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上から目線?下から目線?


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記事:九條心華(リーディング倶楽部)
  
 
「この写真の絵を、よく見てください。
これは、『X』というものを見て描いた絵です。
この絵を、できるだけ注意深く見てください。
自分の立場に、よーく用心して見てください。
自分の立場を、注意深く選んで見てください。
 
この絵を見るのに、あなたはどこに立っていますか?
いくつの立場をとっていますか?
いくつの立場をとることができますか?」
 
 
 
実は、これは有名な絵で、「ネッカー・キューブ」と呼ばれているそうだ。
普通に見ればただの「立方体の絵」だ。
四角い箱のような、角砂糖のような形をしているものに見える。
でも、どんな立方体に見えているかということを、よーくいろんな人に聞いてみると、A、B、Cつのグループに分けられるのだという。
 
立方体を、上の方から斜め下に向かって見下ろしていると想像する人。
立方体を、下の方から斜め上に向かって見上げていると想像する人。
C)立方体を、上の方からと下の方からと、上下両方から見ていると想像して、2つの立場をかわるがわるに変える人。
 
私は、どう見ても立方体を上から見下ろしている絵にしか見えなかった。
Aの立場からしか、ものごとを見ていないということだ。
 
でも、Bの立場で見ている人もいるし、Cの立場で見ている人もいる。
同じ立方体を見ていても、立場によって、全然見え方が違っているのだ。
 
上から見下ろしている立場からしかものごとが見えていないと、下から見上げている立場の人と、同じものを見ても、話が嚙み合わないかもしれない。
 
『絵と文で楽しく学ぶ 大人と子どもの現象学』(吉田章宏著/文芸社)では、このようなものの見方の紹介を、子ども向けに絵を使いながら、わかりやすくしてくれている。
 
例えば、まったく同じようなよく似た2軒の家が建っている。そこに住んでいるのは、幸多さん一家と、不幸多さん一家だ。
幸多さん一家は、自分たちが住んでいる家にすっかり満足していて、とても幸せに思っている。幸多さん一家は、この家に引っ越してくる前は、とても貧しく狭くて小さな家に住んでいたからだ。
不幸多さん一家は、住んでいる家に不満があって、とても不幸せに思っている。不幸多さん一家は、引っ越してくる前はとてもお金持ちで、まるでお城のような豪邸に住んでいたからだ。
前に住んでいた家が異なっていたから、今同じような家に住んでいても、それぞれの気持ちが全く違っているのだ。
そして、さらに想像すると、例えば幸多さん一家が、もっと大きなお城のような家に引っ越しするのを望んでいたとしたら、今の家をどう思うか? 例えば不幸多さん一家がもっと狭くて小さな家に引っ越ししなければならない事情があるとしたら、今の家をどう思うか?
 
今の状態を、どう思うか、またどのように違って見えるかということは、過去のことや、未来のことによって、変化すると言える。異なる立場からは、同じものでも、まったく違って見えることがあるのだ。
 
私は第一志望の大学に合格して入学したので、とても喜んで幸せな気持ちで大学に通っていた。でも、周りにこの大学は滑り止めで受けて入学したけれど、第一志望に行けなかったという同級生や、滑り止めに入学したけど諦められず、1年勉強してもう一度第一志望の大学を受けたけどやっぱりダメだったという友だちがいた。同じ大学だけれど残念に思って通っている友だちを見て、「ああ、私は幸せだなあ」と思った。
 
 
「コップ1杯の水をもらうのと、10万円の金貨を1枚もらうのと、どちらが嬉しいですか
?」
たいていの人は、「10万円の金貨」を選ぶだろう。
でも、太陽が照りつける砂漠でさまよっていて、喉がカラカラで死にそうなら、コップ1杯の水を選ぶだろう。立場が変われば、選ぶものが変わる。
 
スペインの騎士ドン・キホーテは、これはカブトだと言って、頭にかぶっている。その従者のサンチョ・パンサは、「だんな様、それはただのタライですぜ。水を入れて顔を洗うのに使うタライです」と言う。2人はどちらが正しいか言い争う。やがて、ドン・キホーテは「このカブトは、そう言われれば、確かにタライのようにも見えるかもしれんな」
すると、サンチョ・パンサも「確かにこのタライは、カブトのように見えるでごぜーますね」そして、これを「タライ・カブト」と呼ぶことにした。
2人の立場の違いは、決して消えたわけではないが、言い争いをやめるための「賢いやり方」を2人は見つけた。お互いの立場の違いを受け入れるための1つのやり方を見つけたのだ。
 
 
立場を変えて見方を変えると、違う世界が見えてくる。それまでと違う世界を知ることで、新しい考えを生み出せる。
そして、自分の立場というのは変化し続ける。子どもという立場から、親という立場へ。
教わるという立場から教える側という立場へ。もらうという立場から与えるという立場へ。
立場を変えると、物事は変わって見えるようになる。
 
いいことと悪いことというのが、あるようでないのは、そのときの自分の立場によって、
物事がいいことに感じたり、悪いことに感じたり、変わってしまうからだ。
 
きっと、この立方体を上から見ることも、下から見ることも、両方から見ることができて、自分の意思で立場を選択できれば、視野が広くて、世界が広がるだろう。
 
ものごとを見るときに、自分がどんな立場に立っているのか意識しようと思う。
そして、自分の世界をもっともっと広げていきたい。
 
 
ご紹介の本 『絵と文で楽しく学ぶ 大人と子どもの現象学』吉田章宏著 文芸社
 
 
 
 
***
 
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2021-03-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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