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株式会社人間関係のおそうじ屋さん


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記事:こっちゃん(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
「もつれた人間関係 おそうじします」
ある日、ポストにこんなチラシが入っていた。度重なる人間関係のトラブルで頭を抱えていた私は思わず、そこに書かれていた番号に電話をした。
 
「はい!こちらは株式会社人間関係のおそうじ屋さんです」
 
電話をかけたはいいものの、怪しさを感じていたので緊張していたのだが、元気のよい女性の声が聞こえてホッとした。
 
「あのぅ、チラシを見て電話をしているのですが、本当に人間関係をそうじしてくれるんですか?」
 
恐る恐る、聞いてみた。
 
「はい、わが社は、弁護士やカウンセラーなど様々な支援を受けても解決しなかった、もつれにもつれた人間関係のおそうじをメインにやっております!」
 
底抜けに明るい声に改めて驚いた。その声の主はさらに続けた。
 
「わが社のお客様の大半は、血みどろの相続争いや、泥沼離婚、合併後にカオスになった組織などの方です!」
 
さわやかな説明ぶりに拍子抜けしてしまった。この会社になら、私の事案を話せそうだと思い、思い切って悩んでいることを電話口で勢いよく話した。
 
「誰にも言えなかったのですが、相続争いで家族や親戚一同バラバラなんです。皆、いがみ合って、騙しあって、絶縁状態になってしまいました。このまま、この状態が続くのが悲しくてならないのです」
 
ハッと気が付くと、私はベッドの上にいた。まぶしい光が窓から差し込んでいる。ぼんやりとした中、意識が現実に戻るのをゆっくり待った。
 
夢だったのか。
不思議なことにあの夢を見て以来、私自身が「人間関係のおそうじ屋さん」であれたらいいなと思うようになった。夢の通り、私の家庭環境は複雑で、現在は母と弟以外の親戚とは絶縁状態になってしまった。皆、嫌な気持ちを抱えたまま、絶縁状態の中に居ると思う。
 
かつて、家族や親戚はとても仲が良かった。そのように私は記憶している。もしかしたら、その記憶はハリボテなのかもしれないが、幼少期の記憶では、皆が助け合い、明るく楽しい家族だったことになっている。
 
歯車が狂いはじめたのは、祖父が亡くなった瞬間だ。祖父が亡くなった途端、金取ゲームという恐ろしいゲームが始まった。いかに相続金を多く取るか、いかに法定相続人に相続放棄させるか、そんなことにエネルギーが使われた。誰かを騙したり、搾取したりすることに抵抗があった、私の家族は、気が付いたら「搾取される側」になっていた。何もかも取られてしまう前に、絶縁するしか道は残されていなかった。
 
呪われた一族。
そうとしか思えないほど、悲惨だった。
 
私にとっても、母や弟にとっても、この一連の相続争いはショックなことだった。そして、大きな心の傷を残す出来事となった。もともと私がコーチングを生業にしていたこともあり、この出来事の後、心のケアについて専門的に勉強をすることにした。
 
なぜ、人は殺しあうのか
なぜ、人は欺くのか
なぜ、助け合うことができないのか
 
そんな問いを胸に心にまつわる様々な分野の勉強をした。その結果わかったことがある。私と同じようなケースで悩んでいる人が一定数存在することだ。しかも、事例が驚くほど似ている。そこに一筋の光をみた。
 
同じケースがいろいろな家庭で起こっているのであれば、原因がわかるはずだ。その推測は当たった。どうやら「自己愛」というところに課題があり、家族間トラブルは発生するようだ。
 
自己愛とはありのままの自分を愛すること。○○が出来たらOKとか、○○を所有しているからOKなどの条件付きの承認ではなく、ありのままの自分にOK出せているかどうかというところがポイントになる。
親戚との問題は最高にブラックで複雑だけれど、自己愛に課題があるのだとしたら、まずは自分を愛するというところからしか始まらない。改めて、自分のことを見つめてみたとき、ありのままの自分にOKなど、到底言えないということに気が付いた。もっと成長しなければならない、もっと頑張るべきだなど、今の自分に一切OKを出すことができなかった。
 
あなたは自分にOKを出せますか?
ありのままの自分。職がなくても、見た目がいまいちでも、取柄がなくても、自分にOK出せますか?
 
当時の私はNOでした。その後、徐々に自分と向き合うことに慣れていき、1年後には自分にOKと胸を張って言えるようになった。それと同時期くらいだろうか。冷戦状態が続いていた親戚から連絡があり、少し氷が解けたような気がした。
 
ふと、その時、気が付いた。
人間関係のおそうじって、こういうことなのかもしれないなと。
 
もつれた関係性をみていく前に、自分の内面を丁寧にひも解いていく。周りに目を向け、だれかを非難するのではなく、自分の内側に焦点を当てていくことで、クリアになっていくものがある。
 
あの夢から3年。
私はいよいよ、人間関係のおそうじ屋さんとして活動をしていこうと心に決めている。
 
「もつれた人間関係 おそうじします」
 
 
 
 
***

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2021-05-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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