。
 
これってカットお願いしたら、私もショートカットになるの!?
 
ショートカットにするつもりは全くなかった。
ロングでないと女でない、と思っていたほど、ショートに魅力を感じていなかった。
 
はてさて、お任せして、私はショートカットの自分を受け入れられるのか!?
ショートになるとは限らないが、なる可能性は高い。
腹をくくった。
どうにでもなれ。
髪は切ってもすぐ伸びる。
とにかく私は変わりたいんだ!
 
いよいよ、カットに行く。
エネルギー調整カットをしてくれるのは、愛たんと呼ばれている女性だった。
「私の意志で切っているんじゃないんですよ。
髪が望むように切っているだけ。手が勝手に動くんです。
動かされるんです。」
と不思議なことを言うのだ。
 
そして、愛たんは動かされるままに私の髪をカットしていった。
めちゃくちゃ大胆に切られた。
ザクっザクっと、私の髪に鋏を入れていく。
はらはらと、私の細い黒髪が落ちてゆく。
つむじに人それぞれ向きがあって、その流れに沿ってエネルギーを流していく。
 
愛たんは観葉植物を触りながら、こう説明してくれた。
「こっち向きの枝は、あっち側に手で倒しても、離したらすぐに元の向きに戻るでしょう。
それと同じで、1本1本の髪もエネルギーが流れる方向があるの。エネルギーを流して、自分を活かしてあげる。」
 
私はずっと前髪をつくってなかったのだけれど、私の前髪は下に向きたいのだそうだ。
後ろや横の髪を短くカットされた上、前髪も短く切られて、前髪ができた。
そして、かなりのショートヘアになった。
鏡には、見たことのない自分がいた。
自分では衝撃的すぎて、似合っているのか似合っていないのかもわからない。
 
愛たんは、とっても嬉しそうに、かわいいかわいいと褒めてくれた。
「ああ、言うこと聞かなさそうなところがいいね!とってもかわいい!」
と言った。
 
そう、私はよく両親にそう言われていた。
それが、ロングヘアだとおとなしそうに見られて、その言うこと聞かなさそうなところは消えていたんだと思う。
 
でも、本来の私は変わらない。
人から思われるイメージの私と、本来の私とのずれに、息苦しさを感じていたのかもしれない。
 
私は、髪をショートに切ることは女を捨てることだと思っていた。
このたびショートになって女を捨てた気持ちだったけど、なんだかとってもすっきりした。
楽になった。
こだわりがなくなった。
 
女らしく振舞わなくてはいけないとか、女っぽく見せなくてはいけないとか、女であることのこだわりがなくなった。
 
私は、女である以前に「私」なんだと思えた。
女らしくしなくてもいい。
「私」らしくあればいい。
 
とても自由になった。
床屋さんを出て駅まで歩く道、切ったばかりの髪に風が入ってきて、とっても軽かった。
気分も軽やかに歩く。
 
その日は土曜日だったが、その足で会社に行く用事があったのだけれど、自分のあまりの変貌ぶりに、会社に行くのに勇気が要った。
行ってみたら、案の定、びっくりされた。
私だと全くわからない同僚までいた。
なぜ私の席に全然違う人が座っているだろう、誰だろうと思った、と言われた。
 
でも、似合っていると褒められた。
「かっこいい!どうして今までその髪型じゃなかったんだろうって思うほど似合ってます!」
とまで言ってもらった。
 
よかった……
ショートにしたら、周りの目が変わった。
言うこと聞くだろうと思われていたのが、言うこと聞かなさそうなイメージになったからだろうか。
生きやすくなった。
女だからこうしなくちゃとか、女だからこうしてもらいたいと思われているだろうとか、
そんな思考が薄まった感じがした。
中性的というか、こどもの気分というか。
なんともいえない開放感! 爽快感!
 
私が私でいられる。
そんな気がした。
 
ショートになって女を捨てたと思っていたのに、ショートになったら男の人から好きだと言われた。しかも、ロングヘアのときは見向きもされなかった人から、ショートになった途端に注目された。
 
どういうこと?
 
エネルギーを調整してもらって、自分のエネルギーがちゃんと流れているから?
やっぱり、自分が自分でいられるって、いきいきと輝いてみえるのかな。
 
愛たん、ありがとう。
自分を活かす。
私、自分の人生を、伸びやかに自由に生きます!
 
 
 
 
***
 
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2020-11-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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