メディアグランプリ

追い詰められた私が逆転の「猫まんま」を作るまでの話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:久慈桃子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
天狼院ライティング・ゼミに申し込んだ時、私は追い詰められていた。
プロのライターの身でありながら、書きたいことを、書きたいように、書けなくなっていたのだ。
 
私が子育てと仕事を一段落させ、物書きの世界に戻ってきたのは2年前のことだった。
クラウドソーシングで地方にいながらにして都市部のメディアの仕事が請け負える、便利な世の中の恩恵をありがたく利用しながら、Webライターとして収入を得る道を選んだのだ。
それまで出版や広報業界で紙媒体の文章を書いていた経験から「腕に覚え」はあったものの、やはりWebライティングの世界は勝手が違う。
特に「SEO対策」という検索ロボット相手の対策と、人間が読む文章としての完成度を両立させる作業は大変だった。
私は一つ一つクエストを攻略するようにWebコンテンツを書き、ときどき企画を採用されてチームを組んだりもした。
 
けれども、次第に私は、書きたいことが思うように書けなくなっていった。
正確には、書きたいことが出てこなくなったのだ。
毎日延々とコンテンツを書き続け、書き続けたあまりにプライベートで自分の書きたいことを書く力がなくなっていた。
「何か書きたい、書かねば」という思いはあるものの、「じゃあ何を?」という答えが出てこない。
ブログやnoteを何ヶ月も放ったらかして、ただただ、テキストエディタの前で呆然としていた。
 
友人との交換日記に自作の連載小説を書き始めた小学生のとき以来、こんなことは初めてだった。
 
書こうと思って蓋を開ければ、いつでも言葉が溢れていたのに。
色んな材料を継ぎ足し継ぎ足し、もはや何の出汁が出ているのかわからない謎の味噌汁のようになっていた自分の中のライティング鍋が、どこかに行ってしまった。
 
だったら私が毎日書いて納品しているコンテンツは何だというのか。
たとえるなら、指定の米をよく研いで分量通りの水で炊いた白ご飯。それが私が書いているWebコンテンツだった。
もちろん、美味しいご飯にするために良い水を使ったり、炊飯器に備長炭を入れたりといった工夫はする。けれども、根本的なところで、Webライターの納品物は謎の味噌汁とは「別物」という意識が私の中にあった。
 
そんな風に区別して書き続けるあまり、味噌汁の作り方を忘れてしまった。
オリジナルの言葉が、自分の文章が、出てこなくなったのだ。
なんてこった。
 
ライティングの本を読んだり文章添削を受けてみたりして色々あがいてみた結果、自分の文章を取り戻すためには「とりあえず、書くしかない」という結論に至った。
かくして私は、天狼院ライティング・ゼミに参加した。
 
ライティング・ゼミは面白かった。
今まで読んできた文章の書き方系のハウツー本には出てこない、斬新な考え方を学んだ。
しかし、新しい方法論を学べば学ぶほど、余計に上手く書けなくなっていく自分に苦しんだ。
 
どんな風に書けば正解なんだろう?
 
考えれば考えるほど、正しい書き方がよく分からなくなった。
ライティング・ゼミでは毎週2000字のコラムを投稿する課題がある。
初回の投稿は基準をクリアしていたものの、悩みながら投稿するうちに、私はとうとう3回連続で落選してしまった。
一応プロのライターとして仕事をしている身でありながら、3回も連続して落選したことはかなりショックだった。
そして改めて考えた。
 
決して安くはないお金を払って、私は何をしているんだろう?
私は「どんな風に書けば正解」かを知るために書いてるんじゃない。
書きたいことを書く力を取り戻すために、ライティング・ゼミに参加したんじゃなかったっけ?
 
私はプロの物書きだ。
読みやすくてきれいな文章は、息をするように書けるのだ。
そうじゃなくて、私は読みやすさよりも「読み進めたくなる文章」を書きたかった。
自分の書きたいものを書いて、読者にぐんぐん読んでもらい、最後に「いいもの読んだな」と思って欲しかった。
私の謎の味噌汁は、そんな情熱でできていたはずだ。
 
私は、捨て身のチャレンジをすることにした。
一度、好きなように書いてみよう。
習ったことをガチガチに再現しようと頑張るより、とにかく自由に書こう。
書きたいことを書く力を取り戻す……私はそのためにお金を払ったんだから。
 
果たして、そんな風に開き直って書いた「ラジオで黒歴史がバレて夫婦円満になった顛末を話そう」は、今までの落選続きが嘘のようにスルッとWEB天狼院書店への掲載が決まった。
 
「あっ、これでいいんだ!」
 
私はぼんやりとだけれど手応えを掴んだ。
色んな事を気にしながらこわごわ書くよりも、とりあえず好きなように書いてみた方が、書き上げた満足感も第三者の評価も良かったのだ。
そこから5本書いたうちの4本が基準をクリアし、うち2本が編集部セレクトに選出された。
私はいつの間にか、書きたいことを書くために、何を書けばいいのかという新しい視点を手に入れていた。
 
ああ、私はまだ「書ける」んだ。
そう思った。
 
毎週ゼミへの投稿を繰り返すうちに、私は「書く力」を少しずつ取り戻していたのだ。しかも、なんだかパワーアップして。
味噌汁の入った鍋が戻ってきた。
そのことが何よりも嬉しかった。
 
さらに嬉しいことに、私は新しいメニューを作れるようになった。
白ご飯に、味噌汁をぶっかけた猫まんま。
Webライターとして納品するコンテンツに、自分のオリジナルの味付けをする勇気が出てきたのだ。
するとどうだろう、スルスルッと収入がアップした。嘘みたいなホントの話。
いやー猫まんま凄い。
おかげで仕事量に余裕ができて、自分の書きたいことをじっくり考える時間が持てるようになった。きっとこれからたくさん書けそうな予感がしている。
 
あのとき半ベソで申込ボタンをクリックした自分を褒めてやりたい。
味噌汁は、確実に美味しくなった。
 
 
 
 
****

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2021-04-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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