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コトバノチカラ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:串間ひとみ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「自分の考えとか、気持ちを言葉にするのって難しいですよね」
 
進学のための「志望理由書」、就職のための「履歴書」を見る中で、上記の言葉を何度生徒たちから聞いただろうか。
 
本当にそう思う。そもそも大人の私でも上手くできないからこそ、昨日までの8回にわたるライティング・ゼミを受けてきたのだ。頭の中では分かっているのに、声に出す、文章にする、いわゆる言葉にするとなると、どうしてこうも難しいのか? ましてそれを相手に分かりやすい形にするとなるとさらに難しい。
 
つい最近も1人の生徒が、進学先に提出するための文章を見せに来た。内容は「志望理由」と「将来の夢」についてだった。なんとなく当たり障りのないことが書いてある。それを見て、いきなり素敵な文章に直すという、国語の先生のような技は持ち合わせていないので、私なりのやり方で直していくことになる。それはひたすら質問をしていくという方法だ。例えば「調理師の資格を取る学校に行く」という設定であれば、
 
「なんで調理師なりたいの? きっかけは?」
「あなたの長所は? 自分のどんなところが活かせると思う?」
「将来どんなお店で、どんな料理を作りたい?」
 
できるだけ細かく、具体的に、同じような質問を何度も繰り返していると、初めは頭をひねりつつもなかなか言葉にできない生徒も、少しずつ自分の考えていることが整理され、分かりやすい言葉にして出してくるようになる。
 
「そうそう、それが1番伝えたかったことじゃないと?」
 
そう言う頃には、本人も自分の気持ちをしっかり言葉として認識できているため、志望理由書も格段に上手に書けるようになる。そこまで来た時の本人たちの嬉しそうな顔は、あいまいだった自分の気持ちを言葉にできたことでの自信なのだと思う。
 
「志望理由書」も「履歴書」も受験の1番最初に自分を売り込むためのツールだ。本人が持ち合わせている他の技術よりもはやく(調理師であれば料理の腕を確認されるよりもはやく)相手の目に触れ、最初の判断材料となる。そいう意味で、自分の考えや気持ちを言葉にする力というのは、進路を左右する力と言えるし、それだけに留まらず、人生のあらゆる場面で必要とされる力である。
突然、志望理由書を見ていた生徒が言った。
 
「前食べた先生のグラタン美味しかったです。グラタン好きなので、ガストとかで絶対頼むんですけど、全然違いました。今のところ世界一です」
 
うちの学校は毎日のように調理実習があるため、たまに余った材料で、私が生徒たちに料理を作ることがあるのだ。放課後お腹がすいて、好きなグラタンのことを思い出しての何気ない発言だったのだろうと思う。だが、授業、放課後の補習、その後の志望理由書のチェックと続き、だいぶ疲れていた私にとって、その言葉はとても嬉しいものだった。「ガストとお母さんと私」という、かなり限られた中での世界一という称号がいか程のものかと思われるかもしれないが、そんな些細な言葉でも、「よし頑張ろう!」と思えるのだ。言葉が発せられる状況も、相手がどのように感じるかということに大きく関係していると思う。
 
教員にとって、状況と言葉が最大に掛け合わさるのが、「卒業式」の「ありがとう」だと思う。娘を持つ親なら、「結婚披露宴での親への手紙」の「育ててくれてありがとう」ではないだろうか。
 
「3年間ありがとうございました」
 
卒業式の日に直接口にする生徒もいれば、寄せ書きに書いてくれることもある。どんな形であれ、この時の「ありがとう」は、学校生活の中で群を抜いている。たとえ数え上げればきりがないほどの迷惑をかけられていようとも、その一言ですべて帳消しになっているのだ。卒業式の会場を出ていく後姿を見ながら、どんな出来事も不思議といいものなっていることに、毎年のことながら驚いてしまう。卒業式は、学校が終わるという節目であると同時に、生徒・教員・保護者それぞれが普段お互いに口に出せない言葉をかけあえる行事なのかもしれないなとも思う。
 
会話、本、歌、映画、マニュアル、志望理由書、履歴書、テレビ、新聞、ネット、その他、世の中にはたくさんの言葉が溢れている。それらの言葉は、直接もしくは様々な媒体を通して、人と人がお互いに伝え、理解し、共有していくためのツールだ。作り出していく言葉も、何気なく使っている言葉も、超強力に他人との関係を変えてしまう大きな力を持っている。目には見えなくても、「ありがとう」や「大丈夫?」、「美味しかった」といった温かい言葉は人を幸せな気持ちにし、冷たい言葉はときとして刃よりも深い傷を負わせることがある。同じ言葉でも、いつ、どのような場面で使うかによって、相手の受け取り方も変わる。私自身、家族、友人、職場の中でかけてもらった言葉で、本当に助けてもらった。言った当の本人は覚えてないような場面で、何気なくかけてもらった一言で、とても悩んでいたことから抜け出せたこともある。言葉はすごいのだ!
 
計り知れないコトバノチカラを操るのは本当に難しいけれど、大事に使いたいなと改めて思う。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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