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1度で満足する家づくりのコツ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:岡野 陽子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「これは、ただの絵だ!」
 
と1枚の設計図を叩きつけられた。
 
「……。」
 
悲しくて、返す言葉もない。入社して間もない私が、社長に言われた言葉だった。
 
設計士を目指していた私は両親が自宅を新築するというので、ぜひ関わらせて欲しいと、設計はうちの設計事務所でと社長にお願いしていたのだ。施主であり設計者の立場であった。
 
「家にとって最高な場所はどこか分かるか。東南の角だ!」
 
私の描いたそこには浴室があった。でも、それには理由があった。
 
「水回りを北にもってきてはいけないという言い伝えがある」と、両親から言われていたからだ。後からよく聞けば、配管の向きで問題は解決できたことだったが、その頃の私は知識も乏しく、設計士として両親を説得することすら思い付かなかった。
 
それでも、社長は設計士見習の施主の私を、最小限のアドバイスで見守って下さった。そうして出来あがった家は、ダイナミックなのぼり梁のある小屋うら利用の平屋だった。2000万円という予算の中で、小さい頃からの夢や両親への想いが形となった。解放感に富んだとても気持ちの良い空間だったが、収納は少なく、これから老いていく両親にとって寝室の近くにトイレがないのは残念だった。
 
「家は3度建てないと満足いかない」と良くいうが、その通りだった。
 
人は誕生してから死ぬまでに、家族構成も変われば、立場も変わるからだ。今回のように、憧れや固定概念もあるだろう。
 
限られた立地条件、資金の中で、自分を納得させ、バランス良くおさめるには1度では到底無理な話だ。大体、何が分からないのか分からない状態であろう。ましてや自分の好みでさえ明確ではないのだから。
 
それから私は必至で働いた。現場へ足を運び、図面をかき、法規も学んだ。何十棟もの家や店舗、診療所、工場などの設計にもかかわった。ようやく家づくり全体の流れが分かってきた頃。それは実家を建てて7年目のことだ。
 
突然、2度目の家づくりがやってきた。
 
結婚して間もない私たち夫婦に
 
「安心して子育てのできる家をつくってほしい」と、余命わずかな義母からの申し出があった。
 
とても嬉しいことだったが、建てるのは、主人の勤める住宅メーカーだった。
 
私は施主。これまでと全く勝手の違うやり方で、あらゆる規格にはめ込まれるのではないかと不安がよぎった。
 
でも、実際はそうではなく、ある程度の規格はあったものの、プランニングから外装・内装に至るまで、メーカーの設計士と、かなり自由に関わらせて貰えた。
 
1度目の家づくりで学んだことと我が家のライフスタイルを踏まえてまとめてみると、
 
プランニングに関して
 
明るくて気持ちの良い東南の角には、家族が良く集まるLDKを設けた。
 
ダイニングから水回りに抜ける通路には可動棚とハンガー、押入を設けた巨大クローゼットを設けた。私のプランにNOと言った設計事務所の社長の案だ。
 
両親の寝室の近くには洗面、トイレ、バスルームを。
 
毎日のことだから階段は特注でゆったり設定。
 
―ポイント1とにかく明るくて気持ちの良い空間をつくれば、満足いく―
 
意匠に関して
 
自分の好みを確立するために、雑誌などの切り抜きをまとめ、流行りに流されず、飽きのこないデザインと本モノを選ぶよう心がけた。
 
―ポイント2 本物は時間と共に味が出るが、偽物は時間と共に朽ちていく―
 
予算に関して
 
構造などのハード面から、なるべく費用をかけた。
 
できるだけノーメンテナンスな屋根材・外装材の仕様とし、住み始めた後からでもやり替えのきく内装はコストを抑えた。ただし、外部に直接面する1階床材は本モノを使った。
 
ランニングコストを考え、LDは間仕切り可能とし、吹き抜けやリビング階段はさけた
 
―ポイント3 費用はやり替えの大変なハード面を重視する―
 
そうしてできた2度目の家は、義両親と私たち夫婦4人でスタートした。
 
1年後、長男が誕生し、畳使用のリビングは母子の寝室となった。
 
2年後、義母の介護は寝室と洗面、トイレ、バスルームが隣接していたためスムーズだった。
 
8年後、次男が誕生し、2階の個室が生き始めた。
 
10年後 1番快適なLDKは、たくさんの人が集まれる料理教室の場ともなった。
 
あらゆる変化に応じてくれたこの家に、今も何の不満もない。
 
3度建てないと満足できないと言われる家づくりが、2度で満足できたのは、周りのアドバイスを聞き入れる耳と、広い視野が持てる施主になれたこと。
 
間違った方向に進みそうになった時に、NOと言ってくれる設計士と出会えたこと。
 
設計士の沢山ある引き出しの中から自分達に見合うものを開いてもらえたこと。
 
それは、施主であり設計士だった私であり、設計事務所の社長、メーカーの設計士である。
 
―ポイント4 施主が豊かな想像力をもてばその世界は備えられている―
 
何が分からないのか分からない状態で始まっていく家づくりは、決められた期間内で、時に早急な答えを求められることもあるが、引き出しの沢山ある設計士やコーディネーターに任せるのも賢い選択の1つだ。
 
これから家を建てる人に、少しでも私の経験が生かされればと思う。かなり設計者よりの意見に聞こえるかもしれないが、1度に施主と設計士の世界を2度も見た私が言える1度で満足する家づくりのコツだ。
 
 
 
 
***
 
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2021-01-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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