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蜘蛛の糸、カイロ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:肩書のないオッちゃん(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
ちょうど4年前の夏。
絶望のど真ん中にいました。
 
「脊柱管狭窄症の可能性がありますね」
「せきちゅうかんきょうさくしょう?」
 
頭がクェスチョンマークだらけでした。
 
同時に、その得体のしれない名前に
ものすごい不安を感じていました。
 
たぶん、そのときの表情はマンガでよく見る
頭から目にかけて縦に細かい線が無数に走っているような
青ざめた様子になっていたと思います。
 
でも、そんな表情の変化には全く気付いてはもらえません。
目の前の整形外科医の先生は、自分の脊椎を写したレントゲン写真を使って
淡々と説明を続けていました。
 
それぞれが竹の節みたいな形をした脊椎。それが連なって
背骨を形成しています。人間の脊椎と脊椎の間には、竹と違って
間にクッションみたいなゼリー状のものがあるらしいです。
どこまで正しく理解できているかは自信がないですが、
そのときの説明では、脊椎のラインが下から3番目~5番目にかけて
横方向に波打って湾曲しているように写っていました。
 
その湾曲のせいで、クッションを介さずに骨と骨が直接こすれるように
なったことが痛みの原因になっているのではないかということでした。
直接こすれることで、脊椎の端が鋭利な棘みたいに変成して、骨のトゲ、
骨棘(こっきょく)と呼ばれるものを形成しつつあったのだそうです。
その棘が脊椎のそばを縦に走っている神経に接触し、
電流が走るような痛みを発しているという説明だったと思います。
 
手術しなければ、特効薬も即効性のある治療もないと言われました。
 
腰を温めるモーラステープとかいう代物を常用するようになり、
医療用のコルセットも使うようになりました。整形外科には3日とおかずに
通いました。特殊な椅子に座って、腰から下を伸ばそうと引っ張られる治療と
理学療法士にマッサージの施術を受ける日々でした。
 
ただ、何度通っても、全く状態が良くなりません。
腰回り全体が熱を持ち、3、4歩歩くとしんどくて休む。
すぐに動こうとするとズキッ、ビリッと
右腰から右足全体を襲う電気的なしびれ。
 
姿勢はどんどん右に傾くバナナみたいな姿勢から
変えられなくなっていきます。
 
夏の暑さが引き起こしているのではない、
あきらかに異なる種類のべっとりとした脂汗。
 
「一生このままだったらどうしよう」
 
藁にもすがる思いでした。接骨院、整骨院、整体を知る限り何軒もハシゴしました。
整形外科に通うよりはマシになりましたが、それでも5分と連続で歩けません。右曲がり姿勢も崩せず、30分以上連続で座っていられない状況は変わりませんでした。
 
「もう一生こんなんなんだ」
 
このままいろんなことを諦めながら、この苦痛と戦って生きていくのか……。
 
そんなときに義母から紹介されたのが【カイロ】でした。
 
エジプトの都市名ではありません。冬の防寒用品でもありません。
 
正式にはカイロプラクティック(=chiropractic,chiro)。
もとギリシア語で、手の意味があるそうで、背骨や骨盤の歪みを徒手によって矯正する治療法のことです。
 
アメリカなどでスポーツ選手がカイロプラクターを雇ってどうのこうのという情報は耳にしたことはありましたが、整体みたいなものだろうと思っていました。
 
さっそく電話をして予約すると、患部をできるだけ精緻に写した
MRIもしくはレントゲン写真を持参するように言われました。
すっかり足が遠くなった整形外科で再度レントゲンを撮影し、
セカンドオピニオンをもらいにいくからとレントゲン写真を入手。
 
初回施術を受けました。
 
今まで受けた診療・施術とは全く違うことに驚きます。
 
開始から40分くらい、ずっとヒアリングが続きます。
過去スポーツで負ったねんざの話や仕事中の姿勢など
どんどん過去を掘り下げる対話が続きました。
 
アドバイスが医者と180度違うこともありました。
(お医者様を責める意図はなく、このときの私の症状にはこちらがより相性が良かったということです。)
 
「熱を持っているから施術ができない。氷で冷やして」
「コルセットは腰の筋肉を弱め、腰痛を悪化させるから良くないと思いますよ」
 
で、結局、初回は実際にほとんど施術をしてもらえませんでした。
 
「ここもダメなのかなぁ」
 
と思うかたわら、話をしっかり聞いてもらえ、説明がすごく
丁寧で合理的に感じたことに安心感や納得感がありました。
 
また、もう他に頼れる術も、他を探す気力も残っていませんでした。
 
何も悪いことしていないのに地獄の池で溺れそうになっている私がなんとか這い上がりたくてもがいているときに、最後の力を振り絞って掴んだまさに「蜘蛛の糸」でした。
 
そして
 
回を重ねるごとに、カイロへの信頼度が増しました。理屈っぽい私には丁寧な対話と説明が良かったのだと思います。いつか効果が出ると信じていられました。
 
「歩いているときに、左足に蹴りがないです。前に出しているだけですね」
「張りは筋肉がそれ以上体の状態を悪化させないようにするために生じています」
 
目先の炎症部分にのみに目を向けず、その元凶を突き止めようとアプローチをします。私の場合は、湾曲した背骨の原因となっていた股関節・骨盤のゆがみなどでした。
 
それをひとつずつ丁寧に正常な状態に近づけるアプローチ。
 
最終的には脳の指令を正す必要があるそうです。過去の痛みなどを脳が記憶し、痛みを避けるような間違った姿勢に導こうとしているのが蓄積されるのだそうです。それを少しずつ正していくアプローチなのだとか。
 
3回目。腰の腫れが完全にひき、まっすぐ立てるようになりました。
 
6回目。両足で踏みしめて歩くことができるようになりました。
 
8回目。
 
遂にあの何をやっても改善せず一生治らないとあきらめかけていた痛みから解放されたのです。
 
それから正しい姿勢を脳に教え込むために通い続けることおよそ1年。ゴルフさえもできるようになりました。
 
日本では常に10人に1人の割合で苦しみ、90%の人が一生に一度は経験する腰痛。
 
いっぽう、カイロはまだまだ知名度が低い。
 
もしこれまでの医療や施術では相性が合わず、苦しみが続いている方がいらっしゃったら
一度、この「蜘蛛の糸」を掴んでみることをオススメします。
 
私はこの蜘蛛の糸をつたって続いて登ってくる人たちを落としたりはしません、お釈迦様。
 
 
 
 
***
 
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2021-07-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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