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説明上手の秘訣はテニスにあり


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:浦部光俊(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
「うーん、結局、何をいいたいのか、よくわからないんだけど」
 
今後の仕事の進め方について説明しているときのこと、
上司が苦々しい顔をした。
 
「いろいろなことを考えてくれたのはわかる。
ただ、全体としてのつながりがよくわからない。
結局、君は何を言いたいわけ?」
 
あー、またこの展開だ。
どうしていつもこうなってしまうんだろう。
 
仕事だけじゃない、
社内のちょっとしたイベントの企画、
友達や家族と出かけるときの計画だってそうだ。
 
いろいろと調べ物をして、
自分なりに考えをまとめて、
さあ、いざ提案、となると、
いつもうまくいかないのだ。
 
僕が話しを始めると、
みんなの顔に浮かぶ「?」
何とかしようと、話せば話すほど深みにはまっていく。
最後はお決まりの展開、
「で、結局、なにがいいたいの」
 
いや、あの、なんて、ごにょごにょ言っていると、
どこから聞こえてくるのは誰かの助け舟。
「つまり、それって、こういうことですよね。
じゃあ、進め方としてはこんな感じはどうでしょう」
 
そう、そう、それが僕の言いたかったこと、
ありがとう、なんて思いながらも、
情けなさに涙が出そうだ。
 
仕事の問題点を見つけたのも、
解決案を考えたのも僕なのに。
もう誰も僕の話など聞こうとしない。
 
もっと上手に説明ができたら、
もっと伝わる話し方ができたら、
もう二度とこんなに悔しい思いはしたくない、
なにかヒントはないものか、
飛び込んだ書店で見つけた本、
それが「一番伝わる説明の順番」
 
「何をどの順番で話すか」を意識するだけで、
結果・評価・印象が劇的に変わる。
帯に書かれたその言葉が気になった。
 
順番?
順番って、ビジネス書によくある、
最初に結論から話しましょう、っていうあれ?
 
それなら僕だって今まで意識してきた。
結論を最初に話してきた。
でも、うまくいかないのだ。
僕の考えは、僕の提案は、と話し始めた結果が、
みんなの顔に浮かぶ不安そうな顔なのだ。
 
まさか、それだけじゃないないよな。
それだけで6万部も売れるはずないし、
刷数だってもう10刷。
たくさんの人に支持されてきたのは、
それなりの理由があるはずだ、
期待を胸に読み始めた僕をすぐに襲った感情、
それは、苦しい……
 
あまりにも的確なのだ。
説明が下手な人の特徴がズバリ僕のことなのだ。
 
この本によると、説明が下手な人は、
 
‐何をどの順番で説明するかを考えていない。
‐相手の理解度にあわせた説明ができない、しようとしない。
‐自分の言いたいことがまとまっていない、わかっていない。
 
結果、説明をしても理解してもらうどころか、
相手をより混乱させてしまう。
 
胸が痛かった。
自分のことも、相手のことも、
なにもわかっていないし、考えてもいない。
そう言われているようだった。
 
読むのが苦しくて、投げ出しそうになった。
ただ、どこかで感じていた。
これほど僕のことをわかっている人なら、
きっと何かのヒントをくれるに違いない、
そんな僕の願いは、今度は裏切られなかった。
読み進めるに従い、僕の頭は少しずつクリアになっていった。
 
著者はいう。
「結論を話す前に、一番大切なのは前提をそろえること」
 
前提をそろえる、
なんて難しく聞こえるかもしれないけど、
なんということはない。
要は、相手と目線を合わせてから、
結論に入りましょうということ。
 
相手はどれくらいの知識や情報を持っているのか、
使う言葉は専門的すぎないか、逆に簡単すぎないか、
そんなことを事前に考える。
 
相手に足りていない情報があるなら、
結論に入る前に時間をとって、
情報をきちんと共有する。
そうすれば相手は会話の迷子にならなくて済む。
 
考えてみれば、
僕の話はいつも唐突感が半端ない。
いくら上司だからって、
僕の仕事のすべてを覚えているわけじゃない。
いきなり結論だけぶつけられたって、
はあ、何の結論?
となるのは当たり前だ。
 
そもそも、上司は僕が何の話をしようとしているのか、
そしてどこへ向かおうとてしているのか、わからない。
目隠しをされたまま、無理やりどこかに連れていかれるようなもの
不安になるのも無理はない。
 
そんなことにならないために、
と著者が薦めるのが「地図の共有」だ。
 
今から話すのは、こんな話です。
僕たちの現状は、こんな感じで、
今日は、最終的には上司の承認が欲しいです、
なんて、会話の全体図を見せた上で、
現在地とゴールを示してあげる。
 
そうすれば、相手だって安心できる。
心を開いて、信頼してついてきてくれる。
自然と会話が生まれてくる。
 
前提をそろえてあげるとか、
地図を共有してあげるとか、
相手のことを思ってそこまでするのか、
なんだか、説明って本当にサービスなんだな、
と思った時、ふと思い出したことがある。
 
それは、先日、偶然見つけたテニスのサーブの語源。
 
かつてのテニスは今とは違い、
2人がボールをどれだけ長く打ち続けかれるかを楽しむゲーム。
 
そして、2人の間には召使いが立っていて、
主人がボールが打ちやすいように、最初のボールを投げ入れていた。
 
この召使いが投げ入れる打ちやすいボールが、サーブの語源。
 
召使い、つまりご主人のために、奉仕・サービスをする人が投げ入れる打ちやすいボール、だからサーブというわけだ。
 
打ち返しやすいように、
長く続けられるように、
相手のことを考えてって、
まるで説明と同じじゃないか。
 
そう思った時、
「説明とはコミュニケーションである」
そういった著者の意味がわかった気がした。
 
そうか、説明っていうのは、
相手に奉仕することで、
相手の頭をスッキリさせてあげることで、
会話をつなげていく喜びなんだ、
 
今までの僕は独りよがり。
サービスエースばかり狙って自滅していた。
 
これからは相手が返しやすいボールを打ってみよう。
どれだけ会話が続けられるか楽しんでみよう、
そしたらきっと……
「ナイスショット」
そんな声を聞けるかもしれない。
 
 
 
 
***
 
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2021-05-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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