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一週間の断食で得たもの


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記事:西眞紀子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
体重をあと5㎏減らしたい!
 
そんな理由で断食に挑戦した。
わたしが選んだのは、口コミで人気の伊豆高原にある断食道場だ。
「断食×リトリート」というのも魅力的だった。
断食3日間、回復食4日間のスケジュールだ。
半年前から予約を取り、意気込んで伊豆高原へと向かった。
 
お昼過ぎにチェックイン。いよいよ始まるぞと少々緊張ぎみ。
しかし、そこはテラスや部屋から海や山が見える絶景スポットだった。緊張が和らぐ。
だが、すでにお腹が空いていた。前日は消化の良いものを少量、当日は食事をしないで来て下さいとの指示があったからだ。
初日の夕食は、具なしの味噌汁だ。お椀ひとつ。汁だけ……。なんか淋しくなってきた。
 
そして、それは突然やってきた。2日目。頭が痛い。ガンガンする。それにだるい。おまけに立ち眩みもする。
きたー! 断食反応というものだ。低血糖や血圧の変動などが原因の一過性とのことだが、辛い。だれもが通る断食の道なのか。
そこに救世主として現れたのが、生姜湯である。一日3杯までと決められているその生姜湯は甘~くて、ぴりりと生姜の苦みがする。それが、体に染みるのである。それを飲むと、あら不思議。断食反応が軽くなるのだ。わたしの体が糖を求めている。体から声が聞こえる。糖が欲しいと。
 
そんな断食反応も回復食が始まると徐々に収まり、以前より体が軽く感じられた。
その頃には、ヨガ、気功体操、マッサージなどの効果も出てきた。特にヨガは、初めはついていくのがやっとだった。体が硬い。自分の体の硬さにびっくりした。わたしはこれでも中学生の時は器械体操をしていた。体は柔らかかったはずだった。いつのまにこんなに硬くなってしまったのか、自分が恐ろしい。いや危機感さえ感じた。それも4日目あたりからは、体も伸びて気持ち良くなってきた。
マッサージでは、具合が悪いところが直にわかった。肩や首の凝り、腸の動きなどをメンテナンスしてもらい、すっきりした。
体は正直だと思った。自分で手をかけてやれば、体も喜ぶ。普段の自分は、いかに体を労わっていないのかがよく分かった。
 
また、自由時間にはウォーキングをした。一日10,000歩が目標だ。ただの10,000歩ではない。アップダウンの道での10,000歩だ。施設の周りは坂ばかりだ。何せ眺めの良いロケーションに施設はある。しかし、ウォーキングも苦にはならなかった。自然が豊かだからだ。緑が多い。小鳥のさえずりが聞こえる。リスが木の枝をつたう姿を目にする。自然からエネルギーをたくさんもらった。頭の中が空っぽになる。時間がゆっくり流れる。
こんなにゆったりした時間を過ごしたのはいつ以来だろう。普段はやらなくてはならない事にいつも追い立てられている。自分を振り返る時間などなかった。
 
終盤6日目の朝には、トレイルウォークがあった。自分の体の総決算だ。林の中、けもの道をひたすら速足で歩くのだ。20分程だという。参加する前、いちばん憂うつだったのが、このトレイルウォークだった。普段、運動をしていないわたしは、完走できないのでないかと不安だった。参加は自由となっていたので、最悪欠席しようと考えていた。
しかし、6日目の朝のわたしは、ウキウキしていた。体は軽い。林の中を走りたい!
だが、いざ出発してみて分かったのが、アップダウンが予想よりきついということ。足元が不安定で、気を遣う。またたく間に息が上がってきた。最後までたどり着けるか不安になった。そんな中、先頭を行く館長さんの「半分まで来ましたよー」「あと三分の一ですよー」の声に励まされ、やっとゴールすることが出来た。汗だくの中「やったー!」と声が出た。なんという達成感! なんて気持ちが良いのだろう!
体中から喜びが溢れた。これも体をメンテナンスした結果だと感じた。
 
断食を通して、もうひとつ感動したことに食事がある。食事が美味しいのである。断食しているのに、食事のことに注目するのは矛盾があるように思われるかもしれないが、本当なのである。断食すると味覚が敏感になる。食べることの大切さを実感する。
お腹を空かせて美味しく食べる。しっかりお腹を空かせて食べると、食べ物に感謝の気持ちが湧く。
施設で教えてもらった食前の祈りの言葉にこうある。
「あめつちの恵みと多くの人の働きに感謝し、命のもとをつつしんでいただきます」
 
こうして、わたしの一週間の断食は終わった。
目標だった体重はどうなったかというと、マイナス2.5㎏だった。目標には達しなかったが、そんなことは些細なことになった。
大切なのは、心と体のリセットだ。本当に幸せなことは、心と体のやすらぎだ。
一週間自然の中で体のことだけを考えた。自分の体と向き合った。それは自分の心と向き合うのと同じだった。心が乱れていれば、体も整わない。自然の中で心を空っぽにして、体も空っぽにすることで、新しいエネルギーが生まれる。そのエネルギーは産まれたての赤ちゃんのように、清らかなものを吸収してくれる。心と体が整うここで、それだけで幸せだと感じた。
家に帰ってからも自分の心と体を大切にしようと思った。体に良いものを味わって食べること。しなやかな体をつくること。心と体が喜ぶことをすること。
そんなことを学んだ一週間だった。
 
 
 
 
***
 
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2021-02-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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