メディアグランプリ

リーダーじゃない人なんていない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:廣渡一子(チーム天狼院)
 
なんでこの人の下で働かないといけないんだろう。
いつもギリギリで仕事を振ってくるし、他の部門と上手く連携取れてないし、提出した企画書に何回も修正入れてくるし。人が仕事するのが当たり前みたいな態度、すごく嫌だった。
 
私が所属するアカペラサークルはみんなアカペラがやりたくて入部している。サークルライブの運営の仕事がしたくて入ってきている人なんていない。でも、サークルに所属している以上、ライブをつくる仕事にも携わらないといけない。
“ライブをつくる”というと、とてもクリエイティブでワクワクする響きだけど、実際の仕事はとても地味なものが多い。大学一、二年の時は先輩に声をかけられて、気づけばよくわからないまま仕事を受け持っていたという感じだった。去年の夏ライブでやったのは印刷物管理の仕事で、チケットやパンフ、ビラ、ポスターなどの印刷物を業者やデザイン班と連携しながら用意、設置するというもの。誰にでもできるわりに地味に大変、でもあまり目立つこともなく、称賛も批判もないような仕事だった。
「他にメンバーが必要そうだったら、自分で集めて」と言われたけど、私は誰も誘わず結局一人で全部やった。もともと、リーダーや人を集めたりまとめたりする役割は苦手で、できることなら仕事は一人でやりたいと思ってしまう。少し量的にきつくても、誰かに頼んだり頼まれたりの人間関係もわずらわしいし、一人の方が気楽でいい。
そう思っているのは変わらないのに、いざ仕事をスタートすると負担が増えてきて苦しかった。次第にムクムクとふくれてきたストレスと黒い感情は、私の直属のリーダーに向かっていった。なんでこんな仕事引き受けたんだろう、この人は自分がやりたくない仕事ばかり人に押し付けてくる、とか。結果的に仕事は成功して、リーダーからはきちんと「ありがとう。いちこちゃんに頼んでよかった」と言われた。その言葉すらも素直に受け取れず、達成感もなかった。「ああ、とりあえず終わってよかった」くらいの気持ちで去年の夏ライブが終わった。
 
 
マンションの駐輪場で電話がかかってきたのは今年の二月。
同期の女の子からだった。電話なんてかかってきたことない子で、心当たりもない。
「もしもし」
 
「あ、突然ごめんね。実はいちこちゃんに話があって……」
ええ、なになに。こういう女子のいう”話”は基本的に頼み事で良いことはない。
恐る恐る先を待っていると、予想のはるか上の頼み事が飛んできた。
「今年の夏ライブの、演出部門長になってくれませんか?」
 
「……」
嘘でしょ!!! 部門長って言ったら、部門のトップのリーダーだ。下には30人弱くらいのメンバーがいる。そ、そんなリーダーとかやったことないし絶対無理、断ろうと思っていた矢先、
「いちこちゃんと一緒にやりたくて」という言葉が聞こえてきた。
ああ、ダメだ。この言葉に私は弱い。期待されるとそれに応えたいという気持ちが止められなくなる。自分のキャパとか能力とか関係なく、イエスと言ってしまう。悪いクセなのだ。そうわかっているのに、私の口から出てきたのは、「わかった」という返事。
本当にイエスマンすぎて困る。
 
引き受けたものはやるしかない、リーダーが何かわからないけれど、やるしかない。やってやろうじゃないか! そして部門長になりもう五ヶ月が経った。私は今リーダーをやっている。そこで気づいたのはリーダーは批判を浴びる立場だということだ。
私だって一人の人間で、ちっぽけで一人じゃ何もできない。でも、何かを発信したり仕事を頼んだり、決断をしたり、そういう行動一つ一つの影響力がとても大きいのだ。批判をされないか、悪口を言われないか、どう思われるか、を気にしていたらキリがない。傷つく覚悟がなくて、リーダーなんてやれないのだ。でも、傷つく恐怖も不安もわかってから初めて、仕事をやってくれているチームのメンバーの痛みや悩みがわかるようになった。傷つく自分を守ったり、それから逃げていてはダメだ。自分の痛みと向き合わないと、成長はないんだと思った。
ああ、チームって一人一人が集まって、チームなんだ。私はみんながいないと何もできない。傷つくことも挑戦することもできないのだ。
 
一年前の夏を思い出した。私は、チームのことを、リーダーのことを考えていただろうか。ううん。自分の痛みばかりに目を向けていた。チームの中のたった一人でも、その行動一つでチームは変わる。立場なんて関係ないのだ。自分の言葉一つ、行動一つ、気持ち一つで、チームに何か貢献することができる。
 
リーダーじゃない人だって、みんなリーダーなんだ。
 
 
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2018-06-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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