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メディアグランプリ

読み返すと、昔とは感じが違っていた


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記事:山田THX将治(リーディング俱楽部)
 
 
先週のこと、私は、天狼院からのYouTube配信を見ていた。
注視していたのではない、書き物をしながらBGM的に流していたのだった。
 
『或る日の事でございます。御釈迦様(おしゃかさま)は極楽の蓮池のふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました』
 
YouTubeを流していたラップトップPCから、聞き覚えのある声が流れて来た。
芥川龍之介の『蜘蛛の糸』を朗読していたのは、天狼院ライターズ俱楽部の仲間だった。
私は、暫し書き物の手を止め、彼女の朗読に聞き入った。
配信されていたのはどうやら、天狼院の『朗読ゼミ』の発表会であると、私は気付いた。
 
その後、同じ芥川龍之介の『トロッコ』が朗読された。
『トロッコ』『蜘蛛の糸』といえば私にとって、中学校時代の国語の授業で朗読した覚えがある。そして、感想文を書かされたか中間試験に出された記憶がある。
いずれにしても、あまりいい印象が在った訳では無かった。
読書感想文や国語の試験は、小説嫌い・本嫌いを創ることは有っても、好きになる要因にはならないと今でも私は感じているのはそのせいだ。
 
しかし、仲間の声に促され、私は何気にもう一度『蜘蛛の糸』と『トロッコ』を読み返そうと思い立った。
ところが、蔵書のどこかに残っていると思った芥川龍之介の本は、中学時代の忌まわしい体験からか、どこかに紛失してしまっていた。
私は仕方なく、新たに文庫本を買い求めることにした。都合が良いことに、短編小説の『蜘蛛の糸』と『トロッコ』は、同じ短編集に収められていた。さらに都合が良いことに、その短編集は既知の短編『杜子春』が収められていた。
『杜子春』は、中学一年の学園祭で芝居にして演じたものだったからだ。因みに私は、演技をしたことも無いのに主役を演じることに為った。実は、中一の秋に為っても私は声変りをしておらず、その為、主役が回って来たのだ。
 
買い求めた芥川龍之介の短編集は『蜘蛛の糸・杜子春』と題され新潮文庫から出版されたものだった(1968年出版、2021年101刷)。1968年は昭和43年なので、間違いなく私が中学時代に読んだ本と同じものだ。
この『蜘蛛の糸・杜子春』には計10本の短編が収められている。各作品は、6ページから20ページの短いものばかりだ。
これは意外だった。その中でも特に、『蜘蛛の糸』は6ページ、『トロッコ』は9ページと特に短い作品だった。
 
私の記憶では『蜘蛛の糸』も『トロッコ』も、もっともっと長かった印象があった。授業で教えられることは、ネガティブなことしか記憶に残らない典型となった訳だ。
 
今回、『蜘蛛の糸・杜子春』を読み返してみて、先ず感心したことは、非常に読み易いことだ。天狼院の三浦店主が、講座等で常々言い続けている、
「文豪の文章は、大変、平明(解り易いということ)」
を、地で行くような感じだと私は思った。
実際、注釈・解説を加えても190ページ足らずのこの短編集を、私は一晩掛からずに読み終えてしまった。中学時代、苦労して読み終えた本にしては、何だか勿体無い感じがしたものだった。
一体、中学時代に経験した苦労は何だったのだろうとも思ったし、何故、難しいと感じたのだろう。
それは多分、中学時代の私は、声変り出来ていない子供だったことに加えて、著しくリテラシー(読解力)が低かったのだろう。
その頃から私に、もうすこしマシなリテラシーが備わっていたら、もっと文豪の名作に触れられたのだろうと思うと、残念でならない。
 
そしてもう一つ、今回の読み返しで感じたのは、『蜘蛛の糸』も『トロッコ』も、会話文以外でも会話調に感じたことだ。俗に言う、“ト書き”や“説明文”まで“会話文”の様に読み進められるのだ。
これは多分、文豪の文豪たる所以(ゆえん)なのだろう。
 
そしてまた、作品全体が会話調に感じるということは、読み聞かせに最適な作品ということだと思う。
読み聞かせに最適ということは同時に、朗読に最適ともいえる。しかも、長過ぎない文章量は、今回、天狼院のYouTube配信に使われた朗読の形には、最適な分量だったと思われるのだ。
ということは、今回、私の読み返しの切っ掛けとなり、新たな気付きを与えてくれたのは、他ならぬライターズ俱楽部仲間の貢献ともいえるだろう。
 
文豪・芥川龍之介の『蜘蛛の糸・杜子春』。
読んだ経験がある方なら、きっと新たな発見があると思うので、今一度の読み返しをお勧めしたい。
 
何といっても、読み易い本ですから。
 
 
 
 
***
 
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2021-04-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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