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健康知識は毒となる


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記事:北村夏紀(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
人生100年時代といわれ、2人に1人が100歳まで生きる時代が来るという。
その影響もあってか、昨今、病気の予防や食事、ダイエットなど、健康に対する意識が益々高まっているのを感じる。テレビや本、ネットで取り上げられていることも多く、その情報を参考にして自身に取り入れている方も多いだろう。
 
何を隠そう、私もその一人である。
薬剤師という仕事柄、健康には特に関心が高いというのもある。
 
これは身体にいいという情報を聞いては食事に取り入れ、これは良くないと聞けばあまり食べないようにする。
 
それ自体は何の問題もないのだが、身体に悪いとされているものを食べてしまったときに感じるのが罪悪感である。
この「罪悪感」というのが曲者で、自分がそれを選んで食べた(しかも美味しかった!)にもかかわらず、「あー、またやってしまった」と落ち込む。
 
先日もマクドナルドへ行った。チキンタツタが大好きで、毎年、期間限定で販売されるこの時期をひそかに楽しみにしている。
 
このご時世なのでテイクアウトしてきて、自宅のリビングで箱を開ける。
チキンタツタ独特の、表面がツルっとしたふかふかのバンズ。しょうが醤油味のチキンにマヨネーズがベストマッチ!
やはり、いくつになってもこの味が好きなのだ。
 
入っていたキャベツの千切りまでをも一本残らず拾って食べるくらいチキンタツタを楽しんだ。
満足気な私に、夫が茶々を入れる。
「ハンバーガーにポテトとスプライト!カロリーはどのくらいになるのだろうね」
 
「美味しかったからいいの!」
そう言いながらもむくむくと湧き上がる罪悪感。スプライトではなくウーロン茶にしておけばよかったか。ポテトもSにした方が。そもそもファーストフードを食べている時点で……
 
こんなことを考え始めるともう幸福感も半減である。チキンタツタには申し訳ないことこの上ない。
 
そしておそらく、私のように健康知識を集めるのが好きな人は同意してくれるのではないかと思うが、健康知識に「絶対にコレ!」という正解はない。一つの食材をとっても、これは身体にいいという人と、これはこんなデメリットがあるからやめた方がいいという人、どちらにも遭遇してしまうのだ。
 
昔から私たちの主食であった「ごはん」でさえ、白米は血糖値が爆上がりするから玄米にするべき説もあれば、玄米は毒がある説、そもそも炭水化物はとらない方がいい説、炭水化物を抜くのは良くない説……
 
いいのか、悪いのか、だれか正解を教えて! と叫びたくなる。いや、何度も叫んだ。でも、その答えを教えてくれるものは一人もいなかった。
 
この世界に絶対的な正解なんてない。
東洋医学では「陰」と「陽」という考え方がある。光があれば影ができるように、全てのものに良い面(陽)も悪い面(陰)もあり、それぞれが互いにバランスを取り合いながら存在している。
 
だから「絶対にコレさえ食べておけばいい!」なんてものはないということは理解していた。
そんなことはわかっている。頭ではわかっているが、それでも最善を追求してしまうのが人間という生き物なのだろう。
 
本当に身体にいい食事とは何なのか、徹底的に調べつくした。現代は情報社会。調べれば調べるだけ、ありとあらゆる情報が出てきた。
 
そしてもうお気づきかと思うが、情報を仕入れれば仕入れるほど、「これは身体によくない!」というデータも蓄積されていった。
 
やがて陥るのが、「何を食べたらいいのかわからない」という状態である。
すべての食材に悪い面が存在するのだから、身体にいいものが何なのかわからなくなってしまうのだ。
 
こうなるともう何を食べても悪いものを食べてしまった感覚になり、罪悪感を抱くという負のループに突入する。
考えることに疲れ、もう何を食べても同じだろうとカップヌードルに手を伸ばす。
 
健康になりたかったはずなのに、常に罪悪感を抱えてストレスを受けている。こんなの健康でも何でもない。
恥ずかしながら、これらは全て私自身が経験したことである。
 
語弊のないように伝えておくと、ハンバーガーやカップラーメンは身体に悪いからやめた方がいいと言っているわけではない。
 
もしあなたが同じように食べ物迷子になっているのであれば、今一度「食べる意味」を考えてみてほしい。
 
昔から、人は生きるために食べてきた。
子どもはもっと大きくなるために食べる。
健康になるため、長生きするために食べる。
美味しいから食べる。
昔を思い出し、懐かしいから食べる。
大切な人と気持ちを共有するために食べる。
 
色々な理由があると思う。どんな理由だっていい。でも間違いなく、罪悪感を抱き、ストレスを増やすためではないという事を思い出してほしい。
 
どんな薬でも、量を間違えば毒になる。
健康知識も、一歩間違えば私たちを脅かすリスクを持ち合わせている。自分自身にとって「ちょうどいい量」を見つけて上手に付き合うことで、味方につけていきたいものだ。
 
 
 
 
***
 
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2021-02-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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