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メディアグランプリ

出向先は心の道場


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:後藤修(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
15年前の30歳の春だった。僕は当時の職場長に呼ばれてこう言われた。
「きみ、異動になったよ。関連会社に出向になった。来週にいってもらうことになったから
頑張ってくれ……」
「は?出向? どういうこと?」 とあまりにも唐突すぎて僕は何も言えなかった。
それからの数日間は現実を受け止めきれなかった。
「いったいなぜ、この年齢で出向なんだ……」 僕は悔しさと失望を引きずりながら
新しい職場にいったのだ。
初日に僕は、新しい職場のメンバーの前で紹介されて笑顔で挨拶をした。
が、心はずっと泣いていた。
その部署では、各支社へ送られる資料を作ったり、ダイレクトメールを作るという
裏方の仕事が主な仕事だった。私は、前職で接客する仕事を担当しておりその業務が好きだった。
だから、内心(なんで、裏方の仕事ばかりやるんだ……)と思いながら、気乗りせず
仕事をやっていた。しかし、仕事のチームメンバーが事あるごとに、僕を気にかけ
優しく接してくれたのだ。
そのような毎日を過ごしていると、僕の頑な心が日に日に溶けていった。
前職では、どちらというと‘一人で頑張る’という仕事が多かった。だが、それとは違い
ここでは‘みんなが協力して仕事をしていく’ことが重視されていて、その考え方も次第に
僕は理解でき始めていたのだ。
こうして、前職とは経験では身につけられない考え方を得られたのだ。
 
1年余りして、同じ部署の違う課へ異動となった。
今度の異動は間もなかったが前回に比べて、自分は大きな衝撃を受けなかった。
むしろ、夜勤がなくなり、朝から夕方まで働いて帰ることが出来る労働時間だったため、、健康に負担があまりかからなくなる生活に戻れることに僕はほっとしていた。
そして、これからの仕事に期待をかけた。
 
しかし、状況は1年ほど経ってから一変した。
 
大きな理由は仕事を教えてくれる親しい同僚が異動となってしまったことだ。僕はその同僚を他の同僚と関わる時に大いに頼りにしていたことから、それ以来、課の中でなかなか仕事がうまく進まなくなっていった。
さらに、複数いた同僚達とコミュニケーションがうまくいかなくなり、思うようにいろいろなことを話せなくなり、積極的に行動ができなくなってしまった。
そして、挙句の果てに、同僚が僕を陰で揶揄し始める状況にまでになってしまった。
この調子で、僕は孤立した状態となり、同僚に仕事でひどく責められたり、僕は仕事ができない自分自身をを否定する日々を3年ほど過ごしていた。
 
そのうち会社へ行くことも嫌になって、辞めようと思っていた時にある本を手にした。
その本を読んだところ、次の一文が目に入った。
 
‘今の状況は今の自分にふさわしいことが起こっているものだ’
 
はっと気づかされた。(今まで、自分が責められることがおかしいとおもっていたけど
実は自分に間違いがあるからじゃないのか?この分の通り、もう一遍自分を見直して
明日から、気持ちを新たに取り組もう。 」と思ったのだ。
 
その後、僕は変わった。具体的には、‘自分が関わることを真摯にこなすこと’を実践した。
自分の仕事はもちろん、ささいだと思うことや、他の同僚が行なう積極的に単純作業を手伝うように努力した。
これを続けるのに比例して、同僚が僕の作業を手伝ってくれたり、アドバイスをしてくれるようになったのだ。
それから、仕事で起こったことを欠かさず連絡することと伝えることを継続した。
これらのことを大事にこなし続けたら、同僚たちは僕の行動に口を挟まず、見守るようになった。
 
そうして僕が新たな心で行動をし続け1年半ほど経ったある日、当時の副職場長に呼ばれた。
「きみ、異動になったよ。今度は支社に配属になった。これから頑張ってね!」
僕は辞令を聞いた時は信じられなかった。出向してから8年半の時が流れていたので
一生ここから出られないかなと思ってもいた。だから、受け取った後
「やったあ!!願いが叶ったぞ!」と大きな声を出してしまいそうになった。
 
それから数日後の最終日に、仲がよかった3人の同僚が僕に「はい‼お餞別!!」と言ってネクタイを3本プレゼントしてくれた。僕は感激のあまり、涙を流した。
すると、僕にさんざん厳しく接していた同僚が「次のところで、頑張ってね!」と笑顔で言ってくれた。
まさに、卒業の瞬間であった。
 
僕は、支社で様々なことを真摯にこなし、3年後に現職へ異動した。今は僕のキャリアの中で、自分の特性に合う顧客の対応係として働くことが出来ていて
周りから大きく頼りになる存在になっている。
 
このように、働くことが出来ている根本には、出向先で鍛え上げてきた「心の力」があるのだと確信している。
まさに、“出向先は心の道場”だったのだ。
 
サラリーマンを経験している人ならば、自分の意に沿わない異動や、全く予想もしないところへの配属により、辛く苦しく思うこととがたくさんあると思う。
 
しかし、そのようなことが起きる時は、自分に必要な何かを身につけるための機会が
きたんだと思えばいい。そして、それを探すように自分の行動を見つめ直していけば、いづれ気づける時が来る。そこから、何かを身に着けるように日々を積み重ねれば
自然とあなたが希望する道の入り口に辿り着く。
その時は、大きな心の器量を身につけた自信に満ちたあなたになっているはずだから。
 
 
 
 
***

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2021-01-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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