メディアグランプリ

「気づき」に満ちた学校生活


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:前田悠太郎(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
僕は現在、家業である精肉店で日々仕事をしているのだが、大学卒業後にそのままお肉の業界に入らず、まずは関東にあるお肉の専門学校に進学した。
この専門学校は全寮制の学校で、僕と同じように実家の精肉店を継ぐために入学してくる人や、企業派遣で送り込まれてくる人。自分のお店を開くための勉強をするために入学する人など様々な立場の人たちがいた。北は北海道から南は沖縄まで全国各地出身の人たちがいた。高校卒業したての人から社会人経験者までの10代から30代までの、本当に幅広い人たちと1年間にわたって学び生活を共にした。
この1年間はそれまでの人生の中でもっとも濃く充実し、成長できた期間であった。今回はその学校生活の中での経験と気づき学んだことについて語っていきたい。
 
この学校生活での1年間を一言で表すなら、様々な面で「気づき」に溢れた1年であった。この「気づき」とは学校の授業の中で学んだお肉の知識や技術などのことだけではない。これも重要なことではあるのだがそれ以上に僕が気づかされたことがある。それは、「自分自身の弱さや未熟さ」と「人とのつながりの大切さ」である。それぞれを順番に語ってみよう。
 
自分自身の気づき、それは弱さや未熟さ、もっと言えばコミュニケーション力の不足という部分である。入学前の自分は「僕は人並みの心の強さとコミュニケーション力を持っている」そう思っていた。しかし入学して1~2カ月もすると自分でも気づかなかった自分に気づき始めた。
学校生活の中で実際にお肉を捌いたり商品づくりを学習する、いわゆる実技が他の人たちと比べて圧倒的に遅いし要領が悪いのである。今から考えれば生まれて初めてお肉の勉強(座学と実技)を始めて数カ月なのだから、そこまで深刻に落ち込んだり、自分はダメだと思う必要もなかったのである。しかし当時の僕はどんどんと自信を失い、自己否定を繰り返し、一人で勝手に自分を追い込んでいってしまった。そんな状態なのだから周りの雰囲気を暗くしたり、同期の皆から励まされたりといった具合である。そこでもっと周りの皆に本音を言ったり頼ればよかったのだが、ここで僕は自分を出すことを怖がってしまった。嫌われたらいやだ、理解してもらえない、どう交流を持ったらいいのかよくわからない。それまでの人生であまり人と心から本音で関わる、正面から人と向き合うことがなかったことが良くなかった。
共同生活をする以上、他人と関わり協力し合い、ある程度自分を出して人と向き合う事は避けられない。しかし当時の僕はどこまで自分を出したらよいのか、どこまで相手が自分を受け入れてくれるか分からずにただ怖がっていた。自分に自信を持って、コミュニケーションを取ることを当時の僕はできなかった。入学前の僕は「人とのコミュニケーションはそれなりにできるから大丈夫だろう」と思っていたが、全然できなかったのである。いやコミュニケーションを取ろうとしなかったのである。そんな自分自身の弱さや未熟さにその時ようやく気付いたのである。
先ほど述べた、実技での自信を失った状態の僕にさらにこの弱さ未熟さを思い知ったことが重なり、僕は自分で自分をドン底へと叩き落した状態になった。そのときの僕は見ていられない程に落ち込み、周りから見れば雰囲気を暗くする鬱陶しい奴だっただろう。今から考えればそこまで自分を否定する必要はなかったのである。そんな自分であるなら、今の自分を認めて、そこから考えて努力して自分自身を成長させて改善していけばよかったのである。
 
そのような状態にまでなってしまった自分を立ち直らせてくれた、支えてくれたのが、同期の仲間たちの「やさしさ」であった。
一時は他の同期の皆からもいい印象を持たれず、孤立気味の僕であったが学校生活の後半から徐々に良い方向へ変化していった。僕のことを見捨てることなく支えてくれた仲間たちがいてくれたのである。その人たちの支えがあり、僕もいつまでも落ち込み続けることなく、気持ちを立て直して授業などの学校生活に取り組み始めたのである。すぐに色々なものが良くはならなかったが気持ちは少しずつ前向きになり、周りの人たちとの関わりも下手くそながらも増えてきた。そして学校での課題として、授業で学んだ内容を班ごとに発表するのに協力して取り組んだり、たまにある飲み会に参加して楽しんだり、そうやって学校生活はようやく充実してきた。
そうやって学校生活の中で交流していくと、仲間の様々な「やさしさ」に数えきれないほど触れることができた。この「やさしさ」とはただ単に優しい言葉をかけてくれる、というだけではない。未熟な自分に対する厳しい指摘や対応も含むものである。学校に入学する前の自分であれば、その厳しさもただ辛いと感じるだけだっただろう。しかしその厳しさはただ優しい言葉をかけてもらうよりも貴重で、幸せなことだと今ならよく分かるのだ。この事に気づくことができたのは専門学校に入学して、仲間たちと出会い様々な経験をして「人とのつながりの大切さ」を身をもって学ぶことができたからだと思っている。
 
以上、「自分自身の弱さと未熟さ」と「人とのつながりの大切さ」という2つの「気づき」について長々と語ってきた。これら2つの気づきは僕にとって大切な財産になっており、今回の話に出てきた専門学校での1年間の生活はその財産を手に入れることができた、人生の中での大きなターニングポイントと言えるものである。この1年間の経験があったからこそ、僕自身は今も人生をしっかりと生きていけていると自信を持って言える。そして思い出したくない過去ではなく、財産にすることができたのは仲間たちと出会えたからである。       彼らがいたから僕は専門学校の卒業式の日を笑顔で、幸せな気持ちで迎えることができたのである。見捨てられてもおかしくはなかったが、同期の皆は僕を支えてくれた。そんな大切な仲間たちと出会えた僕はとっても幸運であると実感している。
 
この文章を読んでくれている人たちに特に伝えたいのは、人との出会いの大切さである。人との出会いは自分自身の成長や幸運のきっかけとなるものである。僕の場合は専門学校での出会いであった。そしてこの出会いというものは狙ってできるものではないと思っている。自分でも予想していなかったりまったくの偶然から始まることの方が多い。僕の場合も仲間たちと出会ったのは全くの偶然である。もし1年入学するのがズレていたら出会う事もなく全然ちがう1年を過ごしていたかもしれない。
改めて言うが僕の経験上、人との出会いは人生を大きく変えるかもしれない大切なものである。もし人との出会いを大切にしたいなら、自分の視野を狭めないで物事に取り組んだりチャレンジをしたらいいと思う。そうすることで人生の財産だったり、ターニングポイントになるような出会いが待っているかもしれない。
 
 
 
 
****
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 




人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2021-04-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事