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憧れの「在宅ワーク」が教えてくれたこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:仲本 ひと美(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
ずっと在宅ワークに憧れていた。
 
「片道1時間の通勤が面倒くさい」理由はこれだけ。
 
昨年の5月、コロナの感染予防のため、私の勤め先でも在宅ワークを行った。
でも、私は業務の都合により、毎日通勤することに。
 
憧れの在宅ワークへの思いは募るばかり……。
 
しかし、私にも在宅ワークのチャンスが突然めぐってきた。
 
今年の2月、私が住む宮城県で震度5の大きな地震が起きた。通勤で使っている路線に被害があり運休に。会社へ通勤できない期間のみ、在宅ワークが認められた。
災害による在宅ワークを喜ぶことは、不謹慎なのはわかっているけれど
「やったー!」と内心喜んでしまった。
 
初めての在宅ワーク。感想は「最高!」の一言。
朝はゆっくりでき、自分の仕事に集中できる。会社よりも3倍のスピードで業務もはかどる。「同僚とコミュニケーションが取りにくい」という不都合を除けば、在宅ワークは思っていた以上に最高だった。
 
ただ、「最高!」と心から思えたのは、電車が復旧し、3日ぶりに出社する、自宅玄関を出るまで。
 
久しぶりの通勤は、とにかく体がしんどい。3日間、一歩も外出せず、根詰めすぎたのも原因だと思うが、本当のしんどさの理由に気づくことができたのは、春になってからだった。
 
この1年、当たり前だと思っていた「楽しいこと」を我慢する日々が、日常になってしまった。
 
友人との食事、自由に旅行へ行くこと……。
 
これらのことを控えるだけで、他は何も変わっていないと思っていた。
 
春には、いつもは通らない公園で、満開の桜を見てから出勤。
夏には、ちょっと早く出勤し、仙台七夕祭り会場のアーケードを抜けて会社へ。
秋には、いちょう並木の銀杏の香りを「くさいな」と感じ。
冬には、凍結した道路をこけないように慎重に一歩を踏みしめながら通勤。
些細なことだけれど、季節を感じる心のゆとりがあった。
 
この一年、四季の移ろいを感じる心のゆとりはあっただろうか……。
 
今年、春を感じたのは同僚との会話から。
 
「桜いつ満開だった?」
 
「気づいたら桜、もう散っていたね」
 
いつもの通勤路、わざわざ公園を通らなくても、ちょっと顔を上げれば、反対側の道路に桜の木がある。でも、いつ花が咲き、散ってしまったのか、全くわからない。
 
電車と徒歩で通勤する。毎日の通勤は、コロナの前と何も変わらない。
 
シーンと静まり返った車中には「マスクをし、会話は控え、感染予防にご協力ください」とアナウンスが流れる。
私も感染予防をしている。だから「ただのBGM」と、そんな風にアナウンスを聞き流し、いつも通りの通勤をしているつもりだった。
 
今は、テレビをつけても、どこへ行っても、意識をせずとも心を重くする情報が入ってくる。気にしないでいるつもりだったけれど、そんな情報に触れる毎日が、私の「心の窓」を少しずつ、少しずつ、外の変化を感じられないほど閉じてしまっていたようだ。
 
四季の変化があるのは当たり前。春の風を感じれば、「春が来る」と浮き足立ったり、または、「花粉症の季節だ」とちょっとふさぎ込んでみたり。
心がきちんと動いていた。
 
会社のお花見の時期が近付けば、桜の開花状況が気になり、暑くなれば、そろそろ七夕の季節だなと、周りが自然と様々なことに気づかせてくれ、毎日何かしら感じることができていた。
 
でも、今はどうだろう……。
 
お花見もなければ、様々な地域の催し物も中止。自ら意識しなければ「心の窓」は閉じたまま。
 
電車に乗っているだけで、今までは経験したことのないことに気を使い、電車を降りれば、「疲れたな」と、足元ばかりを見て通勤していた。
いつもと同じように、ちゃんと桜は咲いていたのに。
 
この一年、本を読み、SNSや様々メディアから色んなことを感じ、心は動いていた。でも、五感と心を一緒に動かせていなかった。
 
3日間の在宅ワーク。日ごろの運動不足が招いた「しんどさ」だったのかもしれない。ただ、いつもと違う生活をして、通勤が、ただのルーティンになっていたこと。そして、桜の花に気づかぬほど、感覚が鈍っていたことに気づくことができた。
 
私の在宅ワークは、たったの3日だけ。おそらく在宅ワークの良いところしか見えていない。長期間在宅ワークをしている同僚は「家族に気を使わなければいけない」「誘惑の多い自室で仕事に集中するのは大変」と、良いことばかりではないと言っていた。
 
「在宅ワーク」と「通勤すること」、どちらも一長一短なのだと思う。
 
私の職場は、「まん延防止等重点措置」の対象地域にあり、今年も在宅ワークを実施している。私は今回も通勤組。昨年より感染者も多く、街の空気も重く感じる。
 
私にとって友人との食事や旅行は、最高のリフレッシュ。一日でも早く自由に食事や旅行ができる日が戻るよう、しっかり感染予防はしようと思う。
でも、感染予防に疲れたと下を向くのではなく、「心の窓」を全開に、五感をしっかり働かせ、風を感じるだけでも、とても良いリフレッシュになるのではないだろうか。
 
今は新緑の季節。明日の通勤は、背筋を伸ばし、空を見上げてみようかな。
 
 
 
 
***
 
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2021-04-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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