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ビジネス用語は香水だ


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記事:risa(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「バッファもあるし、もうちょっとみんなでチューニングが必要ですね!」
 
4月。
 
先輩のこの一言は、入社したばかりの私にとっては呪文か何かのように思えました。
 
オンライン会議中にわたしはPCでそっと別タブを開き、先輩にばれないように「バッファ」「チューニング」……と聞き馴染みのないカタカナ語の意味をGoogle先生に聞いていました。
 
(ふーん。これが「ビジネス用語」ってやつか……!)
 
これはわたしがビジネス用語に触れた最初の経験でした。
 
ビジネス用語とは簡単に言うと、業務を円滑に行うためのビジネス用の言葉のことです。
 
アグリー、インバウンド、エスカレーション、エビデンス、KPI、フィックス、イニシアティブ、コンバージョン……
 
など例を挙げだせばキリがないくらい多くの言葉が存在しています。
 
社会人として世に出ている、もしくはでたことがあるみなさまは、誰しも一度は何かしらのビジネス用語を耳にしたり口にしたことがあるのではないでしょうか?
 
もしかすると早ければ、学生時代にすでに耳にし、使いこなしていた方もいらっしゃるかもしれませんね。
 
わたしは、はじめてこれらの横文字を耳にしたとき、学生時代にあまり聞く機会がなかったためとても新鮮でした。
 
そして同時に、自分の知らないビジネス用語をつかいこなす先輩たちの姿は、なんだかとてもかっこよく見えたのです。
 
(典型的なミーハーですね笑)
 
それからというもの、すこしでもはやくビジネス用語を多く習得して、スマートなビジネスマンになりたい! と強く思ったわたしは、先輩の言葉に注意深く耳を傾け、知らないビジネス用語がでてきたらメモをとり、PCで調べるといった行動を繰り返していました。
 
努力のかいもあって、入社して半年ぐらいたった秋ごろには、先輩たちの話すビジネス用語の大半をなんとなく理解することができ、自分もなんとなく使えるようになっていたのです。
 
そんなあるとき、事件が起きました。
 
わたしはとある会議に出席した際、同僚と私のやりとりに非常に大きな違和感を感じたのです。
 
(同僚A)「これはジャストアイディアなんだけど、まだバッファあるし、クライアントからコンセンサスを得るためにもうちょっと内容をブラッシュアップしようか!」
 
ん……?
 
(同僚B)「そうですね。確かに内容のブラッシュアップが必要ですね。とはいえ、はやめにフィックスさせなければいけませんね」
 
んんんんんん……?
 
なんだか、ビジネス用語を多用しすぎていませんか?
 
そんな風に思っていた時、私にも「あなたはどう思う?」 と話が振られたのです。
 
それに対する私の返答はこちら。
 
(私)「アグリーです。ブラッシュアップ必要だと思います」
 
……。
 
みなさま、おわかりいただけたでしょうか?
 
なんだか妙に滑稽に見えませんか?
 
とにかくビジネス用語が多いこと……。
 
単に「もうちょっと企画内容をよくしようか」という話なのですが、ビジネス用語を多用することでなんだか回りくどく、話を分かりにくくしているような印象を受けると思います。
 
客観的にみたときに、これは業務を円滑に行うためというより、むしろ新人がちょっと背伸びして難しい言葉を使用してかっこつけたいという意思がみえみえですよね。
 
そのことによって、「普通に日本語で話してよ……」 と相手になんとなく不快感を与えてしまう可能性があります。
 
私はこれを勝手に「香水効果」と呼んでいます。
 
香水って自分の気分転換や相手にいい印象を与えるのにとても良い役割をしてくれますよね。
 
しかし、TPOにあわせて使用料を調節しなければ、相手に不快感を与えて自分の印象を下げてしまいかねません。
 
たとえば、電車の中や、暖房のきいたオフィスの中で甘ったるい香水の匂いが充満したら、たまったもんじゃありませんよね。
 
ビジネス用語の多用はこれと同じことがいえるのでないでしょうか。
 
適切なシーンで適切な分量で使用することによって、ビジネスが円滑になり、はじめて効果を発揮するのです。
 
なんとなく自分をよく見せたいとか、そんな理由でビジネス用語を多用することは、
 
相手に「あほっぽいな」というイメージを抱かせるだけではなく、話している内容も伝わりづらくなってしまい逆効果になってしまうと思っています。
 
この「ブラッシュアップ事件」は同僚との間で笑い話になっているのでここでも紹介しましたが、これって実は私たちに限った話ではないのではないでしょうか?
 
先ほど私と私の同僚のやりとりをみて笑った方、今一度会議の際にご自身の発言に耳を傾けてみてください。
 
なんとなくビジネス用語を多用していませんか?
 
どうか、みなさまが私たちのような失敗を起こさないことを心から願っております。
 
 
 
 
***
 
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2021-01-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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