メディアグランプリ

社会人にお勧めしたい千と千尋の神隠しの楽しみ方

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:小島雄也(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「プシュ、ゴクッゴクッゴクッゴクッ。あぁ〜」
 
去年の夏の夜、いつものように激安で銘柄もよく分からない缶チューハイを飲んでTVをみながらダラダラと過ごしていた。
夏と言えば海、キャンプにマリンスポーツなどアウトドアが盛んになる季節である。でも、僕の夏はもっぱらこんな感じだ。
その日の夜は、ここ何年間かで定番になりつつある「夏の5週連続ジブリ金曜ロードshow!」の企画で千と千尋の神隠しを見ていた。お気に入りの作品なので10回は恐らく見ていると思う。何度も見ていて好きなセリフが2つあるので紹介して行こうと思う。今回、何度も見ているはずなのにとてもハッとしたセリフがあった。思わずビールを飲む手が止まってそのあと深く考えこんでしまった。
 
「湯婆婆は相手の名を奪って支配するんだ。いつもは千でいて、本当の名前はしっかり隠しておくんだよ」
 
このセリフは準主役のハクが主人公の千尋という女の子に言ったセリフだ。
 
この物語の世界で名前を忘れるということは、過去の自分を忘れてしまい、現実世界に戻れなくなることを意味する。「名前を忘れる」というキーワードがこの物語の大事な要素らしく、何度もでてくる。このシーンがとても引っ掛かり、感情が揺さぶられた。それと同時に仕事中の、ある景色が頭に浮かんだ。
 
そのとき、上司からある仕事を頼まれた。その仕事内容はどう考えても自分がやる必要がなく、なければないで済むものだった。
上司もそれを理解していて「僕らの仕事じゃないから気が乗らないかもしれないけど、まぁ仕事だからさぁ。頼むよ」
 
僕は特に疑問を持たずに「◯さん!仕事なのでやります!仕事だからそんなこと言っていられないですもんね」と答えた。
だが、その後からスッキリしなくて悶々とした気持ちで働いていた。仕事だからにとても違和感を感じた。「仕事だったら。給料をもらっているから何をやってもいいのか?」とその日から疑問を自分に投げかけようなった。
「仕事だから」は僕の口癖になっている。いや、よくよく考えてみると職場の若手スタッフから重役まで、多くの人がこの言葉を使っていることに気づいた。
 
「仕事だから」
 
社会人なら1回は使ったことがある人も多いのではないかと思う。
 
何だろう? この言葉。なんでも仕事で片付けていいのか。
 
「自分は千と千尋の世界だったら名前を忘れているんじゃないか」と心の中でつぶやいた。
経営者に名前を奪われて働いているという意味ではなくて、何か別のすごーく大事なことを忘れているという感覚になった。この物語の中には元の自分を忘れて何も考えずに過ごすキャラクターが沢山いる。
 
自分は一体何を忘れたのだろうか……。
 
若手の頃は仕事がむしゃらに働いてきて、将来こうなりたいという目標・志が明確にあった。
ただ、最近では15年余り同じ仕事をしてきて、目標や、やり甲斐みたいなものを見失っていたのかもしれない。同じようなことを淡々と何も考えずにやる。
「それでいいのか?」
 
物語の中で主人公は言いつけを守り、名前を一切忘れずに両親を助けたいというとても強い意志で動いていた。
小さい身体なのに、高い壁にぶつかっても辛いことがあっても、がむしゃらで全く心が折れずに前向きだった。昨夏、映画を見たことで新人の頃の未熟だけど一生懸命な自分とがっちり重なったのだった。
 
映画がキッカケとなり、改めて何のために誰のために仕事をするのか考えるようになった。勿論、生活するためというのはある。他にも自分のやり甲斐、成長、人への貢献などとても大事なことが色々思い浮かんだ。
結果的に何でも屋はもうごめんだと思うようになった。最近では、上司から仕事を頼まれたら本当に自分がやるべきことなのかと考えている。断るときは断るし、断っても大した問題にならないことがわかった。そこから、余計なストレスが消えてスッキリしている。目標がより鮮明になり、ブレないようにもなってきた。
 
2つ目に好きなのは物語のクライマックスのワンシーンだ。
 
これまた準主役のハクが言った「さあ行きな、振り向かないで」
 
この物語の最大の感動ポイントかもしれない。毎回、涙腺爆発している。見ていない人がいるかもしれないので、ネタバレになるから詳しくは実際に見てほしい。
 
他にもこの映画で勉強するべき点は多い。作者の宮崎駿監督のインタビューでは「この世界がどんなに豊かで、たくさんの可能性があるかを描きたかった」とコメントしている。少女のために描かれた物語とのこと。
 
子供が見て面白いことはもちろんのこと今回、仕事で思い悩む社会人にこそ改めて見て欲しいと思った。
 
人気映画なので見ている人は多いと思う。仕事に行き詰まっている人は違う視点でもう一度見てはいかがだろうか?
 
 
 
 
***
 
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2021-01-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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