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私の人生を変えた三木さんとの出逢い


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:白須絵里子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「先生、自分のやりたいことは諦めないでやったほうがいい! 年齢なんか関係ない!」
 
人生には転機となる人との出逢いが何回かある。私が50歳を過ぎて経験した三木さんとの出逢いはそのひとつだ。
 
年がいっているから、経験がないから…… 
本当はやりたいことが有るのに、躊躇していた私に、ハッキリと言ってくれた三木さん。
 
彼女は73歳で、ひとり暮らし。
 
彼女と初めて会ったのは、2015年、11月末の水曜日。場所は奈良県西大寺にあるスポーツクラブのストレッチスペースだった。
 
彼女は肩こりに悩んでいたようで、ストレッチポールという、ウレタン製の直径20センチ、長さが1メートルくらいの円柱をマットの上にねかせて置き、その上に背中を置いて、あお向けになっていた。
両方の膝は曲げて、両方の腕を肩のところから、「前へならえ」をするように、天井へむけて伸ばしていた。
 
スタジオレッスンで教えてもらった、肩こり体操をしているのだと、一目でわかった。
だが、フォームが今一つで、肩こりはなかなか治まらないようだった。
 
私が仕事を終え、帰ろうとしたとき、三木さんの一生懸命な姿が目に入った。
 
頑張ってやっているのに、上手くいかない。
その姿を見て、お節介かなとは思いながら、
「もう少し、曲げた両膝の幅を狭くして、背中の腰の部分に手のひら1枚分のスペースを空けて……」
 
正しく運動するための、アドバイスをしてしまった。
 
私の言うとおりに膝の位置、背骨の位置を修正した三木さんは驚いて言った。
「さっきまで、上手く出来なくて肩がこっていたのに、ちょっと直すだけで全然違う!
是非教えてください!」
 
こうして73歳の三木さんと55歳の私のマンツーマンレッスンが始まった。
 
私の仕事はピラティストレーナー。ピラティスという元々リハビリから始まった体操を
ピラティス専用マシンを使い、マンツーマンで教えている。
 
外部からのトレーナーとして、スポーツクラブの会費とは別に有料でピラティスを指導するのだ。
 
私は若いときから、フィットネス業界で仕事をしていた訳ではない。48歳のときに、腰痛改善のためにピラティスをはじめた。
半年ほどして腰痛が改善したので、どうして自分の腰痛が改善したのか? その理由が知りたくて、ピラティスの指導者の資格をとった変わり種だ。
 
50代になってから、フィットネス業界と無関係でピラティス指導者養成コースを受講する人は希である。実際、勉強している時まわりにいる人たちは20~40代の女性がほとんどだった。
 
まして人嫌い、運動が苦手な私がピラティスを教えることは、考えもしなかった。
 
私は人に教えるためにピラティス指導者養成コースを受講したわけでない。
自分の腰痛がどうして改善したのか、理由が知りたかっただけだ。
 
だが、勉強を進めるうちに、学んだことが理解出来なくなってきた。
 
私は毎週ピラティスのマンツーマンレッスンを受けていた。その先生から
「人に教えるようになれば、分かるようになるよ。早く教えたほうがいい!」
 
そう、何度も言われて渋々教え始めたのだ。
 
50代と70代では体力がまったく違う。もちろん柔軟性もちがう。
 
私が習ってきたことをそのまま70代の三木さんに教えていいのだろうか?
試行錯誤しながら、トレーニングが始まった。
 
三木さんは毎日スポーツクラブに通っていた。
 
好きなスポーツは水泳。最近まで、まったく泳げなかったそうだが、マンツーマンレッスンを受けて、何キロも泳げるようになっていた。
グループレッスンで分からないことでも、マンツーマンで教えてもらうと、時間はかかっても出来るようになると、教えてくれた。
 
ピラティスを始めて、3ヶ月経った頃、三木さんはこういった。
「先生、最近カラダが凄く柔らかくなった! 前はヨガのクラス受けたらキツかったけど
最近は楽勝になった!」
 
半年も経つと、
「先生、水泳の友達がね、私のカラダ見て驚いていたよ! ウエストにくびれが出てきて、お尻も上がってきたから」
 
ピラティスは姿勢を綺麗にする効果がある。だが、70代の女性にどれくらいの効果があるのか、私にはわからなかった。
 
8ヶ月経った時、三木さんの後ろ姿の写真を撮った。
「この女性何歳にみえる?」
何人かの女性に尋ねた。「え~、40歳後半?」「73歳よ」
「え~!」
みんな驚いていた。
 
三木さんとのトレーニングは楽しかった。
彼女は運動神経がいい訳ではないが、毎回のトレーニングの内容をノートに記録するほど熱心だった。
彼女は薬剤師の仕事をしていて、結婚、妊娠、出産、離婚を経てアメリカへ渡り、長くむこうで生活していたそうだ。
 
高齢になり、帰国、現在は息子一家の近くに1人暮らし。
アメリカへ渡ったのも年をとってからだそうだ。そんな自分の経験を私に話してくれた。
 
「やりたいことがあれば、やったほうがいい! 年齢なんか関係ない!
諦めないで」
強くそう言い切った。
 
1年経った頃、私は家庭の事情でスポーツクラブの仕事を辞めることになった。
 
 
三木さんの言葉が私の背中を押して、自宅スタジオを開くことになった。
 
現在私は、自分の好きなときに、好きな時間だけ、好きなお客様にピラティスを教えている。
三木さんとの出逢いがなければ、50歳を過ぎて新しい仕事をはじめ、やり甲斐のある日々を送っていなかっただろう。
 
三木さんとの出逢いは
 
やりたい事があれば、やればいい。諦めない! 年齢なんか関係ない!
 
そのことを実感した出逢いであった。

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2018-07-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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